🏷️ モノクローナル抗体の命名規則
| 語尾 | 由来 | 例 |
|---|---|---|
| -umab | 完全ヒト型抗体 | アダリムマブ・セクキヌマブ |
| -zumab | ヒト化抗体 | トシリズマブ・ラニビズマブ |
| -ximab | キメラ抗体(ヒト+マウス) | インフリキシマブ・リツキシマブ |
| -cept | 受容体融合タンパク | エタネルセプト・アバタセプト |
TNF阻害薬
炎症部位でのTNF-α産生
(マクロファージ・T細胞から分泌)
↓
TNF受容体(TNFR1/TNFR2)に結合
↓
NF-κB活性化 → 炎症性サイトカイン産生↑
滑膜増殖・骨・軟骨破壊
【TNF阻害薬の作用】
インフリキシマブ・アダリムマブ → TNF-αに直接結合して中和
エタネルセプト → TNFR2細胞外ドメイン+Fc融合体がTNF-αを捕捉
↓
TNF-αがTNF受容体に結合できない
↓
炎症シグナル↓ → 関節リウマチ・クローン病等を改善
| 薬物 | 種類 | 特徴 |
|---|---|---|
| インフリキシマブ | キメラ型抗TNF抗体(-ximab) | 点滴静注。クローン病・潰瘍性大腸炎にも適応 |
| エタネルセプト | TNFR2・Fc融合タンパク(-cept) | 可溶型TNF・LTα両方に結合。皮下注 |
| アダリムマブ | 完全ヒト型抗TNF抗体(-umab) | 皮下注。クローン病・潰瘍性大腸炎にも適応 |
共通:使用前にQFT(クォンティフェロン)検査必須(結核の活性化リスク) B型肝炎の再活性化・重篤な感染症に注意
IL-6阻害薬:トシリズマブ
IL-6(炎症性サイトカイン)
↓
IL-6受容体(IL-6R)に結合
↓ JAK1/JAK2
STAT3のリン酸化・核内移行
↓
CRP産生↑・滑膜炎・骨吸収↑
【トシリズマブの作用】
抗IL-6受容体抗体(ヒト化:-zumab)
IL-6Rに結合してIL-6のシグナルをブロック
↓
JAK-STAT3経路↓
↓
CRP↓↓・滑膜炎抑制・骨吸収↓
適応:関節リウマチ・全身型若年性特発性関節炎・成人Still病 CRPが劇的に低下する(IL-6がCRP産生を直接刺激するため) 副作用:感染症・腸管穿孔・高脂血症
IL-17A阻害薬
Th17細胞が活性化
↓
IL-17Aを産生・分泌
↓
IL-17受容体(IL-17RA/RC)に結合
↓
好中球動員・炎症性サイトカイン産生↑
↓
乾癬の皮膚炎症・強直性脊椎炎の骨炎症
【IL-17A阻害薬の作用】
セクキヌマブ・イキセキズマブ → IL-17Aに直接結合して中和
ブロダルマブ → IL-17受容体A(IL-17RA)を遮断
↓
IL-17Aシグナル↓ → 炎症抑制
| 薬物 | 標的 | 適応 |
|---|---|---|
| セクキヌマブ(完全ヒト型:-umab) | IL-17A | 尋常性乾癬・関節症性乾癬・強直性脊椎炎 |
| イキセキズマブ | IL-17A | 尋常性乾癬 |
| ブロダルマブ | IL-17受容体A(IL-17RA) | 尋常性乾癬 |
セクキヌマブは「完全ヒト型(-umab)」→「キメラ型(-ximab)」ではない!
IL-23阻害薬
| 薬物 | 標的 | 主な適応 |
|---|---|---|
| ウステキヌマブ | IL-12/IL-23のp40サブユニット | 乾癬・クローン病・潰瘍性大腸炎 |
| グセルクマブ | IL-23のp19サブユニット | 乾癬 |
| リサンキズマブ | IL-23のp19サブユニット | 乾癬・クローン病 |
ウステキヌマブはp40を阻害するためIL-12・IL-23の両方を阻害
アバタセプト(T細胞共刺激阻害薬)
【T細胞活性化に必要な2つのシグナル】
シグナル1:TCR ← MHC/抗原ペプチド(抗原提示細胞)
シグナル2:CD28 ← CD80/CD86(共刺激シグナル)
↓ 両方揃って初めてT細胞が活性化
【アバタセプトの作用】
CTLA-4-Fc融合タンパク(-cept)
CD80/CD86に高親和性で結合
↓
T細胞のCD28への共刺激シグナルを遮断
↓
T細胞活性化↓ → 関節リウマチの炎症を抑制
適応:TNF阻害薬が効かない関節リウマチ症例
JAK阻害薬(経口小分子薬)
多くのサイトカイン受容体のシグナル経路
サイトカイン(IL-2・IL-6・IFNなど)
↓
細胞膜受容体に結合
↓
JAK(ヤヌスキナーゼ)が活性化
↓
STAT(転写因子)のリン酸化 → 核内移行
↓
遺伝子転写 → 炎症・免疫応答↑
【JAK阻害薬の作用】
JAKを阻害(細胞内シグナル遮断)
↓
多種類のサイトカインシグナルを同時に抑制
↓
T細胞増殖・炎症↓
| 薬物 | JAK選択性 | 特徴 |
|---|---|---|
| トファシチニブ | JAK1/JAK3 | 関節リウマチ・潰瘍性大腸炎 |
| バリシチニブ | JAK1/JAK2 | 関節リウマチ・アトピー性皮膚炎 |
| ウパダシチニブ | JAK1選択的 | 関節リウマチ・アトピー性皮膚炎 |
生物製剤(注射・点滴)と異なり経口投与可能 副作用:帯状疱疹・静脈血栓塞栓症・脂質異常
カルシニューリン阻害薬
T細胞受容体(TCR)が抗原刺激を受ける
↓
細胞内Ca²⁺↑
↓
カルモジュリンがCa²⁺と結合
↓
カルシニューリン(ホスファターゼ)が活性化
↓
NFAT(活性化T細胞核内因子)を脱リン酸化
↓
NFATが核内移行
↓
IL-2遺伝子転写↑ → T細胞増殖・免疫応答↑
【カルシニューリン阻害薬の作用】
シクロスポリン → シクロフィリンと複合体形成
タクロリムス → FKBP12と複合体形成
↓
いずれもカルシニューリンを阻害
↓
NFATの脱リン酸化(核内移行)↓
↓
IL-2産生↓ → T細胞増殖↓
| 薬物 | 結合タンパク | 標的 | 主な副作用 |
|---|---|---|---|
| シクロスポリン | シクロフィリン | カルシニューリン | 腎毒性・高血圧・多毛・歯肉肥厚 |
| タクロリムス | FKBP12 | カルシニューリン | 腎毒性・高血糖・神経毒性 |
| シロリムス | FKBP12 | mTOR(カルシニューリンではない!) | 高脂血症 |
シロリムスはFKBP12に結合するが標的はmTOR(カルシニューリンではない!)
SLE(全身性エリテマトーデス)の治療
診断マーカー
| 抗体 | 対応疾患 |
|---|---|
| 抗二本鎖DNA(ds-DNA)抗体 | SLEに特異性が高い(疾患活動性の指標にもなる) |
| 抗スミス(Sm)抗体 | SLEに特異性が高い |
| 抗CCP抗体 | 関節リウマチ |
| 抗Jo-1抗体 | 多発性筋炎・皮膚筋炎 |
| 抗GAD抗体 | 1型糖尿病 |
ベリムマブ(抗BLyS/BAFF抗体)
BLyS(B細胞活性化因子/BAFF)
↓
自己反応性B細胞の生存・増殖を促進
↓
自己抗体(抗ds-DNA抗体等)産生↑ → SLE増悪
【ベリムマブの作用】
BLyS/BAFFを中和(抗体)
↓
自己反応性B細胞の増殖↓
↓
自己抗体産生↓ → SLE改善
ベリムマブはBLyS/BAFFを中和する(CD20に結合してB細胞を除去するのはリツキシマブ!)
SLE免疫抑制薬
| 薬物 | 機序 |
|---|---|
| ミゾリビン | IMP脱水素酵素阻害→プリン合成↓→T・B細胞増殖↓ |
| ミコフェノール酸モフェチル | プロドラッグ→ミコフェノール酸→IMP脱水素酵素阻害→プリン合成↓ |
| シクロホスファミド | 肝でアルデホスファミドに活性化→DNAアルキル化→DNA複製阻害 |
📊 その他の重要な生物製剤・組換え体医薬品
| 薬物 | 標的・種類 | 適応 |
|---|---|---|
| リツキシマブ | 抗CD20抗体(キメラ型:-ximab) | B細胞リンパ腫・関節リウマチ |
| オマリズマブ | 抗IgE抗体 | 気管支喘息・慢性蕁麻疹 |
| メポリズマブ | 抗IL-5抗体 | 好酸球性気管支喘息 |
| アルテプラーゼ | 組換え体(t-PA) | 血栓溶解 |
| カルペリチド | 組換え体(ANP) | 急性心不全 |
| ソラフェニブ | 低分子化合物(マルチキナーゼ阻害) | 固形がん(組換え体ではない) |
国試頻出まとめ
| # | ポイント |
|---|---|
| 1 | 命名規則:-umab=完全ヒト型、-zumab=ヒト化、-ximab=キメラ型、-cept=受容体融合タンパク |
| 2 | TNF阻害薬(インフリキシマブ等):使用前にQFT検査必須(結核の活性化リスク) |
| 3 | トシリズマブ:抗IL-6受容体抗体(ヒト化:-zumab)→JAK-STAT3阻害→CRP↓↓ |
| 4 | セクキヌマブ:抗IL-17A抗体(完全ヒト型:-umab)→乾癬・強直性脊椎炎。キメラ型(-ximab)ではない! |
| 5 | アバタセプト:CTLA-4-Fc(-cept)→CD80/CD86に結合→T細胞CD28共刺激を遮断→T細胞活性化↓ |
| 6 | シクロスポリン:シクロフィリン複合体→カルシニューリン阻害。タクロリムス:FKBP12複合体→カルシニューリン阻害。シロリムスはFKBP12複合体→mTOR阻害(カルシニューリンではない!) |
| 7 | JAK阻害薬(トファシチニブ等):細胞内JAK-STAT経路を阻害→経口投与可能(生物製剤は注射) |
| 8 | ベリムマブ:BLyS/BAFFを中和→自己反応性B細胞増殖↓→SLE改善。CD20を標的とするのはリツキシマブ |
| 9 | SLE診断マーカー:抗ds-DNA抗体(SLE特異性高・疾患活動性の指標)。抗CCP=RA、抗Jo-1=多発性筋炎 |
| 10 | ミゾリビン・ミコフェノール酸モフェチルはともにIMP脱水素酵素阻害→プリン合成↓(ジヒドロ葉酸還元酵素阻害はメトトレキサート) |
📝 国試過去問チェック
第107回 問31(必須問題)
T細胞のカルシニューリンを阻害する免疫抑制薬はどれか。1つ選べ。
1. シクロホスファミド
2. アザチオプリン
3. レフルノミド
4. バシリキシマブ
5. シクロスポリン
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正解:5
5○ シクロスポリン=シクロフィリンと複合体→カルシニューリン阻害→NFATの核内移行↓→IL-2産生↓→T細胞増殖↓。
1✗ シクロホスファミドはDNAアルキル化薬。
2✗ アザチオプリンはプリン合成阻害(6-MPに変換)。
3✗ レフルノミドはピリミジン合成阻害(ジヒドロオロト酸脱水素酵素阻害)。
4✗ バシリキシマブはIL-2受容体(CD25)に対するキメラ型抗体→T細胞増殖↓(カルシニューリン阻害ではない)。
第107回 問56(必須問題)
全身性エリテマトーデス(SLE)に特異性の高い抗体はどれか。1つ選べ。
1. 抗チログロブリン抗体
2. 抗二本鎖DNA抗体
3. 抗CCP抗体
4. 抗Jo-1抗体
5. 抗GAD抗体
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正解:2
2○ 抗ds-DNA抗体はSLEに特異性が高く、疾患活動性の指標にもなる。
1✗ 抗チログロブリン抗体は橋本病(慢性甲状腺炎)。
3✗ 抗CCP抗体は関節リウマチ。
4✗ 抗Jo-1抗体は多発性筋炎・皮膚筋炎。
5✗ 抗GAD抗体は1型糖尿病。
第107回 問68(必須問題)
組換え体医薬品でないのはどれか。1つ選べ。
1. アルテプラーゼ
2. カルペリチド
3. ソラフェニブ
4. ニボルマブ
5. レノグラスチム
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正解:3
3○ ソラフェニブはマルチキナーゼ阻害薬(低分子化合物)であり組換え体医薬品ではない。
1✗ アルテプラーゼは組換え体t-PA(血栓溶解薬)。
2✗ カルペリチドは組換え体ANP(急性心不全)。
4✗ ニボルマブは組換え体抗体(抗PD-1:免疫チェックポイント阻害薬)。
5✗ レノグラスチムは組換え体G-CSF(好中球減少症)。
第108回 問156(一般問題)
抗リウマチ薬に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。
1. インフリキシマブは、抗ヒトTNF-α受容体モノクローナル抗体で、TNF-αの作用を抑制する
2. アバタセプトは、抗原提示細胞表面のCD80/CD86に結合して、CD28を介した共刺激シグナルを抑制する
3. トファシチニブは、ヤヌスキナーゼ(JAK)を阻害して、IL-2受容体の活性化を介した作用を抑制する
4. トシリズマブは、抗ヒトIL-1βモノクローナル抗体で、IL-1βの作用を抑制する
5. エタネルセプトは、IL-6受容体の細胞外ドメインとヒトIgGのFc鎖との融合タンパク質で、IL-6の作用を抑制する
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正解:2・3
2○ アバタセプト=CTLA-4-Fc融合タンパク。CD80/CD86に結合→T細胞のCD28共刺激シグナル遮断→T細胞活性化↓。
3○ トファシチニブ=JAK1/JAK3阻害→JAK-STAT経路↓→IL-2等のサイトカインシグナル抑制。
1✗ インフリキシマブはTNF-α受容体に結合するのではなく、TNF-αそのものに結合して中和する。
4✗ トシリズマブは抗IL-1β抗体ではなく抗IL-6受容体抗体(ヒト化:-zumab)。
5✗ エタネルセプトはIL-6受容体ではなくTNF受容体(TNFR2)の細胞外ドメインとFc融合タンパク→TNF-αを中和。
第109回 問158(一般問題)
SLE及びその合併症の治療に用いられる薬物に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。
1. シクロホスファミドは、肝臓で代謝されて活性体となり、DNAをアルキル化して、DNAの複製を阻害する
2. ミゾリビンは、ジヒドロ葉酸還元酵素を阻害して、チミジル酸の合成を抑制する
3. タクロリムスは、活性化T細胞核内因子(NFAT)のリン酸化を阻害して、IL-2の産生を抑制する
4. ミコフェノール酸モフェチルは、体内でミコフェノール酸に加水分解され、プリン塩基の合成を抑制する
5. ベリムマブは、BリンパBリンパ球細胞膜のCD20に結合して、Bリンパ球の増殖を抑制する
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正解:1・4
1○ シクロホスファミドは肝臓でアルデホスファミドに活性化→DNAアルキル化→DNA複製阻害。
4○ ミコフェノール酸モフェチル→加水分解→ミコフェノール酸→IMP脱水素酵素阻害→プリン合成↓。
2✗ ミゾリビンはジヒドロ葉酸還元酵素阻害ではなくIMP脱水素酵素阻害(葉酸代謝阻害はメトトレキサートの機序)。
3✗ タクロリムスはNFATのリン酸化を阻害するのではなく、カルシニューリンを阻害することでNFATの脱リン酸化・核内移行を阻害する。
5✗ ベリムマブはCD20ではなくBLyS/BAFFを中和する抗体。CD20を標的とするのはリツキシマブ。
第110回 問33(必須問題)
尋常性乾癬の治療に用いられるセクキヌマブの標的分子はどれか。1つ選べ。
1. ホスホジエステラーゼⅣ(PDE IV)
2. チロシンキナーゼ2(Tyk2)
3. ビタミンD受容体
4. IL-12及びIL-23
5. IL-17A
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正解:5
5○ セクキヌマブはIL-17Aに特異的に結合して中和する完全ヒト型抗IL-17A抗体(-umab)。
1✗ PDE IV阻害はアプレミラスト(小分子薬)。
2✗ Tyk2阻害はデュークラバシチニブ(小分子JAK/Tyk2阻害薬)。
3✗ ビタミンD受容体作動はカルシポトリオール(局所外用薬)。
4✗ IL-12/IL-23のp40サブユニットを阻害するのはウステキヌマブ(セクキヌマブはIL-17Aを直接標的)。
