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⚛️ 物理

キャピラリー電気泳動法(CE)

📅 2026年5月19日
📖 この記事でわかること
  • 電気浸透流(EOF)の発生原理と方向を説明できる
  • CZEでの陽イオン・中性・陰イオンの検出順序を述べられる
  • MEKCが中性物質を分離できる理由を説明できる
  • CGEの分離原理とSDS-PAGEとの対応を説明できる
  • CIEFの分離原理と両性電解質の役割を説明できる
目次
  1. 1.電気浸透流(EOF)
  2. 2.各モードの比較
  3. 3.CZEでの検出順序
  4. 4.MEKC・CGE・CIEF の詳細
  5. MEKC(ミセル動電クロマトグラフィー)
  6. CGE(キャピラリーゲル電気泳動)
  7. CIEF(キャピラリー等電点電気泳動)
  8. 5.SDS-PAGEと染色
  9. 6.国試頻出まとめ
  10. 7.国試過去問チェック

⚡ 電気浸透流(EOF)

溶融シリカ毛細管の内壁は pH > 2 でシラノール基(Si−OH)が負に帯電する。引き寄せられた陽イオン層が電場で移動し、バルク液全体が陰極方向に流れる

EOF の方向:陽極(+)→ 陰極(−)

要因 内容
内壁の電荷 負(シラノール基が解離)
形成される電気二重層 陽イオン層が内壁近くに集中
EOF 方向 陽極 → 陰極(pH > 2 で常に一定方向)

⚠️ EOF は陰極から陽極ではない! 陽極→陰極方向が正しい。
EOF は pH が高いほど強くなる(シラノール基の解離が進むため)。


🔬 各モードの比較

モード 略称 原理 中性物質の分離
キャピラリーゾーン電気泳動 CZE イオンの電気泳動移動度の差 不可(同時溶出)
キャピラリーゲル電気泳動 CGE ゲルによる分子ふるい(サイズ依存) 可(大きいほど遅い)
キャピラリー等電点電気泳動 CIEF 両性電解質でpH勾配を形成 → pI 位置で停止 不可
ミセル動電クロマトグラフィー MEKC SDS ミセルを疑似固定相として使用

中性物質を分離できるのは MEKC(と CGE)のみ! CZE・CIEF では不可。


📊 CZEでの検出順序

pH 7 の緩衝液を用いた場合:

陽イオン → 中性 → 陰イオン の順で検出される

物質の種類 移動速度 理由
陽イオン 最速 EOF+電気泳動速度(同方向)が加算
中性物質 中間(すべて同時) EOF 速度のみ → CZE では分離不可
陰イオン 最遅 EOF 速度−電気泳動速度(逆方向)が相殺

⚠️ 中性物質は「すべて同時」に検出される(CZEでは分離不可)!
中性物質を分離したい場合は MEKC を使用する。


🧫 MEKC・CGE・CIEF の詳細

MEKC(ミセル動電クロマトグラフィー)

SDS(ドデシル硫酸ナトリウム:陰イオン性界面活性剤)がCMC(臨界ミセル濃度)以上でミセルを形成 → 疑似固定相として機能

  • 疎水性の高い物質 → ミセル内に長時間分配 → 遅く検出
  • 疎水性の低い物質 → 水相に長くとどまる → 早く検出
  • 疎水性の差で中性物質を分離できる

CGE(キャピラリーゲル電気泳動)

ゲルが分子ふるいとして機能:

分子サイズ 移動 検出
小さい ゲル内を自由に移動 先に検出
大きい ゲルにより遅延 後で検出

CGE はSDS-PAGE の毛細管版。大きい分子ほど遅く検出される(SDS-PAGEと同じ原理)。

CIEF(キャピラリー等電点電気泳動)

両性電解質(キャリアアンフォライト)を加えてpH勾配を形成 → 各タンパク質は自分の等電点(pI)の位置で電荷が 0 になり停止・集中(フォーカシング)

CIEF のキーワード:両性電解質(キャリアアンフォライト)・pH勾配・pI


💉 SDS-PAGEと染色

操作 試薬・方法 用途
タンパク質染色 クーマシーブリリアントブルー(CBB) ゲル中のタンパク質を青く染色
核酸(DNA・RNA)染色 臭化エチジウム(EtBr) UV照射で蛍光
アミノ酸・ペプチド検出 ニンヒドリン 紫色の呈色(アミノ基と反応)
タンパク質蛍光標識 フルオレセインイソチオシアネート(FITC) 蛍光標識

⚠️ SDS-PAGE のタンパク質染色 = CBB(クーマシーブリリアントブルー)!
臭化エチジウムは DNA の染色(核酸用)であり、タンパク質には使わない。


📋 国試頻出まとめ

# ポイント 内容
1 EOF の方向 陽極→陰極(pH > 2 の溶融シリカ)
2 CZE の検出順 陽イオン → 中性(同時)→ 陰イオン
3 中性物質の分離 MEKC のみ可能(疎水性差を利用)
4 MEKC の原理 SDS ミセルが疑似固定相
5 CGE の検出順 小分子 → 先、大分子 → 後(分子ふるい)
6 CIEF の原理 両性電解質でpH勾配 → pI 位置でフォーカシング
7 SDS-PAGE 染色 タンパク質 = CBB、核酸 = 臭化エチジウム
8 EOF 強度と pH pH ↑ → シラノール基解離↑ → EOF↑
9 EOF 抑制 内壁をポリマーコーティングすると EOF を抑制できる

📝 国試過去問チェック

第109回薬剤師国家試験 問2(必須)

SDSポリアクリルアミドゲル電気泳動を行った後、タンパク質の染色に用いる最も適切な化合物はどれか。1つ選べ。

1. ニンヒドリン

2. 臭化エチジウム

3. o-フタルアルデヒド

4. フルオレセインイソチオシアネート

5. クーマシーブリリアントブルー(クマシーブリリアントブルー)

解答と解説を見る

正解:5

5○ クーマシーブリリアントブルー(CBB, Coomassie Brilliant Blue)は SDS-PAGE 後のタンパク質染色に最も広く用いられる色素。タンパク質と非特異的に結合し、青色に染色する。正しい。

1✗ ニンヒドリンはアミノ酸・ペプチドの検出試薬(アミノ基と反応して紫色を呈する)。ゲル電気泳動後のタンパク質染色には使用しない。

2✗ 臭化エチジウム(EtBr)は DNA・RNA などの核酸の染色に使用する(UV 照射で蛍光発光)。タンパク質の染色には使用しない。

3✗ o-フタルアルデヒドはアミノ酸・ペプチドの蛍光検出試薬(HPLC の誘導体化試薬)。ゲル染色には使用しない。

4✗ フルオレセインイソチオシアネート(FITC)はタンパク質の蛍光標識試薬。ゲル染色というよりも抗体標識などに使用する。


第107回薬剤師国家試験 問100(一般)

溶融シリカ毛細管を用いたキャピラリー電気泳動に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。

1. pH 7の緩衝液を用いると、電気浸透流は陰極から陽極の方向に向かう。

2. キャピラリーゾーン電気泳動ではpH 7の緩衝液を用いると、陽イオン性物質と中性物質は同時に泳動される。

3. キャピラリーゲル電気泳動でタンパク質を分離すると、分子サイズの大きい順に検出される。

4. キャピラリー等電点電気泳動では、緩衝液に両性電解質(ポリアミノカルボン酸など)を溶解して分離を行う。

5. ミセル動電クロマトグラフィーでは、中性物質の相互分離が可能である。

解答と解説を見る

正解:4、5

4○ CIEF(キャピラリー等電点電気泳動)では両性電解質(キャリアアンフォライト)を加えてpH勾配を形成し、各タンパク質を pI の位置でフォーカシングする。正しい。

5○ MEKC(ミセル動電クロマトグラフィー)では SDS ミセルが疑似固定相となり、中性物質の疎水性の差を利用して分離できる。正しい。

1✗ 電気浸透流(EOF)は陽極→陰極の方向に向かう(溶融シリカ内壁が負に帯電 → 陽イオン層 → EOF が陰極へ)。「陰極から陽極」は逆。

2✗ CZE では陽イオン性物質は EOF+電気泳動速度(同方向)で最速に検出される。中性物質は EOF 速度のみで、陽イオン性物質より遅く検出される。同時ではない。

3✗ CGE では分子サイズの小さいものほど先に検出される(分子ふるい効果により大きい分子ほどゲルで遅延する)。「大きい順」は誤り。


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