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💉 薬理

【薬剤師国試対策】抗うつ薬を徹底整理|SSRI・SNRI・三環系の違いと副作用

📅 2026年5月9日🔄 更新: 2026年5月15日
📖 この記事でわかること
  • 抗うつ薬の4分類(SSRI・SNRI・NaSSA・三環系)の違いが整理できる
  • 各SSRIのCYP阻害の特徴と薬物相互作用がわかる
  • 三環系の4受容体遮断と副作用(抗コリン・心毒性・鎮静・起立性低血圧)が説明できる
  • セロトニン症候群・中断症候群の機序と対処がわかる
  • タンドスピロン・エチゾラムの機序がわかる
目次
  1. 1.抗うつ薬の基礎|モノアミン仮説
  2. 2.① SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)
  3. CYP阻害プロファイル
  4. 共通副作用
  5. 3.② SNRI(セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬)
  6. 4.③ NaSSA(ノルアドレナリン・セロトニン作動性抗うつ薬)
  7. 5.④ 三環系抗うつ薬
  8. 三環系の副作用(4受容体遮断)
  9. 6.⑤ 四環系・その他
  10. 7.薬物相互作用まとめ
  11. 8.SSRIの適応疾患
  12. 9.タンドスピロンとエチゾラムの比較
  13. 10.国試頻出まとめ
  14. 11.国試過去問チェック

🧠 抗うつ薬の基礎|モノアミン仮説

うつ病は脳内のモノアミン(セロトニン・ノルアドレナリン・ドパミン)が不足することで起こる(モノアミン仮説)。抗うつ薬の主なターゲットはシナプス間隙のモノアミン濃度を上げること

シナプス間隙とモノアミンの再取り込み
図1. シナプス間隙とモノアミンの再取り込みの仕組み

効果発現に2〜4週かかる理由:再取り込み阻害でモノアミン濃度はすぐ上がるが、**受容体のダウンレギュレーション(脱感作)**に時間がかかるため。服薬初期に効果がなくても自己中止しないよう指導が重要。


① SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)

セロトニントランスポーター(SERT)を選択的に阻害 → シナプス間隙のセロトニン↑。現在の第一選択薬。

CYP阻害プロファイル

薬剤名 CYP1A2 CYP2D6 CYP2C19 注意すべき相互作用
フルボキサミン 強い ほぼなし 強い テオフィリン中毒・ワルファリン↑
パロキセチン ほぼなし 強い 中程度 タモキシフェン効果↓
セルトラリン ほぼなし ほぼなし ほぼなし 相互作用が少ない
エスシタロプラム ほぼなし ほぼなし 弱い QT延長に注意

共通副作用

副作用 機序・内容
悪心・嘔吐 5-HT₃受容体刺激。服薬開始〜2週間に多い
性機能障害 5-HT刺激。射精遅延・性欲低下
中断症候群 急な中止でめまい・しびれ・フルー様症状。パロキセチンで最も多い(半減期短め)
セロトニン症候群 MAO阻害薬との併用禁忌。高体温・ミオクローヌス・興奮の3徴

セロトニン症候群の3徴:自律神経症状(高体温・発汗・頻脈)/ 神経筋症状(ミオクローヌス・筋硬直・反射亢進)/ 精神症状(興奮・錯乱・意識障害)


② SNRI(セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬)

5-HT に加えてノルアドレナリン(NE)も再取り込み阻害。うつ病のほか慢性疼痛・線維筋痛症・神経障害性疼痛にも適応。

薬剤名 特徴
ミルナシプラン NE作用がやや強め
デュロキセチン 糖尿病性神経障害・線維筋痛症・腰痛にも適応。CYP2D6阻害あり
ベンラファキシン 低用量ではSSRI様、高用量でNE再取り込み阻害も強くなる
SSRI・SNRI・NaSSAの作用機序の違い
図2. SSRI・SNRI・NaSSAの作用機序の違い

🌿 ③ NaSSA(ノルアドレナリン・セロトニン作動性抗うつ薬)

ミルタザピンが代表薬。再取り込み阻害ではなく、α₂自己受容体・ヘテロ受容体を遮断することでNE・5-HTの遊離を増やす。

ミルタザピン投与
  ↓
シナプス前α₂自己受容体を遮断
  ↓
NE放出の自己抑制が解除 → ノルアドレナリン遊離↑
  ↓
α₂ヘテロ受容体(5-HT神経上)も遮断
  ↓
5-HT遊離↑

また同時に…
5-HT₃受容体遮断 → 悪心が少ない
H₁受容体遮断 → 強い鎮静・体重増加
特徴 内容
機序 α₂受容体遮断 → NE・5-HT遊離↑(再取り込み阻害ではない)
特徴的副作用 強い鎮静・体重増加(H₁遮断)
メリット 悪心が少ない(5-HT₃遮断)。不眠・食欲低下のあるうつに向く

ミルタザピンの機序は「再取り込み阻害」ではなく「α₂受容体遮断によるNE・5-HT遊離促進」。国試で問われやすい!


④ 三環系抗うつ薬

歴史的に古い薬。現在は第一選択ではないが、副作用が国試頻出

薬剤名 特徴
イミプラミン 夜尿症にも適応
クロミプラミン セロトニン作用が強い。強迫症にも
アミトリプチリン 鎮静作用強い。神経障害性疼痛にも

三環系の副作用(4受容体遮断)

副作用 遮断受容体 具体的症状
抗コリン作用 M₁受容体 口渇・便秘・尿閉・眼圧上昇・認知機能低下
心毒性 ★最危険 Naチャネル QRS延長・不整脈。過量服薬で致死的
鎮静・体重増加 H₁受容体 眠気・体重増加
起立性低血圧 α₁受容体 めまい・転倒(高齢者注意)

過量服薬(OD)で心毒性→死亡リスク。自殺念慮のある患者への処方・管理に注意。


⑤ 四環系・その他

薬剤名 分類 特徴
ミアンセリン 四環系 α₂受容体拮抗(NaSSAに近い機序)。抗コリン・心毒性が少ない
マプロチリン 四環系 NE選択的再取り込み阻害。けいれん誘発リスク
スルピリド D₂拮抗薬 低用量で抗うつ・高用量で抗精神病
トラゾドン SARI 鎮静作用強く不眠を伴ううつに使いやすい

🔗 薬物相互作用まとめ

組み合わせ リスク
SSRI・SNRI + MAO阻害薬 セロトニン症候群(切り替え時は14日以上あける)
フルボキサミン + テオフィリン テオフィリン中毒(CYP1A2阻害)
パロキセチン + タモキシフェン タモキシフェン効果↓(CYP2D6阻害)
三環系 + MAO阻害薬 重篤な相互作用(禁忌)

SSRIの適応疾患

疾患 第一選択SSRI
うつ病 各種SSRI
社交不安障害(SAD) パロキセチン・エスシタロプラム
パニック障害 パロキセチン・エスシタロプラム
強迫症(OCD) フルボキサミン・パロキセチン(高用量)
PTSD セルトラリン

🌱 タンドスピロンとエチゾラムの比較

タンドスピロン エチゾラム(チエノジアゼピン系)
受容体 5-HT₁A(部分アゴニスト) GABA-A(BZ結合部位)
依存性 ほとんどなし あり
筋弛緩 弱い 強い
効果発現 1〜2週 即効性あり

タンドスピロン:5-HT₁A受容体の部分アゴニスト → 依存性・筋弛緩作用ほとんどなし
エチゾラム:GABA-A受容体のBZ結合部位に作用 → Cl⁻チャネル開口頻度↑ → 即効性あり・依存性あり


国試頻出まとめ

# ポイント
1 SSRI:SERT(セロトニントランスポーター)選択的阻害。現在の第一選択。効果発現2〜4週
2 フルボキサミン:CYP1A2・CYP2C19を強く阻害→テオフィリン中毒リスク
3 パロキセチン:CYP2D6を強く阻害→タモキシフェン効果↓。中断症候群が最も多い
4 ミルタザピン(NaSSA):α₂受容体遮断→NE・5-HT遊離↑。再取り込み阻害ではない
5 三環系の4副作用:抗コリン(M₁)・心毒性(Naチャネル)・鎮静(H₁)・起立性低血圧(α₁)
6 デュロキセチン(SNRI):糖尿病性神経障害・線維筋痛症・腰痛にも適応
7 セロトニン症候群:SSRI+MAO阻害薬の併用で発症。3徴:自律神経症状・神経筋症状・精神症状
8 中断症候群:急な中止でめまい・しびれ・フルー様症状。パロキセチンで最も多い
9 スルピリド:低用量→抗うつ、高用量→抗精神病(D₂拮抗薬)
10 タンドスピロン:5-HT₁A部分アゴニスト。依存性なし。効果発現1〜2週(BZ系より遅い)

📝 国試過去問チェック

第107回 問29(必須)

ミルタザピンがシナプス間隙のセロトニン及びノルアドレナリンを増加させる機序はどれか。1つ選べ。

1. アドレナリンα₂受容体遮断
2. セロトニン5-HT₂A受容体刺激
3. セロトニン5-HT₃受容体刺激
4. モノアミン酸化酵素阻害
5. セロトニン及びノルアドレナリンの再取り込み阻害

解答と解説を見る

正解:1

1○ ミルタザピン(NaSSA)はシナプス前α₂自己受容体を遮断→ NEの自己抑制を解除 → NE・5-HTの放出↑。
5✗ 再取り込み阻害はSNRI(デュロキセチン・ミルナシプランなど)の機序であり、ミルタザピンとは異なる。
4✗ MAO阻害はMAOI(モノアミン酸化酵素阻害薬)の機序。SSRIとの併用禁忌(セロトニン症候群)。


第110回 問185(一般)

社交不安障害の治療に関する記述として、正しいのはどれか。

解答と解説を見る

正解のポイント:

  • パロキセチンはSSRIとして社交不安障害(SAD)の第一選択薬。セロトニン再取り込み阻害→不安症状改善。CYP2D6を強く阻害(タモキシフェンとの相互作用に注意)
  • エチゾラムはGABA-A受容体のBZ結合部位に作用して抗不安効果を示す。チエノジアゼピン誘導体(BZ系と同機序:Cl⁻チャネル開口頻度↑)。依存性あり・長期使用は避ける
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