💧 束一的性質とは
溶質の種類に関わらず、溶質粒子の数だけに依存する溶液の性質を束一的性質といいます。
| 性質 | 公式 | 水の定数 |
|---|---|---|
| 蒸気圧降下 | ΔP = P₀ × xB | — |
| 沸点上昇 | ΔTb = Kb × m × i | Kb = 0.52 K·kg/mol |
| 凝固点降下 | ΔTf = Kf × m × i | Kf = 1.86 K·kg/mol |
| 浸透圧 | π = icRT | — |
xB:溶質のモル分率、m:質量モル濃度、i:van't Hoff係数、c:モル濃度、R:気体定数、T:絶対温度
✅ 束一的性質は溶質の「粒子数」にのみ依存 → 電解質はiが大きいほど効果が大きい
⚡ van't Hoff係数 i(解離因子)
電解質が解離すると粒子数が増え、束一的性質が大きくなります。
| 溶質 | 解離 | i |
|---|---|---|
| グルコース(非電解質) | 解離しない | 1 |
| NaCl | Na⁺ + Cl⁻ | 2 |
| CaCl₂ | Ca²⁺ + 2Cl⁻ | 3 |
⚠️ 等張液の計算では i を忘れずに!
生理食塩水(0.9% NaCl)の浸透圧計算:i = 2 × モル濃度 × RT
🩸 浸透圧と等張・低張・高張
| 種類 | 浸透圧 | 例 |
|---|---|---|
| 等張 | 285〜295 mOsm/L | 生理食塩水(0.9% NaCl)、5%グルコース |
| 低張 | < 285 mOsm/L | 0.45% NaCl |
| 高張 | > 295 mOsm/L | マンニトール点滴、3% NaCl |
⚠️ 赤血球への影響
低張液 → 水が細胞内に流入 → 溶血(膨張・破裂)
高張液 → 水が細胞外に流出 → 萎縮(シュリンク)
等張化剤(注射剤・点眼剤に使用)
| 等張化剤 | 特徴 |
|---|---|
| 塩化ナトリウム | 最も一般的な等張化剤 |
| 濃グリセリン | 非電解質(i=1)・甘味あり・粘性付与も兼ねる |
| ブドウ糖(グルコース) | 非電解質・5%液が等張 |
✅ 等張化剤 = 浸透圧を体液と同じ285〜295 mOsm/Lに調整するための添加剤
🧬 分配係数(log P)と脂溶性
分配係数 P:n-オクタノール/水の2相系での分布比
P = [薬物]オクタノール層 / [薬物]水層
| log P | 性質 | 影響 |
|---|---|---|
| 高い(> 2) | 脂溶性↑ | 細胞膜透過↑・BBB通過↑・タンパク結合↑・脂肪蓄積↑ |
| 低い(< 0) | 水溶性↑ | 細胞膜通過↓・腎排泄されやすい |
⚠️ log Pが高すぎると水溶性が低すぎて注射製剤にできない
最適なlog Pが存在する(Hansch分析)
🔬 透析の原理
半透膜を使って高分子と低分子を分離する操作。
| 特徴 | 内容 |
|---|---|
| 半透膜 | 低分子・イオンは通過、高分子(タンパク質等)は通過不可 |
| 人工透析 | 腎不全患者の血液中の老廃物(尿素・クレアチニン)を除去 |
| 平衡透析 | 薬物の血漿タンパク結合率の測定に使用 |
📋 国試頻出まとめ
| # | ポイント | 内容 |
|---|---|---|
| 1 | 束一的性質 | 粒子数のみに依存(種類無関係) |
| 2 | 凝固点降下定数(水) | Kf = 1.86 K·kg/mol |
| 3 | 沸点上昇定数(水) | Kb = 0.52 K·kg/mol |
| 4 | van't Hoff則 | π = icRT |
| 5 | NaCl の i | i = 2(完全解離時) |
| 6 | 低張液 → 赤血球 | 溶血(水が細胞内に流入) |
| 7 | 高張液 → 赤血球 | 萎縮(水が細胞外に流出) |
| 8 | 等張化剤 | 濃グリセリン・塩化ナトリウム・グルコース |
| 9 | log P 高い | 脂溶性↑・細胞膜透過性↑ |
📝 国試過去問チェック
第109回薬剤師国家試験 問53(必須)
等張化剤として用いられるのはどれか。1つ選べ。
1. エタノール
2. ポリソルベート80
3. 塩酸
4. クロロブタノール
5. 濃グリセリン
解答と解説を見る
正解:5
5○ 濃グリセリンは非電解質(i=1)で、注射剤・点眼剤の等張化剤として広く用いられる。甘味と粘性もある。正しい。
1✗ エタノールは溶解補助剤・防腐剤として使用。等張化剤ではない。
2✗ ポリソルベート80は界面活性剤(可溶化剤・乳化剤)。等張化剤ではない。
3✗ 塩酸はpH調整剤。等張化剤ではない。
4✗ クロロブタノールは保存剤(防腐剤)。等張化剤ではない。
