🤧 Ⅰ型アレルギーのメカニズム
【第1段階:感作】
アレルゲン初回侵入
↓
樹状細胞が処理・提示
↓
Th2細胞が活性化 → IL-4産生
↓
B細胞がIgEを産生
↓
IgEが肥満細胞・好塩基球の表面に結合(感作成立)
【第2段階:再暴露・脱顆粒】
同じアレルゲンが再侵入
↓
IgEと結合(架橋)→ 肥満細胞が活性化
↓
脱顆粒:ヒスタミン・ロイコトリエン・TXA₂・PG等を放出
↓
気管支収縮・血管透過性↑・粘液産生↑・掻痒感 → アレルギー症状
━━━ 各薬の介入点 ━━━
デュピルマブ → IL-4・IL-13シグナルを遮断(感作・炎症を抑制)
クロモグリク酸 → 肥満細胞の脱顆粒を抑制(予防薬)
プランルカスト }→ ロイコトリエン(CysLT1)受容体を遮断
モンテルカスト }
セラトロダスト → TXA₂のTP受容体を遮断
スプラタスト → Th2サイトカイン産生↓
デュピルマブ(抗IL-4Rα抗体)
【IL-4・IL-13の受容体シグナル】
IL-4 IL-13
↓ ↓
IL-4Rα + γc鎖 IL-4Rα + IL-13Rα1鎖
(TypeⅠ受容体) (TypeⅡ受容体)
↓ ↓
JAK/STAT6シグナル → 2型炎症(IgE産生↑・好酸球↑)
【デュピルマブの作用】
IL-4Rα(共通のα鎖)にヒト化モノクローナル抗体が結合
↓
IL-4・IL-13の両方のシグナルを同時に遮断
↓
IgE産生↓・Th2炎症↓
↓
アトピー性皮膚炎・喘息の症状改善
IL-4Rαを1本遮断するだけでIL-4とIL-13の両方をブロックできる(国試頻出!) 適応:アトピー性皮膚炎・気管支喘息・鼻茸を伴う慢性副鼻腔炎 皮下注(2週間ごと) 副作用:注射部位反応・結膜炎
🌬️ ロイコトリエン経路と拮抗薬
アラキドン酸
↓ 5-LOX(5-リポキシゲナーゼ)
LTA₄(不安定中間体)
↓
LTC₄ → LTD₄ → LTE₄
(システイニルロイコトリエン:CysLT)
↓
CysLT1受容体に結合
← プランルカスト・モンテルカストが遮断
気管支収縮・血管透過性↑・粘液産生↑
| 薬剤 | 特徴 |
|---|---|
| プランルカスト | CysLT1受容体遮断。1日2回投与 |
| モンテルカスト | CysLT1受容体遮断。1日1回(就寝前)。小児にも使用 |
喘息発作の予防・アレルギー性鼻炎の改善 まれな副作用:チャーグ・ストラウス症候群(EGPA:好酸球性多発血管炎性肉芽腫症)
🛡️ 肥満細胞安定薬
クロモグリク酸(DSCG)
アレルゲン刺激
↓
肥満細胞のCa²⁺流入
↓
脱顆粒(ヒスタミン・ロイコトリエン放出)
【クロモグリク酸の作用】
肥満細胞膜のCa²⁺流入チャネルを安定化
↓
脱顆粒を抑制
↓
ヒスタミン・ロイコトリエン等の放出↓
↓
アレルギー症状の予防
適応:喘息予防(吸入)・アレルギー性鼻炎(点鼻)・アレルギー性結膜炎(点眼) 予防薬のため発作が起きてからでは効果なし。即効性がないため定期的な使用が必要
トラニラスト
肥満細胞からのケミカルメディエーター
(ヒスタミン・LTC₄等)の遊離を抑制
↓
アレルギー反応↓
適応:アトピー性皮膚炎・ケロイド・肥厚性瘢痕
TP受容体遮断薬
セラトロダスト
TXA₂(トロンボキサンA₂)
↓
TP受容体(TXA₂受容体)に結合
↓
気道平滑筋収縮・気道過敏性亢進
【セラトロダストの作用】
TP受容体を遮断
↓
TXA₂による気道収縮・過敏性亢進↓
↓
気管支喘息の長期管理
TXA₂受容体遮断(セラトロダスト)とTXA₂合成酵素阻害(オザグレル)の違いに注意
ラマトロバン
TP受容体(TXA₂受容体)を遮断
↓ 気管支収縮・鼻粘膜炎症↓
CRTH₂受容体(DP₂受容体)を遮断
↓ Th2細胞・好酸球の鼻粘膜への遊走↓
→ アレルギー性鼻炎の炎症を二重にブロック
スプラタスト(Th2サイトカイン産生抑制)
アレルゲン刺激
↓
Th2細胞が活性化
↓ → IL-4産生 → B細胞のIgE産生↑
↓ → IL-5産生 → 好酸球の活性化↑
【スプラタストの作用】
Th2細胞からのIL-4・IL-5産生を抑制
↓
IgE産生↓・好酸球活性化↓
↓
アレルギー反応全体を抑制
適応:気管支喘息・アトピー性皮膚炎・アレルギー性鼻炎(経口投与)
📊 抗アレルギー薬の作用機序まとめ
| 薬物 | 機序 | 主な適応 |
|---|---|---|
| デュピルマブ | 抗IL-4Rα抗体 → IL-4・IL-13を同時遮断 | アトピー性皮膚炎・喘息 |
| プランルカスト | CysLT1受容体遮断 | 気管支喘息・アレルギー性鼻炎 |
| モンテルカスト | CysLT1受容体遮断(1日1回) | 気管支喘息・アレルギー性鼻炎 |
| クロモグリク酸 | 肥満細胞脱顆粒抑制 | 喘息予防・点眼・点鼻 |
| トラニラスト | ケミカルメディエーター遊離抑制 | アトピー・ケロイド |
| セラトロダスト | TP受容体(TXA₂受容体)遮断 | 気管支喘息 |
| ラマトロバン | TP受容体+CRTH₂(DP₂)受容体遮断 | アレルギー性鼻炎 |
| スプラタスト | Th2サイトカイン(IL-4・IL-5)産生↓ | 喘息・アトピー・鼻炎 |
国試頻出まとめ
| # | ポイント |
|---|---|
| 1 | デュピルマブ:抗IL-4Rα抗体。IL-4Rαを遮断することでIL-4とIL-13の両方のシグナルを同時にブロック |
| 2 | プランルカスト・モンテルカスト:CysLT1受容体遮断 → ロイコトリエン(LTC₄・LTD₄)による気管支収縮・粘液産生↑を抑制 |
| 3 | クロモグリク酸(DSCG):肥満細胞の脱顆粒を抑制→ メディエーター放出↓。予防薬(発作後無効)。即効性なし |
| 4 | トラニラスト:肥満細胞からのケミカルメディエーター遊離抑制。アトピー性皮膚炎・ケロイドにも使用 |
| 5 | セラトロダスト:TXA₂のTP受容体を遮断→ 気道過敏性亢進抑制。気管支喘息の長期管理 |
| 6 | ラマトロバン:TP受容体+CRTH₂(DP₂)受容体を両方遮断 → アレルギー性鼻炎 |
| 7 | スプラタスト:Th2細胞のIL-4・IL-5産生を抑制 → IgE産生↓・好酸球活性化↓ |
| 8 | セラトロダスト(TP受容体遮断)とオザグレル(TXA₂合成酵素阻害)は別の機序。混同しない! |
| 9 | スプラタスト(Th2サイトカイン産生抑制)とラマトロバン(TP+CRTH₂受容体遮断)は機序が全く異なる |
| 10 | ロイコトリエン受容体拮抗薬の副作用:まれにチャーグ・ストラウス症候群(EGPA)。喘息患者で好酸球増多に注意 |
📝 国試過去問チェック
第107回 問158(一般問題)
アレルギー性疾患の治療に用いられる薬物に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。
1. オザグレルは、Th₂サイトカイン産生を抑制して鎮痒効果を示す
2. トラニラストは、ヒスタミンH₁受容体を遮断してアレルギー性鼻炎を改善する
3. プランルカストは、ロイコトリエン受容体を遮断して気管支ぜん息の発作を予防する
4. セラトロダストは、TXA₂のTP受容体を遮断して気道過敏症の亢進を抑制する
5. スプラタストは、トロンボキサン合成酵素を阻害してじん麻疹を改善する
解答と解説を見る
正解:3・4
3○ プランルカスト=CysLT1受容体遮断 → ロイコトリエンによる気管支収縮を抑制 → 喘息発作予防。
4○ セラトロダスト=TXA₂のTP受容体を遮断 → 気道過敏性亢進を抑制。
1✗ オザグレルはTXA₂合成酵素阻害(Th2サイトカイン抑制はスプラタストの機序)。
2✗ トラニラストはケミカルメディエーター遊離抑制(H₁受容体遮断はヒスタミン拮抗薬の機序)。
5✗ スプラタストはTh2サイトカイン産生抑制(TXA₂合成酵素阻害はオザグレルの機序)。
第110回 問155(一般問題)
抗アレルギー薬に関する記述として、正しいのはどれか。2つ選べ。
1. スプラタストは、プロスタノイドTP受容体及びプロスタノイドDP₂(CRTH₂)受容体を遮断する
2. プランルカストは、ロイコトリエンCysLT₁受容体を遮断する
3. シプロヘプタジンは、トロンボキサン合成酵素を阻害する
4. ラマトロバンは、ヒスタミンH₁受容体を遮断する
5. デュピルマブは、IL-4受容体αサブユニットに結合して、IL-4及びIL-13の作用を抑制する
解答と解説を見る
正解:2・5
2○ プランルカスト=CysLT1受容体遮断 → LTC₄・LTD₄等のシステイニルロイコトリエンに拮抗 → 喘息発作予防。
5○ デュピルマブ=抗IL-4Rα抗体。IL-4もIL-13も同じIL-4Rαを利用するシグナル経路を持つため、α鎖1本の遮断で2型炎症を同時にブロック。
1✗ スプラタストはTh2サイトカイン(IL-4・IL-5)産生抑制(TP受容体+CRTH₂遮断はラマトロバンの機序)。
3✗ シプロヘプタジンはH₁受容体遮断+セロトニン受容体遮断の抗ヒスタミン薬(TXA₂合成酵素阻害はオザグレルの機序)。
4✗ ラマトロバンはTP受容体(TXA₂受容体)+CRTH₂(DP₂)受容体を遮断(H₁受容体遮断ではない)。
