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💉 薬理

国試頻出!自律神経系薬の作用機序まとめ|交感・副交感・α・β受容体を完全整理

📅 2026年5月14日🔄 更新: 2026年5月15日
📖 この記事でわかること
  • 自律神経系の交感・副交感の違いと受容体の種類が整理できる
  • α₁・α₂・β₁・β₂・β₃受容体の作用部位と薬の使い分けがわかる
  • カテコールアミン(アドレナリン・ノルアドレナリン・ドパミン)の使い分けがわかる
  • ムスカリン受容体(M₁〜M₃)の分布と刺激薬・遮断薬が覚えられる
  • コリンエステラーゼ阻害薬の可逆性・不可逆性の違いがわかる
目次
  1. 1.自律神経系の全体像
  2. 2.交感神経系薬
  3. アドレナリン受容体の種類と分布
  4. カテコールアミンの合成経路と使い分け
  5. α受容体刺激薬
  6. α受容体遮断薬
  7. β受容体刺激薬
  8. β受容体遮断薬(β遮断薬)
  9. 3.副交感神経系薬
  10. ムスカリン受容体の種類と分布
  11. ムスカリン受容体刺激薬(直接型)
  12. コリンエステラーゼ(ChE)阻害薬(間接型)
  13. ムスカリン受容体遮断薬(抗コリン薬)
  14. 4.ニコチン受容体(N受容体)関連薬
  15. 5.国試頻出まとめ
  16. 6.国試過去問チェック

🧠 自律神経系の全体像

交感神経 副交感神経
放出物質 ノルアドレナリン(NA) アセチルコリン(ACh)
受容体 α₁・α₂・β₁・β₂・β₃ M₁・M₂・M₃
心拍数
血圧 ↑(血管収縮)
瞳孔 散瞳 縮瞳
気管支 拡張 収縮
消化管 蠕動↓ 蠕動↑
膀胱 排尿抑制(括約筋収縮) 排尿促進(膀胱収縮)

神経節での伝達(交感・副交感共通):節前線維 → ACh → ニコチン受容体(Nn型)→ 節後線維


交感神経系薬

アドレナリン受容体の種類と分布

受容体 Gタンパク 主な分布 活性化で起こること
α₁ Gq 血管平滑筋・前立腺・瞳孔散大筋 血管収縮・前立腺収縮・散瞳
α₂ Gi シナプス前膜・血小板・脂肪細胞 NA遊離↓(自己受容体)・血小板凝集↑
β₁ Gs 心臓(洞房結節・心筋) 心拍数↑・心収縮力↑
β₂ Gs 気管支・末梢血管・子宮 気管支拡張・血管拡張・子宮弛緩
β₃ Gs 脂肪組織・膀胱排尿筋 脂肪分解↑・膀胱弛緩

カテコールアミンの合成経路と使い分け

チロシン
  ↓ チロシン水酸化酵素(律速酵素)
DOPA(ジヒドロキシフェニルアラニン)
  ↓ DOPA脱炭酸酵素
ドパミン(D₁・D₂・β₁受容体に作用)
  ↓ ドパミン-β-水酸化酵素
ノルアドレナリン(α₁・α₂・β₁受容体に作用 / β₂にはほとんど作用しない)
  ↓ PNMT(フェニルエタノールアミン-N-メチル転移酵素)※副腎髄質のみ
アドレナリン(α₁・α₂・β₁・β₂すべてに作用)
薬物 受容体 主な作用 臨床応用
アドレナリン α₁・α₂・β₁・β₂ 心拍数↑・血圧↑・気管支拡張 アナフィラキシー・心停止
ノルアドレナリン α₁・α₂・β₁(β₂には弱い) 血管収縮(血圧↑)・心拍数↓(反射性) ショック時昇圧
ドパミン D₁・β₁(低用量でD₁→腎血管拡張) 低用量:腎拡張、高用量:心拍↑・昇圧 心原性ショック
イソプレナリン β₁・β₂(αには作用しない) 心拍↑・気管支拡張・血管拡張 徐脈・喘息(現在は後継薬あり)

α受容体刺激薬

薬物 受容体選択性 特徴・適応
フェニレフリン α₁選択的 血管収縮↑・反射性徐脈。散瞳薬(点眼)。低血圧・鼻閉・眼科検査
クロニジン α₂選択的(中枢性) 中枢のα₂刺激→交感神経抑制→血圧↓。副作用:眠気・口渇・突然中断でリバウンド高血圧
メチルドパ α₂刺激(偽性伝達物質) α-メチルNAに変換→中枢α₂刺激→降圧。妊婦に使える降圧薬

α受容体遮断薬

薬物 受容体 特徴・適応
プラゾシン α₁選択的 起立性低血圧が起こりやすい。高血圧・前立腺肥大
タムスロシン α₁A選択的(前立腺>血管) 血圧低下が少ない。前立腺肥大による排尿障害
フェントラミン α₁・α₂非選択的 頻脈(α₂遮断でNA↑→β₁刺激)。褐色細胞腫の診断・手術前処置
カルベジロール α₁+β₁・β₂遮断 血管拡張+心拍抑制。高血圧・心不全

β受容体刺激薬

薬物 受容体 特徴・適応
サルブタモール β₂選択的(SABA) 気管支拡張(即効型)。喘息発作
サルメテロール β₂選択的(LABA) 気管支拡張持続12時間以上。喘息・COPD長期管理
ミラベグロン β₃選択的 膀胱排尿筋弛緩→蓄尿量↑。口渇なし(M受容体に作用しない)。過活動膀胱
リトドリン β₂刺激 子宮平滑筋弛緩。切迫早産

β受容体遮断薬(β遮断薬)

薬物 β₁選択性 ISA 特徴
プロプラノロール 非選択的(β₁・β₂) なし 脂溶性↑→中枢移行(頭痛・不眠)。気管支喘息禁忌
アテノロール β₁選択的 なし 水溶性→中枢移行少ない。腎排泄
ビソプロロール β₁選択的 なし 心不全・高血圧に使用
ピンドロール 非選択的 あり ISA→安静時の徐脈が起こりにくい
カルベジロール α₁+β非選択的 なし 血管拡張作用あり。心不全に有用

ISA(内因性交感神経刺激活性):β受容体を弱く刺激しながら遮断する性質。安静時の徐脈が起こりにくい。ピンドロール・アセブトロールが代表。

β遮断薬の気管支喘息禁忌:β₂遮断→気管支収縮。β₁選択的薬でも高用量では禁忌。


🫀 副交感神経系薬

ムスカリン受容体の種類と分布

受容体 Gタンパク 主な分布 活性化で起こること
M₁ Gq 胃壁細胞・神経節 胃酸分泌↑
M₂ Gi 心臓(洞房結節・房室結節) 心拍数↓・伝導↓
M₃ Gq 平滑筋・外分泌腺・毛様体筋・瞳孔括約筋・膀胱排尿筋 収縮・分泌↑・縮瞳・排尿促進

ムスカリン受容体刺激薬(直接型)

薬物 選択性 特徴・適応
ピロカルピン M(特にM₃) 毛様体筋収縮(調節緊張)・縮瞳・唾液分泌↑。緑内障・口腔乾燥症
ベタネコール M₃ 消化管・膀胱平滑筋収縮。ニコチン受容体に作用しない。術後腸管麻痺・排尿障害
セビメリン M₃選択的 M₁・M₂への作用が少→唾液・涙液分泌↑。シェーグレン症候群・ドライマウス

コリンエステラーゼ(ChE)阻害薬(間接型)

AChを分解するChEを阻害 → ACh濃度↑ → M・N受容体を刺激

シナプス前膜からACh放出
  ↓
シナプス間隙
  ↓ 通常はコリンエステラーゼ(ChE)がAChを加水分解→コリン+酢酸
  ↓ 【ChE阻害薬】がChEを阻害 → AChが分解されずにシナプス間隙に蓄積
後膜のM受容体・N受容体
  ↓ ACh過剰刺激
副交感神経様作用↑(縮瞳・気管支収縮・腸管収縮・心拍↓・分泌↑)
+骨格筋収縮↑(Nm受容体刺激)
薬物 阻害の種類 特徴・適応
ネオスチグミン 可逆的 末梢性(中枢移行しにくい)。重症筋無力症・術後腸管麻痺・筋弛緩薬の拮抗
ドネペジル 可逆的(中枢選択的) 脳内AChを増やす。アルツハイマー型認知症
フィゾスチグミン 可逆的 中枢移行あり。緑内障(点眼)・アトロピン中毒の解毒
エドロホニウム 可逆的(超短時間) 静注後数分で効果消失。重症筋無力症の診断(テンシロンテスト)
パラチオン(有機リン) 不可逆的 農薬・サリン類似。ChEと共有結合。解毒薬:PAM+アトロピン

有機リン中毒の治療フロー:

有機リン(パラチオン・サリン等)が体内に吸収
  ↓
ChEと共有結合(不可逆的)→ ACh分解できず → ACh過剰蓄積
  ↓
SLUDGE症状:縮瞳・流涎・排尿↑・下痢・嘔吐/気管支痙攣・徐脈

【治療】
PAM(プラリドキシム)
  → 有機リン-ChE複合体を分解してChEを再活性化
  → ※エイジング(時間経過で結合が安定化)前に早急に投与!

アトロピン(M受容体遮断薬)
  → M受容体をブロックして副交感神経様症状(縮瞳・気管支痙攣・徐脈)を緩和
  → ※N受容体症状(筋麻痺)にはPAMが必要

PAMはエイジング前の早期投与が必須。時間が経つと有機リン-ChE結合が安定化してPAMが効かなくなる。

ムスカリン受容体遮断薬(抗コリン薬)

薬物 選択性 特徴・適応
アトロピン 非選択的 M₂遮断→心拍数↑・散瞳。徐脈・有機リン中毒・術前投与
スコポラミン 非選択的 中枢移行あり→鎮静・乗り物酔い抑制。麻酔前投薬
ピレンゼピン M₁選択的 胃酸分泌↓。消化性潰瘍
オキシブチニン M₃遮断 膀胱平滑筋弛緩→蓄尿量↑。口渇の副作用。過活動膀胱
ソリフェナシン M₃選択的 膀胱選択的。口渇が少ない。過活動膀胱
チオトロピウム M₃遮断(長時間) 吸入薬・気管支拡張。1日1回。COPD長期管理
トロピカミド M₃遮断 散瞳・調節麻痺(点眼)。眼底検査・屈折検査

抗コリン薬の5大副作用:散瞳・調節麻痺(M₃)/頻脈(M₂遮断)/口渇(唾液分泌↓)/便秘(消化管蠕動↓)/尿閉(膀胱括約筋収縮)

閉塞隅角緑内障に禁忌:散瞳→隅角が狭くなる→眼房水の流出障害→眼圧上昇。


ニコチン受容体(N受容体)関連薬

受容体 場所 関連薬
Nn(神経節型) 自律神経節 神経節遮断薬(ヘキサメトニウム)が作用
Nm(筋肉型) 神経筋接合部 筋弛緩薬(スキサメトニウム・ベクロニウム)が作用

国試頻出まとめ

# ポイント
1 α₁(Gq):血管収縮・散瞳・前立腺収縮 / 刺激薬:フェニレフリン / 遮断薬:プラゾシン・タムスロシン
2 α₂(Gi):NA遊離↓(自己受容体) / 刺激薬:クロニジン(中枢性降圧)・メチルドパ(妊婦に可)
3 β₁(Gs):心拍数↑・心収縮力↑ / 遮断薬:ビソプロロール・アテノロール(β₁選択的)
4 β₂(Gs):気管支拡張・子宮弛緩 / 刺激薬:サルブタモール(SABA)・サルメテロール(LABA)・リトドリン
5 β₃(Gs):膀胱弛緩 / 刺激薬:ミラベグロン(過活動膀胱・口渇なし)
6 ISA:β受容体を弱く刺激しながら遮断→安静時の徐脈が起こりにくい。代表薬:ピンドロール
7 M₁(Gq):胃酸分泌↑ / 遮断薬:ピレンゼピン(消化性潰瘍)
8 M₂(Gi):心拍数↓・伝導↓ / 遮断薬:アトロピン(徐脈・有機リン中毒)
9 M₃(Gq):平滑筋収縮・外分泌↑・縮瞳 / 刺激薬:ピロカルピン・セビメリン / 遮断薬:チオトロピウム・ソリフェナシン
10 ChE阻害薬:可逆的(ネオスチグミン・ドネペジル・エドロホニウム)vs 不可逆的(有機リン)。有機リン解毒:PAM+アトロピン

📝 国試過去問チェック

第111回 問152(一般)

自律神経系に関する記述のうち、正しいのはどれか。1つ選べ。

1. フェニレフリンはα₂受容体を選択的に刺激し昇圧する
2. クロニジンは末梢のα₁受容体を刺激して血圧を下げる
3. セビメリンはM₃受容体を選択的に刺激し唾液分泌を促進する
4. アトロピンはM受容体を刺激して心拍数を上昇させる
5. ネオスチグミンはコリンエステラーゼと不可逆的に結合して阻害する

解答と解説を見る

正解:3

1✗ フェニレフリンはα₁選択的刺激薬(α₂ではない)。
2✗ クロニジンは中枢のα₂受容体を刺激して降圧(末梢α₁ではない)。
3○ セビメリンはM₃選択的刺激→シェーグレン症候群の口腔乾燥症に使用。
4✗ アトロピンはM受容体を遮断する(刺激ではない)。
5✗ ネオスチグミンは可逆的阻害(不可逆的なのはパラチオン等の有機リン)。


第109回 問82(一般)

β遮断薬に関する記述のうち、正しいのはどれか。1つ選べ。

1. プロプラノロールはβ₁選択性が高いため、気管支喘息患者に安全に使用できる
2. ピンドロールはISAを持つため、安静時の徐脈が起こりにくい
3. アテノロールは脂溶性が高く中枢移行しやすいため不眠の副作用がある
4. カルベジロールはβ受容体のみを遮断する
5. ビソプロロールはα₁受容体も遮断するため血管拡張作用がある

解答と解説を見る

正解:2

1✗ プロプラノロールは非選択的β遮断薬。気管支喘息に禁忌。
2○ ピンドロールはISAあり→安静時の徐脈が起こりにくい。
3✗ アテノロールは水溶性で中枢移行しにくい(中枢性副作用が少ない)。
4✗ カルベジロールはα₁+βを遮断(血管拡張作用あり)。
5✗ ビソプロロールはβ₁選択的(α₁は遮断しない)。

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