🧪 酸・塩基の定義と強弱
- ブレンステッド・ローリー:プロトン(H⁺)を与えるものが酸、受け取るものが塩基
- 強酸:HCl・HBr・HI・H₂SO₄・HNO₃・HClO₄ → 完全解離
- 弱酸:CH₃COOH(Ka = 1.8×10⁻⁵)・安息香酸・H₂CO₃ など → 部分解離
| 式 | 説明 |
|---|---|
| pH = −log[H⁺] | 水素イオン濃度の対数 |
| pH + pOH = 14(25℃) | 水のイオン積 Kw = 10⁻¹⁴ |
| pKa = −log Ka | 酸解離定数の対数 |
✅ 強塩基(NaOH等)は完全解離 → [OH⁻] = C → pOH = −logC → pH = 14 − pOH
📐 弱酸・弱塩基のpH計算
弱酸(濃度 Ca、酸解離定数 Ka)
pH ≒ ½(pKa − log Ca)
弱塩基(濃度 Cb、塩基解離定数 Kb)
pOH ≒ ½(pKb − log Cb) → pH = 14 − pOH
⚠️ pKa(酸形) + pKb(共役塩基形) = 14(25℃)
NH₄⁺ の pKa = 14 − pKb(NH₃) = 14 − 4.7 = 9.3
🔄 Henderson-Hasselbalch式
pH = pKa + log([A⁻]/[HA])
| [A⁻]/[HA] | pH と pKa の関係 |
|---|---|
| 10 : 1 | pH = pKa + 1 |
| 1 : 1 | pH = pKa(半当量点) |
| 1 : 10 | pH = pKa − 1 |
⚠️ 半当量点では pH = pKa! 中和滴定グラフの読み取りで頻出。緩衝能が最大になる点でもある。
💊 緩衝液の原理
弱酸とその共役塩基(または弱塩基とその共役酸)の混合液。少量の酸・塩基を加えてもpHが大きく変化しない。
- 緩衝能が最大:[A⁻] = [HA] のとき(pH = pKa)
- 緩衝有効範囲:pH = pKa ± 1
体内の主要な緩衝系
| 緩衝系 | 主な場所 | pKa |
|---|---|---|
| 重炭酸緩衝系(HCO₃⁻/H₂CO₃) | 血漿 | 6.1 |
| リン酸緩衝系(HPO₄²⁻/H₂PO₄⁻) | 細胞内液・尿 | 6.8 |
| タンパク質(ヒスチジン残基) | 血漿・赤血球 | ≒6〜7 |
| ヘモグロビン緩衝系 | 赤血球 | — |
✅ 血液の生理的pH = 7.35〜7.45
pH < 7.35 → アシドーシス / pH > 7.45 → アルカローシス
⚖️ 中和滴定の当量点
| 滴定の種類 | 当量点のpH | 理由 |
|---|---|---|
| 強酸 + 強塩基 | pH = 7 | 生成塩は中性 |
| 弱酸 + 強塩基 | pH > 7 | 共役塩基が加水分解して塩基性 |
| 強酸 + 弱塩基 | pH < 7 | 共役酸が加水分解して酸性 |
⚠️ 弱酸+強塩基の当量点はpH > 7(塩基性)! 中性にならないことに注意。
📋 国試頻出まとめ
| # | ポイント | 内容 |
|---|---|---|
| 1 | 強塩基のpH | pH = 14 + logC(例:0.01 mol/L NaOH → pH=12) |
| 2 | 弱酸pH計算 | pH ≒ ½(pKa − log Ca) |
| 3 | 弱塩基pH計算 | pOH ≒ ½(pKb − log Cb) |
| 4 | Henderson-Hasselbalch | pH = pKa + log([A⁻]/[HA]) |
| 5 | 半当量点 | pH = pKa(緩衝能最大) |
| 6 | 緩衝有効範囲 | pKa ± 1 |
| 7 | 弱酸+強塩基の当量点 | pH > 7(塩基性) |
| 8 | NH₄⁺ のpKa | 14 − pKb(NH₃) = 14 − 4.7 = 9.3 |
| 9 | 体内主要緩衝系 | 重炭酸(血漿)・リン酸(細胞内) |
📝 国試過去問チェック
第107回薬剤師国家試験 問1(必須)
0.010 mol/L 水酸化ナトリウム水溶液のpHとして最も近い値はどれか。1つ選べ。ただし、水のイオン積 Kw = [H⁺][OH⁻] = 1.0×10⁻¹⁴ (mol/L)² とする。
1. 1
2. 2
3. 7
4. 12
5. 13
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正解:4
NaOH は強塩基なので完全解離する。
[OH⁻] = 0.010 mol/L = 10⁻² mol/L
pOH = −log(10⁻²) = 2
pH = 14 − pOH = 14 − 2 = 12
4○ pH = 12。正しい。
1✗ pH=1 は [H⁺]=0.1 mol/L の強酸に相当。
2✗ pH=2 は pOH=12、つまり [OH⁻]=10⁻¹² mol/L に相当。
3✗ pH=7 は中性。NaOH水溶液は塩基性。
5✗ pH=13 は [OH⁻]=0.1 mol/L(0.1 mol/L NaOH)に相当。0.010 mol/Lより10倍高濃度。
第109回薬剤師国家試験 問5(必須)
25℃における 0.01 mol/L 安息香酸水溶液のpHに最も近い値はどれか。1つ選べ。ただし、安息香酸の pKa = 4.2(25℃)とする。
1. 1.5
2. 3.0
3. 4.5
4. 6.0
5. 7.5
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正解:2
安息香酸は弱酸なので近似式を使う。
pH ≒ ½(pKa − log Ca) = ½(4.2 − log(0.01)) = ½(4.2 − (−2)) = ½ × 6.2 = 3.1 ≈ 3.0
2○ pH ≈ 3.0。正しい。
1✗ pH=1.5 は [H⁺]=0.03 mol/L に相当し、0.01 mol/L 安息香酸より高い。弱酸でこの値にはならない。
3✗ pH=4.5 ≈ pKa は半当量点のpH。弱酸単独の溶液では pKa より低い。
第108回薬剤師国家試験 問95(一般)
0.20 mol/L 塩化アンモニウム水溶液 100 mL を用いてアンモニア・塩化アンモニウム緩衝液(pH 9.0)を調製したい。この塩化アンモニウム水溶液に加える 0.18 mol/L アンモニア水溶液の液量に最も近いのはどれか。1つ選べ。
ただし、アンモニアの pKb = 4.7、Kw = [H⁺][OH⁻] = 1.0×10⁻¹⁴ (mol/L)²、10^0.3 = 2 とし、混合により各水溶液の体積は変化しないものとする。
1. 15 mL
2. 35 mL
3. 55 mL
4. 75 mL
5. 95 mL
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正解:3
NH₄⁺ の pKa = 14 − pKb(NH₃) = 14 − 4.7 = 9.3
Henderson-Hasselbalch式:pH = pKa + log([NH₃]/[NH₄⁺])
9.0 = 9.3 + log([NH₃]/[NH₄⁺])
log([NH₃]/[NH₄⁺]) = −0.3 = −log2 → [NH₃]/[NH₄⁺] = 1/2
NH₄Cl の量:0.20 mol/L × 100 mL = 20 mmol → [NH₄⁺] = 20 mmol
必要な [NH₃] = 20/2 = 10 mmol
アンモニア水の体積 = 10 mmol ÷ 0.18 mol/L = 10/180 L ≈ 55 mL
3○ 55 mL。正しい。
第110回薬剤師国家試験 問96(一般)
28%アンモニア水を量り、水で全量 500 mL とした後、その 20 mL を正確に量り、さらに水で全量 1000 mL とした。この水溶液のpHを測定したところ、11.0 であった。28%アンモニア水の採取量に最も近いのはどれか。1つ選べ。
ただし、28%アンモニア水の比重 d = 0.90、アンモニアの分子量 NH₃ = 17、アンモニアの塩基解離定数 Kb = 1.7×10⁻⁵ mol/L、Kw = 1.0×10⁻¹⁴ (mol/L)²、1.0〜1.1 の範囲の値は 1 とし、温度は 25℃とする。
1. 10 mL
2. 20 mL
3. 50 mL
4. 100 mL
5. 200 mL
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正解:4
① 最終溶液のNH₃濃度を求める
pH = 11.0 → [OH⁻] = 10⁻³ mol/L
弱塩基の近似式:[OH⁻]² = Kb × Cb
(10⁻³)² = 1.7×10⁻⁵ × Cb → Cb = 10⁻⁶ / 1.7×10⁻⁵ ≈ 1/17 ≈ 0.059 mol/L
② 逆算して採取量を求める
最終1000 mL中のNH₃量 = 0.059 mol/L × 1L = 0.059 mol
これは500 mL中の溶液の20 mLから得たもの → 500 mL中の濃度 = 0.059 × (1000/20) = 2.94 mol/L
500 mL中のNH₃総量 = 2.94 × 0.5 = 1.47 mol
③ 28%アンモニア水の体積
28%アンモニア水の濃度:d = 0.90 g/mL → 1 mLあたり 0.90 × 0.28 = 0.252 g NH₃ = 0.252/17 ≈ 0.01482 mol/mL
採取量 = 1.47 mol ÷ 0.01482 mol/mL ≈ 99 mL ≈ 100 mL
4○ 100 mL。正しい。
