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🏥 病態・薬物治療

がんの薬物治療【国試頻出】分子標的薬・前立腺がん・免疫チェックポイント阻害薬

📅 2026年5月20日🔄 更新: 2026年5月21日
📖 この記事でわかること
  • フィラデルフィア染色体・BCR-ABL阻害薬とEGFR/ALK阻害薬の使い分けがわかる
  • 前立腺がんのGnRHアゴニストとアンタゴニスト(デガレリクス)の違いがわかる
  • 免疫チェックポイント阻害薬(ペムブロリズマブ)の作用機序とコンパニオン診断がわかる
  • TNM分類・腫瘍マーカー・多発性骨髄腫・GVHD・幹細胞の国試重要ポイントがわかる
  • 国試頻出10テーマと3問分の過去問解説がわかる
目次
  1. 1.がんの薬物治療
  2. 2.分子標的薬の分類と適応
  3. BCR-ABL阻害薬(TKI):フィラデルフィア染色体陽性白血病
  4. 主要な分子標的薬の比較(混同注意)
  5. 3.前立腺がんのホルモン療法
  6. GnRH関連薬の比較
  7. 前立腺がん治療薬と間違えやすい薬剤
  8. 4.免疫チェックポイント阻害薬
  9. 免疫チェックポイントとは
  10. ペムブロリズマブ(キイトルーダ)
  11. コンパニオン診断薬の整理
  12. 5.遺伝子治療・幹細胞・造血幹細胞移植
  13. CAR-T細胞療法
  14. 遺伝子治療のポイント
  15. 幹細胞の種類と特徴
  16. 移植片対宿主病(GVHD)
  17. 6.腫瘍マーカー・TNM分類・骨髄腫
  18. 主要腫瘍マーカー一覧
  19. TNM分類
  20. 多発性骨髄腫の「CRAB」症状
  21. メトトレキサート大量療法(HD-MTX)とアセタゾラミド
  22. 7.国試頻出まとめ
  23. 8.国試過去問チェック

🧬 がんの薬物治療

国試では分子標的薬の作用機序・適応・コンパニオン診断が頻出です。混同しやすい薬剤を整理して覚えましょう。


分子標的薬の分類と適応

BCR-ABL阻害薬(TKI):フィラデルフィア染色体陽性白血病

項目 内容
フィラデルフィア染色体 染色体9番と22番の相互転座:t(9;22)
形成される異常遺伝子 BCR-ABL融合遺伝子
結果 BCR-ABLチロシンキナーゼが恒常的に活性化 → 白血病細胞の無制限増殖
対象疾患 慢性骨髄性白血病(CML)・フィラデルフィア染色体陽性ALL(Ph+ALL)
薬剤 世代 主な適応
イマチニブ 第1世代 CML・Ph+ALL
ダサチニブ 第2世代 CML・Ph+ALL(イマチニブ耐性も)
ニロチニブ 第2世代 CML
ポナチニブ 第3世代 T315I変異にも有効

主要な分子標的薬の比較(混同注意)

薬剤 ターゲット 主な適応
ダサチニブ BCR-ABL CML・Ph+ALL
ゲフィチニブ・オシメルチニブ EGFR 非小細胞肺がん
クリゾチニブ・アレクチニブ ALK/ROS1 非小細胞肺がん
ルキソリチニブ JAK1/2 骨髄線維症・真性多血症
トラスツズマブ HER2 乳がん・胃がん
オラパリブ PARP BRCA1/2変異の乳がん・卵巣がん

ダサチニブ=BCR-ABL(白血病)。EGFRやALK阻害薬(肺がん)と混同しない


🩺 前立腺がんのホルモン療法

前立腺がんはアンドロゲン(男性ホルモン)依存性のため、アンドロゲン除去療法(ADT)が治療の主軸です。

GnRH関連薬の比較

薬剤 分類 初期フレア 特徴
デガレリクス GnRHアンタゴニスト なし 速効性。LH・FSH分泌を即時抑制
リュープロレリド GnRHアゴニスト あり 投与初期は一時的にテストステロン↑(症状悪化)
ゴセレリン GnRHアゴニスト あり 同上
ビカルタミド アンドロゲン受容体拮抗薬 前立腺でのアンドロゲン作用を遮断
エンザルタミド アンドロゲン受容体拮抗薬 去勢抵抗性前立腺がんに使用

デガレリクス(アンタゴニスト)= 初期フレアなし・速効性 GnRHアゴニストは初期に症状が一時悪化する「フレア現象」に注意

前立腺がん治療薬と間違えやすい薬剤

薬剤 実際の用途
ナフトピジル(α₁遮断薬) 前立腺肥大症の排尿障害 → がんではない
タダラフィル(PDE5阻害薬) 勃起不全・前立腺肥大症
レトロゾール(アロマターゼ阻害薬) 乳がん(閉経後女性)

🛡️ 免疫チェックポイント阻害薬

免疫チェックポイントとは

がん細胞はPD-L1を発現し、T細胞のPD-1と結合することで免疫を回避します。免疫チェックポイント阻害薬はこの「ブレーキ」を解除します。

がん細胞(PD-L1発現)
      ↓ 結合
T細胞(PD-1)→ 免疫抑制(がん細胞が免疫から逃れる)

ペムブロリズマブ(抗PD-1抗体)
      ↓ PD-1をブロック
T細胞が活性化 → がん細胞を攻撃できる

ペムブロリズマブ(キイトルーダ)

項目 内容
標的 PD-1(T細胞上)
作用 PD-1をブロック → T細胞活性化 → がん細胞を攻撃
コンパニオン診断 PD-L1タンパク質の発現検査
適応 非小細胞肺がん・黒色腫・胃がんなど多数

コンパニオン診断薬の整理

薬剤 コンパニオン診断の対象 変異の種類
ペムブロリズマブ PD-L1タンパク質発現 タンパク質発現
ゲフィチニブ EGFR遺伝子変異 体細胞変異
クリゾチニブ ALK遺伝子変異 体細胞変異
トラスツズマブ HER2タンパク質 タンパク質発現/増幅
オラパリブ BRCA1/2遺伝子変異 生殖細胞系列変異

BRCA1/2変異は生殖細胞系列(遺伝性)。EGFR・ALK・KRAS等は体細胞変異(後天性)


遺伝子治療・幹細胞・造血幹細胞移植

CAR-T細胞療法

患者自身のT細胞を採取
    ↓
体外でキメラ抗原受容体(CAR)遺伝子を導入
    ↓
CAR-T細胞を培養・増殖
    ↓
患者に戻す → がん細胞を認識・攻撃

適応:CD19陽性のB細胞性急性リンパ性白血病・びまん性大細胞型B細胞リンパ腫など

遺伝子治療のポイント

項目 内容
対象疾患 先天性疾患に限定されない(がん・感染症・後天性疾患も対象)
ベクター ウイルスベクター(レトロウイルス・アデノウイルス・AAV)は禁止されていない
生殖細胞への導入 次世代への影響があり倫理的に禁止

幹細胞の種類と特徴

幹細胞 作製方法 分化能 ポイント
ES細胞(胚性幹細胞) **受精卵(胚盤胞)**の内部細胞塊から樹立 多能性(全細胞) 自己複製能あり。倫理問題あり
iPS細胞(人工多能性幹細胞) 体細胞に山中因子を導入して作製 多能性(全細胞) 受精卵は使わない
造血幹細胞 骨髄・末梢血・臍帯血に存在 血球系細胞のみ 全能性ではない

造血幹細胞は臍帯血にも存在する(臍帯血バンクの根拠)

移植片対宿主病(GVHD)

項目 内容
定義 ドナー由来T細胞がレシピエントの組織(皮膚・腸管・肝臓等)を攻撃する
発症 同種移植でのみ発症(自家移植では発症しない)
急性GVHD 移植後2〜6週間が好発(100日以内)
予防 移植前から免疫抑制薬(シクロスポリン・タクロリムス等)を投与

腫瘍マーカー・TNM分類・骨髄腫

主要腫瘍マーカー一覧

マーカー 主な腫瘍 注意点
AFP 肝細胞がん・卵黄嚢腫瘍 肝硬変でも軽度上昇
CEA 大腸がん・胃がん・肺がん 喫煙でも上昇
CA19-9 膵臓がん・胆道がん 膵がんのマーカー
PSA 前立腺がん 前立腺炎でも↑
CA125 卵巣がん 子宮内膜症でも上昇
NSE 小細胞肺がん・神経芽腫 神経内分泌腫瘍
hCG(β-hCG) 絨毛がん・胚細胞腫瘍 正常妊娠でも上昇

腫瘍マーカーは「単独での診断確定」には使えない(特異度が低い)。治療効果・再発モニタリングに有用

TNM分類

記号 意味 評価内容
T(Tumor) 原発巣 大きさ・浸潤の程度(T0〜T4)。臓器ごとに基準が異なる
N(Node) リンパ節転移 有無と広がり(N0〜N3)
M(Metastasis) 遠隔転移 有無(M0/M1)

NはリンパNode(リンパ節転移)、MはMetastasis(遠隔転移)。逆にしない! TNM分類の基準は臓器ごとに異なる(臓器を問わず同一ではない)

多発性骨髄腫の「CRAB」症状

頭字語 症状 機序
C(Calcium) 高カルシウム血症 骨破壊→Ca遊離
R(Renal) 腎障害 軽鎖(ベンスジョーンズタンパク)腎毒性・アミロイド沈着
A(Anemia) 貧血 骨髄浸潤→正球性貧血
B(Bone) 骨病変(溶骨性・打ち抜き像) RANKLを介した破骨細胞活性化

多発性骨髄腫 = B細胞(形質細胞)が腫瘍化。フィラデルフィア染色体はCML・ALL(骨髄腫ではない)

メトトレキサート大量療法(HD-MTX)とアセタゾラミド

時期 処置 目的
投与前〜中 大量輸液(水分負荷) 腎血流維持・MTX排泄促進
投与前〜中 尿アルカリ化アセタゾラミド・炭酸水素Na) MTX溶解度↑→腎毒性予防
投与後24〜48時間から ホリナート(ロイコボリン)救援療法 正常細胞をMTX毒性から救済

G-CSFはMTX投与中は使用しない(骨髄毒性増強リスク) メスナはシクロホスファミドの出血性膀胱炎予防(MTXには不要)


国試頻出まとめ

# テーマ 重要ポイント
1 Ph+ALL・BCR-ABL阻害薬 ダサチニブ(第2世代TKI)。ゲフィチニブ(EGFR)と混同しない
2 デガレリクスの特徴 GnRHアンタゴニスト = 初期フレアなし・速効性
3 ナフトピジルの注意 前立腺肥大症の薬(α₁遮断薬)。がん治療ではない
4 ペムブロリズマブの機序 PD-1抗体。T細胞を活性化してがん細胞を攻撃
5 ペムブロリズマブのコンパニオン診断 PD-L1タンパク質の発現検査
6 BRCA1/2変異の特徴 生殖細胞系列変異(遺伝性)。EGFR・ALK・KRASは体細胞変異
7 CAR-T細胞療法 患者T細胞にCAR遺伝子を導入してがん細胞を攻撃
8 iPS細胞の作製 体細胞に山中因子を導入(受精卵は使わない)
9 腫瘍マーカーの限界 単独での診断確定には使えない(再発・治療効果モニタリングに有用)
10 HD-MTXと尿アルカリ化 アセタゾラミド→尿アルカリ化→MTX腎毒性予防

📝 国試過去問チェック

第111回 問66(Ph+ALLの治療薬)

フィラデルフィア染色体陽性急性リンパ性白血病の治療に用いられるのはどれか。1つ選べ。

  1. ゲフィチニブ
  2. クリゾチニブ
  3. ダサチニブ
  4. セリチニブ
  5. ルキソリチニブ
解答と解説を見る

正答:3

3✅ ダサチニブはBCR-ABL阻害薬(第2世代TKI)。フィラデルフィア染色体によるBCR-ABL融合チロシンキナーゼを阻害する。CML・Ph+ALLの治療に使用。1❌ ゲフィチニブ → EGFR阻害薬(非小細胞肺がん)。2❌ クリゾチニブ → ALK/ROS1阻害薬(非小細胞肺がん)。4❌ セリチニブ → ALK阻害薬(非小細胞肺がん)。5❌ ルキソリチニブ → JAK1/2阻害薬(骨髄線維症・真性多血症)。


第111回 問70(ペムブロリズマブのコンパニオン診断)

ペムブロリズマブを投与する際に、コンパニオン診断薬によって検査する遺伝子変異あるいはタンパク質として正しいのはどれか。1つ選べ。

  1. BRCA遺伝子変異
  2. RAS遺伝子変異
  3. KRAS遺伝子変異
  4. HER2タンパク質
  5. PD-L1タンパク質
解答と解説を見る

正答:5

5✅ PD-L1タンパク質の発現量を免疫組織化学検査(IHC)で確認するコンパニオン診断薬が承認されている。PD-L1高発現例で特に効果が期待される。1❌ BRCA遺伝子変異 → PARP阻害薬(オラパリブ)のコンパニオン診断。2・3❌ RAS/KRAS遺伝子変異 → 大腸がんの抗EGFR抗体(セツキシマブ等)のコンパニオン診断。4❌ HER2タンパク質 → トラスツズマブのコンパニオン診断。


第109回 問70(BRCA1/2遺伝子変異)

コンパニオン診断(医薬品の適応判定を目的とした体外診断)のうち、生殖細胞系列遺伝子に対する検査項目はどれか。1つ選べ。

  1. ALK融合遺伝子
  2. BRAF遺伝子変異
  3. BRCA1/2遺伝子変異
  4. EGFR遺伝子変異
  5. KRAS遺伝子変異
解答と解説を見る

正答:3

3✅ BRCA1/2遺伝子変異は生殖細胞系列変異(germline mutation)。親から受け継ぐ遺伝性変異で全細胞に存在する。遺伝性乳がん・卵巣がん症候群(HBOC)の原因。適応薬:PARP阻害薬(オラパリブ)。1❌ ALK融合遺伝子 → 体細胞変異(非小細胞肺がんのがん細胞のみ)。2❌ BRAF遺伝子変異 → 体細胞変異(悪性黒色腫等)。4❌ EGFR遺伝子変異 → 体細胞変異(非小細胞肺がん)。5❌ KRAS遺伝子変異 → 体細胞変異(大腸がん等)。

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