⏱️ 反応次数と速度式
速度式 v = k[A]ⁿ の n が反応次数
| 次数 | 速度式 | k の単位 | 半減期 t½ |
|---|---|---|---|
| 0次 | v = k | mol·L⁻¹·s⁻¹ | [A]₀ / 2k(初濃度に比例) |
| 1次 | v = k[A] | s⁻¹ | ln2 / k ≒ 0.693 / k(初濃度に無関係) |
| 2次 | v = k[A]² | L·mol⁻¹·s⁻¹ | 1 / (k[A]₀)(初濃度に反比例) |
⚠️ 1次反応の半減期は初濃度に無関係!
放射性壊変・多くの医薬品の体内動態(消失)は1次反応。半減期が一定であることが特徴。
✅ 0次反応は濃度によらず速度一定(例:飽和状態の酵素反応、皮膚からの吸収)
📈 積分速度式とグラフ直線化
| 次数 | 積分形 | 直線になるグラフ | 縦軸 | 横軸 |
|---|---|---|---|---|
| 0次 | [A] = [A]₀ − kt | 直線 | [A] | t |
| 1次 | ln[A] = ln[A]₀ − kt | 直線 | ln[A] | t |
| 2次 | 1/[A] = 1/[A]₀ + kt | 直線 | 1/[A] | t |
✅ グラフを描いて直線になる組み合わせで反応次数を判定する!
1次なら「ln[A] vs t」が直線(傾き = −k)
🌡️ アレニウスの式と活性化エネルギー
k = A · exp(−Ea / RT)
両辺の自然対数をとると(アレニウスプロット):
ln k = −Ea/R × 1/T + ln A
| グラフ要素 | 対応する量 |
|---|---|
| 縦軸 | ln k(速度定数の対数) |
| 横軸 | 1/T(絶対温度の逆数) |
| 傾き | −Ea/R(常に負・右下がり) |
| 切片 | ln A(頻度因子) |
✅ 傾きの絶対値が大きい → Ea が大きい → 温度変化の影響が大きい
| 条件 | 速度定数 k | 反応速度 |
|---|---|---|
| 温度↑ | k↑ | 速くなる |
| 活性化エネルギー Ea↑ | k↓ | 遅くなる |
| 触媒あり | k↑(Ea を下げる) | 速くなる |
⚠️ 触媒は Ea を下げるが、ΔH・平衡定数 K・ΔG は変えない!
平衡位置は変えず、平衡に達する速度のみを速める。
💊 医薬品安定性への応用
加速試験
高温(40℃・50℃など)での速度定数 k を測定 → アレニウスプロット → 25℃の k を外挿 → 有効期限を予測
| 手法 | 内容 |
|---|---|
| 加速試験 | 複数温度で k 測定 → ln k vs 1/T プロット → 傾きから Ea 算出 → 室温の k を外挿 |
| Q₁₀則 | 10℃上昇で反応速度が約2倍(van't Hoff 経験則) |
1次反応の薬物動態
薬物の消失が1次反応に従うとき:C = C₀ × e^(−ke × t)
| パラメータ | 式 | 特徴 |
|---|---|---|
| 消失速度定数 ke | ln(C/C₀) / (−t) | 経路に依存しない |
| 半減期 t½ | ln2 / ke = 0.693 / ke | 初濃度に無関係 |
| 定常状態到達 | 4〜5半減期で約94〜97% | 半減期の倍数で計算 |
✅ 定常状態の 50% → 1 t½、75% → 2 t½、87.5% → 3 t½
📋 国試頻出まとめ
| # | ポイント | 内容 |
|---|---|---|
| 1 | 1次反応の半減期 | t½ = 0.693/k(初濃度に無関係) |
| 2 | 0次反応の半減期 | t½ = [A]₀/2k(初濃度に比例) |
| 3 | 放射性壊変 | 1次反応のみ(0次は存在しない) |
| 4 | アレニウスプロット | ln k vs 1/T → 傾き = −Ea/R(右下がり) |
| 5 | 触媒の効果 | Ea↓・速度↑・ΔH・K・ΔG は変えない |
| 6 | k の単位 | 0次: mol/L/s、1次: 1/s、2次: L/mol/s |
| 7 | 加速試験 | アレニウス式で室温の安定性を外挿 |
| 8 | 定常状態 75% | 2 × t½ の時間で到達 |
| 9 | 1次反応グラフ | ln[A] vs t が直線(傾き = −k) |
📝 国試過去問チェック
第107回薬剤師国家試験 問45(必須)
体内動態が1-コンパートメントモデルに従う薬物800 mgをヒトに単回静脈内投与したところ、投与直後の血中濃度は40 ng/mL、投与6時間後の血中濃度は5 ng/mLであった。この薬物の消失速度定数(h⁻¹)に最も近い値はどれか。1つ選べ。ただし、ln2 = 0.69 とする。
1. 0.12
2. 0.23
3. 0.35
4. 0.69
5. 2.0
解答と解説を見る
正解:3
薬物の消失は1次反応に従うため:C = C₀ × e^(−ke × t)
両辺の自然対数をとると:ln C = ln C₀ − ke × t
ke = ln(C₀/C) / t = ln(40/5) / 6 = ln8 / 6 = 3ln2 / 6 = (3 × 0.69) / 6 = 2.07 / 6 = 0.345 ≒ 0.35 h⁻¹
3○ 0.35 h⁻¹。正しい。
1✗ 0.12 = 0.69/6(1回の ln2 を6時間で割った値)。半減期を6時間と間違えた場合の誤答。
2✗ 0.23 ≒ ln(40/5)/12 に相当し、時間を12時間と間違えた場合の誤答。
4✗ 0.69 = ln2 そのものの値。ke ではなく ln2 を答えた誤答。
5✗ 2.0 は C₀/C = 40/5 = 8 を時間6で割ったもの。対数をとり忘れた誤答。
第107回薬剤師国家試験 問92(一般)
放射線及び放射壊変に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。
1. 放射壊変には0次反応速度式に従う過程と、1次反応速度式に従う過程の2通りがある。
2. 放射能のSI組立単位はベクレル(Bq)であり、その定義は1秒あたりに壊変する原子核数である。
3. β⁻壊変では、生成する電子とニュートリノにエネルギーが分配されるため、電子のもつエネルギーは連続的な分布を示す。
4. X線とγ線は電磁波であり、波長で区別されている。
5. γ転移により放射されるγ線のエネルギーは、壊変する原子核種によらず一定である。
解答と解説を見る
正解:2、3
2○ ベクレル(Bq)は1秒あたりの壊変数。1 Bq = 1壊変/s。正しい。
3○ β⁻壊変では、放出されるエネルギーを電子とニュートリノの2粒子が分け合うため、電子の運動エネルギーは0から最大値まで連続スペクトルを示す。正しい。
1✗ 放射性壊変はすべて1次反応に従う。0次反応はない。半減期が一定(初期量に依存しない)のがその証拠。
4✗ X線とγ線はともに電磁波で波長が重なる範囲がある。**起源(X線=電子の軌道遷移など、γ線=核遷移)**で区別され、波長のみでは区別できない。
5✗ γ線のエネルギーは核種によって固有の値をもつ(核種ごとに異なる)。「核種によらず一定」は誤り。
第110回薬剤師国家試験 問47(必須)
体内動態が線形1-コンパートメントモデルに従い、消失半減期が2時間である薬物を静脈内定速注入する。投与開始後、薬物の血中濃度が定常状態の血中濃度の75%に到達する時間(h)はどれか。1つ選べ。
1. 1
2. 2
3. 3
4. 4
5. 5
解答と解説を見る
正解:4
定速注入では、定常状態到達率は投与時間と半減期の関係で決まる。
| 経過時間 | 半減期の倍数 | 定常状態の到達率 |
|---|---|---|
| 2 h | 1 t½ | 50% |
| 4 h | 2 t½ | 75% |
| 6 h | 3 t½ | 87.5% |
| 8 h | 4 t½ | 93.75% |
到達率 = 1 − (1/2)ⁿ(n:半減期の回数)
75% = 1 − (1/2)² → n = 2 → 時間 = 2 × 2 h = 4 h
4○ 4時間。正しい。
1✗ 1 h は 0.5 t½ の時間。到達率は約 29%。
2✗ 2 h = 1 t½。到達率は 50%。
3✗ 3 h = 1.5 t½。到達率は約 65%。
5✗ 5 h = 2.5 t½。到達率は約 82%(75%超え)。
