🫀 胆道・肝・膵疾患
胆石症(疝痛発作)
胆石が胆嚢管に嵌頓 → 右上腹部〜肩の激痛(疝痛発作)
| 薬剤 | 適否 | 理由 |
|---|---|---|
| ブチルスコポラミン(ブスコパン) | ✅ 第1選択 | 抗コリン薬 → 胆道平滑筋弛緩 → 痙攣緩和 |
| モルヒネ | ❌ 禁忌 | Oddi括約筋を収縮 → 胆道内圧上昇 → 疼痛悪化 |
| ウルソデオキシコール酸 | ❌ | 胆石溶解療法(慢性期) |
| ベザフィブラート | ❌ | 高脂血症治療薬 |
⚠️ モルヒネが使えない場合 → ペンタゾシン・ブプレノルフィン(Oddi括約筋への影響が少ない)
食道静脈瘤と肝硬変合併症
肝硬変 → 門脈圧亢進 → 側副血行路発達 → 食道静脈瘤
| 合併症 | 機序 | 治療 |
|---|---|---|
| 食道・胃静脈瘤 | 門脈圧亢進 → 側副血行路 | EVL(内視鏡的結紮)・EIS・βブロッカー(予防) |
| 腹水 | 門脈圧↑+低アルブミン血症 | スピロノラクトン+フロセミド・アルブミン投与 |
| 肝性脳症 | アンモニア↑ | ラクツロース・リファキシミン・分岐鎖アミノ酸 |
| 特発性細菌性腹膜炎(SBP) | 腸内細菌の腹水への移行 | セフォタキシム等の抗菌薬 |
✅ 食道静脈瘤破裂 → 大量吐血(鮮血)(黒色便はゆっくりした上部消化管出血)
急性胆管炎と黄疸の分類
Charcot(シャルコー)三徴:発熱・黄疸・右上腹部痛
| 黄疸の種類 | 上昇するビリルビン | 原因 |
|---|---|---|
| 溶血性 | 間接(非抱合型) | 溶血性貧血 |
| 肝細胞性 | 直接・間接両方 | 肝炎・肝硬変 |
| 閉塞性 | 直接(抱合型) | 胆石・胆管炎・胆管がん |
✅ 胆管炎・胆汁うっ滞 → 胆道系酵素(ALP・γ-GTP)が上昇
急性膵炎
上腹部(心窩部)〜左季肋部の激痛 + 背部への放散痛(前傾姿勢で軽減)
| 検査 | 変動方向 | 説明 |
|---|---|---|
| 血中アミラーゼ・リパーゼ | ⬆ 上昇 | 膵細胞障害 → 血中逸脱 |
| 白血球数 | ⬆ 上昇 | 炎症反応 |
| 原因 | 順位 |
|---|---|
| 胆石 | 最多(1位) |
| アルコール | 2位 |
✅ 治療:絶食・大量補液。感染性膵壊死 → カルバペネム系抗菌薬
C型肝炎(DAA療法)
日本の肝硬変・肝細胞がんの最大原因。慢性化率約70%。
| 薬剤 | 標的 | ジェノタイプ |
|---|---|---|
| グレカプレビル/ピブレンタスビル(マヴィレット) | NS3/4A+NS5A阻害 | 1〜6型(汎ジェノタイプ) |
| ソホスブビル/ベルパタスビル(エプクルーサ) | NS5B+NS5A阻害 | 1〜6型 |
✅ 現在のDAA治療はSVR(持続的ウイルス陰性化)率95%以上
🫃 消化管疾患
消化性潰瘍(H.pylori除菌)
一次除菌(標準3剤療法・7日間)
PPI + アモキシシリン + クラリスロマイシン
二次除菌(クラリスロマイシン耐性例)
PPI + アモキシシリン + メトロニダゾール
胃酸分泌抑制薬
| 薬剤 | 機序 |
|---|---|
| ボノプラザン(P-CAB) | K⁺競合的にH⁺,K⁺-ATPaseを阻害(酸安定・強力) |
| PPI(オメプラゾール等) | H⁺,K⁺-ATPaseを不可逆的阻害 |
| H₂RA(ファモチジン等) | H₂受容体遮断 |
炎症性腸疾患(IBD)
| 項目 | 潰瘍性大腸炎(UC) | クローン病(CD) |
|---|---|---|
| 部位 | 大腸のみ・連続性病変 | 口〜肛門・非連続性病変 |
| 好発年齢 | 20〜30歳代 | 10〜20歳代 |
| 内視鏡所見 | 鉛管状大腸・偽ポリープ | 敷石状潰瘍(cobblestone) |
| 瘻孔・狭窄 | まれ | 多い |
UC治療
| 重症度 | 薬剤 |
|---|---|
| 軽〜中等症 | 5-ASA製剤(メサラジン) |
| 中等症〜重症 | ステロイド |
| 難治・中等症以上 | インフリキシマブ(抗TNF-α)・ウステキヌマブ |
⚠️ CDの増悪期 → CRP・白血球数・赤沈が上昇
過敏性腸症候群(IBS)
| 薬剤 | 適用 | 特徴 |
|---|---|---|
| ポリカルボフィルカルシウム(コロネル) | 下痢型・便秘型両方 | 水分調整(高分子吸水ポリマー) |
| トリメブチン | 下痢型・便秘型両方 | オピオイド受容体作用→腸管運動正常化 |
| ラモセトロン(イリボー) | 下痢型(男性) | 5-HT3受容体拮抗薬 |
| リナクロチド(リンゼス) | 便秘型 | グアニル酸シクラーゼC受容体作動薬 |
偽膜性大腸炎(Clostridioides difficile腸炎)
広域抗菌薬(クリンダマイシン・セフェム系・フルオロキノロン系)→ 腸内細菌叢撹乱 → Clostridioides difficileの増殖 → 毒素産生 → 偽膜形成・水様性下痢
| 治療 | 薬剤 |
|---|---|
| 第1選択 | バンコマイシン経口(腸管で作用・全身吸収なし)・メトロニダゾール |
| 再発・難治例 | フィダキソマイシン・糞便移植(FMT) |
⚠️ 手指衛生:アルコール消毒は無効 → 石鹸と流水での手洗いが必須
📋 国試頻出まとめ
| # | テーマ | 重要ポイント |
|---|---|---|
| 1 | 胆石症疝痛 | ブチルスコポラミン○ モルヒネ✕(Oddi括約筋収縮) |
| 2 | 食道静脈瘤 | 肝硬変 → 門脈圧亢進。破裂 → 大量吐血(鮮血) |
| 3 | 閉塞性黄疸 | 直接(抱合型)ビリルビン↑、ALP・γ-GTP↑ |
| 4 | 急性膵炎 | 心窩部痛+背部放散痛。血中リパーゼ・アミラーゼ↑ |
| 5 | H.pylori一次除菌 | PPI+アモキシシリン+クラリスロマイシン |
| 6 | CD vs UC | CD:全消化管・非連続・敷石状。UC:大腸のみ・連続 |
| 7 | C型肝炎 | 日本の肝硬変の最大原因。DAA療法でSVR率95%以上 |
| 8 | 偽膜性大腸炎の原因菌 | Clostridioides difficile(緑膿菌ではない) |
| 9 | 偽膜性大腸炎の治療 | バンコマイシン経口・メトロニダゾール |
| 10 | IBS治療薬 | ポリカルボフィルカルシウム(下痢型・便秘型両用) |
📝 国試過去問チェック
第110回 問68(胆石症疝痛発作・必須)
胆石症の疝痛発作時に、疼痛緩和のために使用される薬物として最も適切なのはどれか。1つ選べ。
- ウルソデオキシコール酸
- エストラジオール
- ブチルスコポラミン臭化物
- ベザフィブラート
- モルヒネ塩酸塩
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正答:3
1❌ ウルソデオキシコール酸は慢性期の胆石溶解療法薬。急性発作時には不適。2❌ エストラジオールは女性ホルモン。胆石疝痛の治療薬ではない。3✅ **ブチルスコポラミン(ブスコパン)**は抗コリン薬。胆道の平滑筋を弛緩させることで痙攣性疝痛を緩和する。4❌ ベザフィブラートはフィブラート系脂質異常症治療薬。5❌ モルヒネはOddi括約筋を収縮させて胆道内圧を上昇させるため、胆石症の疝痛には原則禁忌。
第110回 問191(食道静脈瘤)
食道静脈瘤に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。
- 肝硬変に好発する
- 全身性高血圧が原因となる
- 門脈圧の上昇が原因となる
- 上部消化管内視鏡検査は禁忌である
- 静脈瘤の破裂では黒色便が多い
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正答:1・3
1✅ 肝硬変は食道静脈瘤の最大の原因。肝硬変 → 門脈圧亢進 → 側副血行路発達 → 食道静脈瘤形成。2❌ 全身性高血圧(体循環の高血圧)は原因ではない。門脈系の圧上昇が問題。3✅ 門脈圧亢進(正常5〜10 mmHg → 12 mmHg以上で合併症)が直接原因。4❌ 内視鏡は治療手段(EVL:内視鏡的静脈瘤結紮術、EIS:硬化療法)として用いられる。禁忌ではない。5❌ 食道静脈瘤破裂は**大量吐血(鮮血)**が典型。黒色便(タール便)は胃潰瘍等の緩徐な上部消化管出血。
第109回 問185(偽膜性大腸炎)
薬剤服用後に発症する偽膜性大腸炎に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。
- 主な原因医薬品として、抗菌薬がある
- 緑膿菌感染による大腸炎である場合が多い
- 便秘が持続し、腸閉塞に至ることが多い
- 治療薬として、メトロニダゾールやバンコマイシン塩酸塩が使用される
- 難治性の場合は、インフリキシマブが用いられる
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正答:1・4
1✅ 広域抗菌薬(クリンダマイシン・セフェム系・フルオロキノロン系等)が腸内細菌叢を撹乱し、Clostridioides difficileが増殖することで発症する。2❌ 原因は緑膿菌ではなくClostridioides difficile(クロストリジオイデス・ディフィシル)。3❌ 主症状は水様性下痢(1日10回以上)。便秘・腸閉塞ではなく、重症例では中毒性巨大結腸症。4✅ バンコマイシン経口(腸管内で作用・全身吸収なし)またはメトロニダゾールが有効。5❌ 難治・再発性CDにはフィダキソマイシン・糞便移植(FMT)。インフリキシマブはIBD(クローン病・UC)に使用。
第108回 問62(急性膵炎の所見)
急性膵炎で通常認められる所見はどれか。1つ選べ。
- 血中ヘモグロビン量の減少
- 血中リパーゼ活性の低下
- 白血球数の減少
- 心窩部痛
- 右腕への放散痛
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正答:4
1❌ 急性膵炎で貧血(Hb低下)は通常みられない。2❌ 膵細胞が障害されリパーゼが血中に逸脱するため、血中リパーゼは上昇する。3❌ 炎症反応により白血球数は増加する。4✅ 心窩部(みぞおち)〜左季肋部の激痛が典型。背部への放散痛(前傾姿勢で軽減)が特徴的。5❌ 右腕への放散痛は急性心筋梗塞(左肩・顎・左腕)。胆嚢炎では右肩・右背部放散。膵炎は背部放散。
第107回 問64(急性胆管炎・胆道系酵素)
急性胆管炎に関する記述のうち、正しいのはどれか。1つ選べ。
- 左下腹部に痛みを生じる
- 発熱を伴うことはまれである
- 血中白血球数が減少する
- 血清ALP活性が上昇する
- 血中間接ビリルビン値が上昇する
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正答:4
1❌ 急性胆管炎は右上腹部痛(左下腹部は憩室炎・虫垂炎等)。2❌ Charcot三徴(発熱・黄疸・右上腹部痛)の一つが発熱。まれではなく典型症状。3❌ 急性炎症なので白血球数は増加(CRPも上昇)。4✅ 胆管炎・胆汁うっ滞では胆道系酵素(ALP・γ-GTP)が上昇する。5❌ 胆管閉塞による閉塞性黄疸では直接(抱合型)ビリルビンが上昇。間接ビリルビン上昇は溶血性黄疸。
