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💉 薬理

国試頻出!制吐薬の作用機序まとめ|アプレピタント・NK₁受容体・ドパミン拮抗薬を完全整理

📅 2026年5月14日
📖 この記事でわかること
  • 悪心・嘔吐の発生メカニズム(嘔吐中枢・CTZ・末梢)がわかる
  • NK₁受容体拮抗薬(アプレピタント・ホスアプレピタント)の作用機序がわかる
  • 5-HT₃受容体拮抗薬(オンダンセトロン・グラニセトロン)の特徴がわかる
  • 抗がん剤による悪心・嘔吐(CINV)の制吐レジメンが理解できる
  • 第110回国試の過去問で理解度を確認できる
目次
  1. 1.悪心・嘔吐のメカニズムを理解する
  2. 2.制吐薬の4系統
  3. 3.CINVの標準的予防レジメン
  4. 4.その他の制吐薬
  5. 5.第110回 国試過去問チェック

悪心・嘔吐のメカニズムを理解する

制吐薬を理解するには、まず「なぜ嘔吐が起こるか」を知ることが重要です。

嘔吐の主な経路:

経路 刺激物 主な受容体
化学受容器引金帯(CTZ) 抗がん剤・オピオイド・尿毒症毒素 D₂・5-HT₃・NK₁
末梢(消化管) 消化管刺激・抗がん剤 5-HT₃(求心性迷走神経)
嘔吐中枢(延髄) 各経路からの入力を統合 NK₁・ヒスタミン・M受容体
前庭器官 乗り物酔い・めまい H₁・M受容体
大脳皮質 精神的ストレス・不安

ポイント:抗がん剤による嘔吐(CINV)はCTZの刺激と消化管の5-HT₃刺激が主な原因。急性期(24時間以内)は5-HT₃が主役、遅発期(24〜120時間)はNK₁が主役。

制吐薬の4系統

① NK₁受容体拮抗薬(最重要!)

サブスタンスP(SP)とNK₁受容体:

  • サブスタンスPはタキキニン系ペプチド
  • NK₁受容体(ニューロキニン1受容体)に結合
  • 遅発性嘔吐の主要メディエーター

アプレピタント(イメンド®):

  • NK₁受容体拮抗薬(経口)
  • 遅発性CINVの予防に必須
  • CYP3A4の基質・阻害薬(薬物相互作用に注意)
  • デキサメタゾン・5-HT₃拮抗薬との3剤併用レジメンが標準

ホスアプレピタント(プロイメンド®):

  • アプレピタントのプロドラッグ(静注製剤)
  • 体内でアプレピタントに変換
  • 1日目のみ1回投与でOK(アプレピタント3日分に相当)

② 5-HT₃受容体拮抗薬

  • **急性CINV(投与後24時間以内)**の予防に中心的役割
  • 消化管の求心性迷走神経とCTZの5-HT₃受容体をブロック
  • 代表薬:オンダンセトロン(ゾフラン®)、グラニセトロン、パロノセトロン
  • 副作用:便秘、頭痛、QT延長(注意)
  • パロノセトロンは半減期が長く(約40時間)遅発性にも有効

③ ドパミンD₂受容体拮抗薬

  • CTZのD₂受容体をブロック → 嘔吐反射抑制
  • 代表薬:メトクロプラミド(プリンペラン®)、ドンペリドン
  • 消化管運動促進作用あり(胃排出↑)
  • 副作用:錐体外路症状(パーキンソン症状・アカシジア)

メトクロプラミドは血液脳関門を通過するため錐体外路症状リスクあり。ドンペリドンは通過しにくく副作用が少ない。

④ コルチコステロイド(デキサメタゾン)

  • 制吐機序の詳細は不明(プロスタグランジン合成抑制が一説)
  • 単独でも効果あるが、他の制吐薬との相乗効果が重要
  • 高度催吐性抗がん剤レジメンの標準的構成薬

CINVの標準的予防レジメン

高度催吐性リスク(シスプラチンなど):

投与前:NK₁拮抗薬+5-HT₃拮抗薬+デキサメタゾン(3剤併用)
2〜3日目:NK₁拮抗薬(経口)+デキサメタゾン
4〜5日目:デキサメタゾン

中等度催吐性リスク:

5-HT₃拮抗薬+デキサメタゾン(2剤)

その他の制吐薬

薬名 分類 適応
プロクロルペラジン フェノチアジン系(D₂拮抗) 一般的な悪心・嘔吐
ジフェンヒドラミン H₁拮抗薬 乗り物酔い・術後嘔吐
スコポラミン 抗コリン薬(M拮抗) 乗り物酔い(貼付剤)
オランザピン 抗精神病薬(D₂・5-HT₂・H₁拮抗) 突出性CINV・難治性CINV
ナビロン カンナビノイド受容体作動薬 抗がん剤による難治性嘔吐

第110回 国試過去問チェック

第110回薬剤師国家試験 問43(必須問題)

アプレピタントに関する記述のうち、正しいのはどれか。1つ選べ。

  1. アプレピタントはセロトニン5-HT₃受容体を遮断することで制吐作用を示す
  2. アプレピタントは抗がん剤による急性嘔吐(投与後24時間以内)の予防に特に有効である
  3. アプレピタントはサブスタンスPのNK₁受容体への結合を阻害し、遅発性嘔吐を予防する
  4. アプレピタントはCYP3A4を誘導するため、他の薬物の血中濃度を下げる
  5. ホスアプレピタントはアプレピタントよりも半減期が長く、5日間継続投与が必要である

正解:3

解説:

  • 選択肢1:✗ アプレピタントは5-HT₃受容体ではなく**NK₁受容体(サブスタンスP受容体)**拮抗薬
  • 選択肢2:✗ アプレピタントは遅発性CINV(24〜120時間)の予防が主な適応。急性期は5-HT₃拮抗薬が主役
  • 選択肢3: サブスタンスPが結合するNK₁受容体を遮断 → 遅発性嘔吐の予防
  • 選択肢4:✗ アプレピタントはCYP3A4の基質かつ阻害薬(短期的には阻害、長期的には誘導の面もあるが基本は阻害)→ 他の薬物(デキサメタゾンなど)の血中濃度を上げる
  • 選択肢5:✗ ホスアプレピタントはアプレピタントのプロドラッグ(静注用)。1日目の1回投与でアプレピタント3日分に相当

関連知識: 高度催吐性抗がん剤(シスプラチン・AC療法など)には必ずNK₁拮抗薬+5-HT₃拮抗薬+デキサメタゾンの3剤併用が推奨される。

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