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コロイド・界面化学【薬剤師国試対策】ミセル・CMC・塩析・凝析・ゼータ電位を完全整理

📅 2026年5月19日🔄 更新: 2026年5月22日
📖 この記事でわかること
  • コロイドの定義・分類(リオフィル・リオフォビック)と代表的な性質を説明できる
  • 分子間相互作用(クーロン力・分散力・水素結合・疎水性相互作用)の特徴を区別できる
  • CMCの概念とミセル形成のしくみを理解できる
  • 塩析と凝析の違い(対象・可逆性)を正確に覚えられる
  • ゼータ電位とコロイドの安定性の関係を説明できる
目次
  1. 1.分子間相互作用の種類
  2. 2.コロイドの定義と分類
  3. 3.コロイドの性質(頻出)
  4. 4.ゼータ電位とコロイドの安定性
  5. 5.ミセルと界面活性剤
  6. 臨界ミセル濃度(CMC)
  7. HLB値(乳化剤の選択指標)
  8. 6.製剤との関連
  9. 7.国試頻出まとめ
  10. 8.国試過去問チェック

分子間相互作用の種類

薬物の溶解性・タンパク結合・製剤設計に直結する重要テーマ。

相互作用 性質 距離依存性
クーロン力(静電相互作用) イオン間の引力・斥力 距離²に反比例(∝ 1/r²) NaCl 結晶
双極子間力 極性分子間の引力 距離³〜⁶に反比例 アセトン同士
分散力(ロンドン力) 瞬間双極子による引力 距離⁶に反比例 全分子間に働く
水素結合 N-H・O-H・F-H → 電気陰性原子 距離³に反比例 水・DNA塩基対
疎水性相互作用 水中での無極性基の凝集 エントロピー駆動 タンパク質の折りたたみ

分散力は「反発力」ではなく「引力」。全ての分子間に働く弱い引力(極性の有無を問わない)

ミセル形成はイオン結合ではない→ 疎水性相互作用+エントロピー効果で形成される


コロイドの定義と分類

粒子径が 1 nm〜1000 nm(1 μm) の分散系をコロイドという。

種類 粒子径
真の溶液 < 1 nm NaCl 水溶液
コロイド 1 nm〜1000 nm デンプン・牛乳・金コロイド
粗大分散系 > 1000 nm 懸濁液・乳剤

コロイドの種類:

分類 別名 特徴
親液コロイド リオフィリック 分散媒と親和性高・安定 タンパク質・デンプン
疎液コロイド リオフォビック 分散媒と親和性低・不安定 金コロイド・硫黄コロイド
会合コロイド ミセルコロイド CMC以上で形成 界面活性剤ミセル

コロイドの性質(頻出)

現象 内容 ポイント
チンダル現象 光を当てると光路が見える コロイド粒子による光散乱(真の溶液では見えない)
ブラウン運動 粒子が不規則に動く 溶媒分子の衝突による熱運動
電気泳動 電場で粒子が移動 ゼータ電位と安定性に関係
透析 半透膜でコロイドと低分子を分離 低分子のみ通過(コロイドは通過しない)
塩析 多量の電解質で沈殿 親液コロイドに起こる・可逆
凝析 少量の電解質でも沈殿 疎液コロイドに起こる・不可逆

塩析 vs 凝析

  • 塩析:親液コロイド(タンパク質等)・多量の電解質・可逆
  • 凝析:疎液コロイド(金コロイド等)・少量の電解質・不可逆

ハルツェル・シュルツェの法則(凝析の価数依存性):

反対電荷をもつイオンの価数が大きいほど凝析能が大きい。

負コロイドの凝析能:Na⁺ < Ca²⁺ < Al³⁺(価数が大きいほど強い)


ゼータ電位とコロイドの安定性

コロイド粒子は表面に電荷をもち、その周囲に電気二重層を形成する。

ゼータ電位 コロイドの状態
高い(±30 mV以上) 粒子間に強い静電反発 → 安定
低い(±10 mV以下) 静電反発が弱い → 凝集しやすい・不安定
0 mV(等電点) 最も凝集しやすい

製剤設計ではゼータ電位が高いほど安定な分散系を維持できる


🧴 ミセルと界面活性剤

界面活性剤(surfactant)は親水基と疎水基の両方をもつ両親媒性分子。

臨界ミセル濃度(CMC)

状態 CMC 以下 CMC 以上
存在形態 単分子として分散 ミセルを形成
界面張力 下がり続ける 一定(変化しない)
浸透圧 増加し続ける ほぼ一定

ミセルの構造:

  • 疎水コア(内側):炭化水素鎖が集まる → 難溶性薬物を可溶化
  • 親水シェル(外側):親水基が水と接する → 水に安定分散

CMC以上では単分子が増えずミセルが増加 → 浸透圧・電気伝導度の変化が鈍くなる

HLB値(乳化剤の選択指標)

HLB=親水基の強さ疎水基の強さ×20\text{HLB} = \frac{\text{親水基の強さ}}{\text{疎水基の強さ}} \times 20

HLB値 用途
1〜6 W/O型乳化剤(油中水型)
8〜18 O/W型乳化剤(水中油型)
7〜9 湿潤剤

🏭 製剤との関連

製剤技術 原理
可溶化 ミセル内包 難溶性薬物の注射剤(ポリソルベート80)
乳剤(O/W型) 界面活性剤で安定化 脂肪乳剤・外用クリーム
懸濁剤 微粒子分散 抗生物質懸濁液
リポソーム 脂質二重層(二分子膜) DDS製剤・ワクチン

国試頻出まとめ

# テーマ 重要ポイント
1 クーロン力 距離の2乗に反比例(∝ 1/r²)
2 分散力(ロンドン力) 全分子間に働く引力(反発力ではない)
3 ミセル形成 疎水性相互作用+エントロピー効果(イオン結合ではない)
4 チンダル現象 コロイド粒子による光散乱(真の溶液では見えない)
5 CMC これ以上の濃度でミセル形成;界面張力・浸透圧が一定になる
6 塩析 親液コロイド・多量の電解質・可逆
7 凝析 疎液コロイド・少量の電解質・不可逆
8 ハルツェル・シュルツェ則 反対電荷の価数↑ → 凝析能↑(Al³⁺ > Ca²⁺ > Na⁺)
9 ゼータ電位 高いほど安定;0(等電点)で最も凝集しやすい
10 HLB値 8〜18 = O/W型乳化剤;1〜6 = W/O型乳化剤

📝 国試過去問チェック

第109回薬剤師国家試験 問91

分子間相互作用に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。

1. クーロン力は、距離の2乗に反比例する。

2. 分散力は、分子間に働く反発力である。

3. ミセルを形成する際の界面活性剤間の相互作用は、イオン結合である。

4. タンパク質の高次構造の形成には、疎水性相互作用が関与する。

5. 核酸の塩基対間の相互作用は、配位結合である。

解答と解説を見る

正解:1, 4

1○ クーロン力は距離の2乗に反比例(F ∝ 1/r²)。正しい。 4○ タンパク質の高次構造(疎水コア形成)には疎水性相互作用が関与する。正しい。

2✗ 分散力(ロンドン力)は引力。全分子間に働く弱い引力であり、反発力ではない。 3✗ ミセル形成は疎水性相互作用とエントロピー効果による。イオン結合ではない。 5✗ 核酸の塩基対間の相互作用は水素結合(グアニン-シトシン間に3本、アデニン-チミン間に2本)。配位結合ではない。


第104回薬剤師国家試験 問171

コロイド分散系の性質に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。

1. 疎水コロイドの安定性は、粒子間のファンデルワールス引力と静電反発力の総和で評価できる。

2. 疎水コロイドに電解質が共存すると粒子表面の電気二重層は厚くなり、分散状態は不安定となる。

3. 疎水コロイドの電荷と反対符号のイオンの価数が大きくなるほど、凝析価(mol/L)は大きくなる。

4. 親水コロイドに対する同濃度の1価陽イオンの塩析作用の強さは、K⁺ > Na⁺ > Li⁺ である。

5. 親水性の高分子コロイドにアルコールを添加すると、コロイドに富む液相と乏しい液相の2つに分離するコアセルベーションが起こる。

解答と解説を見る

正解:1, 4

1○ DLVO理論:疎水コロイドの安定性はファンデルワールス引力静電反発力の代数和で評価できる。正しい。

4○ ホフマイスター系列:1価陽イオンの塩析作用はK⁺ > Na⁺ > Li⁺。Li⁺は水和殻が大きく水を強く保持するためタンパク質から水を奪う力が弱い。K⁺は水和殻が小さく塩析作用が最も強い。

2✗ 電解質が共存すると電気二重層は薄くなる(圧縮される)→ 静電反発力が弱まり不安定になる。「厚くなり」が誤り。

3✗ ハルツェル・シュルツェの法則:価数が大きいほど少量で凝析できる → 凝析価(mol/L)は小さくなる。「大きくなる」が誤り。

5✗ アルコール添加は脱水による沈殿であり、コアセルベーションではない。コアセルベーションは反対電荷の高分子混合や温度・pH変化によって誘発される液-液相分離を指す。


第111回薬剤師国家試験 問180

下図は、ある界面活性剤水溶液の濃度と表面張力及び難溶性薬物の可溶化量との関係を模式的に示したものである。この図に関する記述として、正しいのはどれか。2つ選べ。

1. この界面活性剤は、負吸着を示す。

2. Aは可溶化量を、Bは表面張力を示している。

3. 濃度Xでは、界面活性剤は全てミセルとして存在している。

4. 濃度Xよりも高い濃度では、溶液表面への界面活性剤の吸着量が一定となる。

5. 濃度Yでは、疎水基を外側に、親水基を内側としたミセルが形成される。

解答と解説を見る

正解:2, 4

2○ 濃度X(CMC)以上で急上昇するグラフが可溶化量(A)、CMCで頭打ちになるグラフが表面張力(B)。CMC以上でミセルが増えると可溶化が始まる。

4○ CMC以上では溶液表面は界面活性剤分子で飽和されるため、表面吸着量はほぼ一定になる。

1✗ 界面活性剤は溶液表面に自発的に吸着して表面張力を下げる → 正吸着(負吸着は溶質が界面から退く現象)。

3✗ 濃度XはCMCを示す。CMCでは単量体とミセルが共存し始める状態であり、全てミセルとして存在するわけではない

5✗ 水溶液中のミセルは疎水基を内側(コア)親水基を外側に向けて形成される。記述が逆。


第109回薬剤師国家試験 問182

バイオ医薬品の微粒子製剤の水への分散性を、ゼータ電位と平均粒子径から評価した。異なるpHにおける結果(pH2〜12でゼータ電位が正→ゼロ→負に変化し、粒子径はpH6付近で最大)に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。ただし、一次粒子の粒子径はpHにより変化せず、温度は一定とする。また、粒度分布は一峰性で十分小さく、粒子の凝集は可逆的とする。

1. pH2で分散粒子は正に帯電している。

2. pH5付近で最も凝集性が高い。

3. pH6付近で粒子表面は電気的に中性である。

4. pH8以上で粒子は凝析している。

5. 塩を加えることでpHによらず分散性を改善できる。

解答と解説を見る

正解:1, 2

1○ 図よりpH 2ではゼータ電位が正(プラス)→ 粒子表面は正に帯電。正しい。

2○ pH 5付近でゼータ電位≒0(等電点付近)→ 静電反発力が消失し、粒子間凝集力が最大(粒子径も最大を示す)。

3✗ 粒子径が最大となるのはpH 6付近ではなくpH 5〜6付近であり、かつゼータ電位ゼロはpH 5付近。pH 6付近はゼータ電位がすでに負に変化しており、電気的に中性ではない。

4✗ pH 8以上ではゼータ電位が大きく負(マイナス)→ 静電反発力が強く安定分散状態。凝析は起きていない。

5✗ 塩の添加は電気二重層を圧縮し、静電反発力を低下させるため分散性は悪化する。逆効果。

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