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国試頻出!脂質異常症治療薬の作用機序まとめ|スタチン・フィブラート・PCSK9阻害薬を完全整理

📅 2026年5月14日🔄 更新: 2026年5月14日
📖 この記事でわかること
  • スタチン・エゼチミブ・フィブラート系・PCSK9阻害薬・ロミタピドの作用機序がわかる
  • 各薬剤のLDL・TG・HDLへの影響が比較できる
  • スタチン+フィブラート併用時の横紋筋融解症リスクが理解できる
  • 第109・110回国試の過去問で実戦練習できる
目次
  1. 1.脂質異常症の分類と治療目標
  2. 2.スタチン系(HMG-CoA還元酵素阻害薬)
  3. 3.ニコチン酸系(ニコモール等)
  4. 4.フィブラート系(PPARα活性化薬)
  5. 5.エゼチミブ(コレステロール吸収阻害薬)
  6. 6.PCSK9阻害薬
  7. 7.ロミタピド(MTP阻害薬)
  8. 8.薬剤別効果まとめ
  9. 9.国試頻出まとめ
  10. 10.国試過去問チェック

🩸 脂質異常症の分類と治療目標

病態 主な異常 治療目標
高LDLコレステロール血症 LDL↑ スタチン第一選択
低HDLコレステロール血症 HDL↓ 生活習慣改善・フィブラート
高トリグリセリド血症 TG↑ フィブラート・ニコチン酸系
混合型 LDL↑ + TG↑ 組み合わせ治療

スタチン系(HMG-CoA還元酵素阻害薬)


コレステロール合成経路(メバロン酸経路)

アセチルCoA
  ↓
HMG-CoA(ヒドロキシメチルグルタリルCoA)
  ↓ HMG-CoA還元酵素(律速酵素)← スタチンが競合阻害
メバロン酸
  ↓
...
  ↓
コレステロール

【スタチンの連鎖作用】
HMG-CoA還元酵素を阻害
  ↓
肝細胞内コレステロール合成↓
  ↓
フィードバック → 肝細胞のLDL受容体発現↑
  ↓
血中LDLをより多く取り込む
  ↓
血清LDL↓↓↓(最強のLDL低下薬)

副作用:横紋筋融解症(CK↑・ミオパチー) CYP3A4阻害薬(シクロスポリン・アゾール系)で筋毒性↑ フィブラート系との併用で横紋筋融解症リスク↑↑

薬剤 特徴
アトルバスタチン 強力・半減期長い(14時間)
ロスバスタチン 最強のLDL低下効果
プラバスタチン 水溶性・筋障害リスク低い
シンバスタチン プロドラッグ

ニコチン酸系(ニコモール等)


ニコチン酸受容体(GPR109A)を刺激
  ↓
Gi(抑制性Gタンパク)→ アデニル酸シクラーゼ阻害
  ↓
cAMP↓
  ↓
HSL(ホルモン感受性リパーゼ)不活性化
  ↓
脂肪組織での脂肪分解↓
  ↓
遊離脂肪酸(FFA)の血中放出↓
  ↓
肝臓へのFFA供給↓ → 肝臓でのTG合成↓

【効果】TG↓・HDL↑・LDL↓

副作用:皮膚潮紅(プロスタグランジン媒介)
→ アスピリン前投与で軽減


フィブラート系(PPARα活性化薬)


核内受容体 PPARα(ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体α)を活性化
  ↓
【TG低下】
LPL(リポタンパクリパーゼ)遺伝子発現↑
  ↓
血中TGをVLDL・カイロミクロンから分解↑
  ↓
血清TG↓↓↓(最強のTG低下薬)

【HDL上昇】
アポA-I・アポA-II産生↑
  ↓
HDL↑↑

副作用:横紋筋融解症(スタチンとの併用でリスク↑↑)・肝機能障害

薬剤 特徴
フェノフィブラート 最もよく使われる
ベザフィブラート 腎排泄型・腎機能注意

エゼチミブ(コレステロール吸収阻害薬)


食事・胆汁由来コレステロール
  ↓
小腸刷子縁のNPC1L1(Niemann-Pick C1 Like 1)
トランスポーターで吸収

【エゼチミブの作用】
NPC1L1を阻害
  ↓
小腸でのコレステロール吸収↓
  ↓
肝臓へのコレステロール供給↓
  ↓
LDL受容体発現↑ → 血中LDL↓↓

スタチンとの相加効果あり スタチン不耐容例にも有用 副作用が少ない(消化器症状のみ)


PCSK9阻害薬

通常のLDL受容体のサイクル
LDL受容体が血中LDLをとらえて肝細胞内へ取り込む
  ↓
PCSK9(プロタンパク質転換酵素スブチリシン/ケキシン9型)が
LDL受容体と結合
  ↓
LDL受容体をリソソームへ誘導→分解
  ↓
LDL受容体数↓ → 血中LDL取り込み↓ → LDL↑

【PCSK9阻害薬の作用】
エボロクマブ・アリロクマブ(モノクローナル抗体)が
PCSK9に結合・阻害
  ↓
LDL受容体がリソソームへ誘導されない
  ↓
LDL受容体が細胞表面に戻り再利用される
  ↓
肝細胞表面のLDL受容体数↑↑
  ↓
血中LDL取り込み↑ → 血清LDL↓↓↓↓
薬剤 特徴
エボロクマブ 完全ヒト型モノクローナル抗体・2週に1回皮下注
アリロクマブ ヒト化モノクローナル抗体

適応:家族性高コレステロール血症・スタチン最大量でも不十分な例


ロミタピド(MTP阻害薬)


MTP(ミクロソームトリグリセリド転送タンパク質)
→ 小腸・肝臓でVLDL・カイロミクロンの組み立てに必要

【ロミタピドの作用】
MTPを阻害
  ↓
小腸でのカイロミクロン産生↓
肝臓でのVLDL産生↓
  ↓
血中LDL・TG↓↓↓↓

副作用:肝毒性・脂肪肝(肝臓でのTG蓄積)・消化器症状 適応:ホモ接合体家族性高コレステロール血症(HoFH)
→ 低脂肪食が必須


📊 薬剤別効果まとめ

薬剤 LDL TG HDL 主な機序
スタチン ↓↓↓ HMG-CoA還元酵素阻害
エゼチミブ ↓↓ NPC1L1阻害
フィブラート ↓↓↓ ↑↑ PPARα活性化
ニコチン酸系 ↓↓ ↑↑ ニコチン酸受容体刺激→cAMP↓→脂肪分解↓
PCSK9阻害薬 ↓↓↓↓ PCSK9阻害
ロミタピド ↓↓↓↓ ↓↓ MTP阻害

国試頻出まとめ

# ポイント
1 スタチン:HMG-CoA還元酵素(メバロン酸経路の律速酵素)を競合阻害→肝コレステロール↓→LDL受容体↑→LDL↓↓↓
2 スタチンの副作用:横紋筋融解症。CYP3A4阻害薬・フィブラート系との併用でリスク↑↑
3 エゼチミブ:小腸のNPC1L1阻害→コレステロール吸収↓→LDL↓。スタチンと相加効果
4 フィブラート系PPARα活性化→LPL↑→TG分解↑、アポA-I↑→HDL↑。TG低下効果が最強
5 ニコチン酸系(ニコモール):GPR109A刺激→Gi→cAMP↓→HSL不活性化→脂肪分解↓→TG合成↓。副作用:皮膚潮紅
6 PCSK9阻害薬(エボロクマブ):PCSK9阻害→LDL受容体の分解↓→LDL受容体数↑→LDL↓↓↓↓
7 ロミタピド:MTP阻害→VLDL・カイロミクロン産生↓→LDL↓↓↓↓。適応:HoFH(ホモ接合体家族性高コレステロール血症)
8 コレスチミド(陰イオン交換樹脂):腸管内で胆汁酸と結合→胆汁酸排泄↑→肝臓でコレステロール→胆汁酸への異化↑→LDL↓
9 スタチン+フィブラート:横紋筋融解症リスクが特に高い組み合わせ→原則避ける
10 MTP阻害薬(ロミタピド)・NPC1L1阻害薬(エゼチミブ)・PCSK9阻害薬・HMG-CoA阻害薬はすべて作用部位が異なる

📝 国試過去問チェック

第110回 問164(一般問題)

脂質異常症治療薬に関する記述として、正しいのはどれか。2つ選べ。

1. アトルバスタチンは、HMG-CoA還元酵素を阻害して、肝細胞のLDL受容体を増加させる。
2. コレスチミドは、転写因子SREBP-1cの活性を抑制して、トリグリセリドの合成を抑制する。
3. プロブコールは、小腸コレステロールトランスポーターを阻害して、腸管からのコレステロール吸収を抑制する。
4. ベザフィブラートは、MTP(ミクロソームトリグリセリド輸送タンパク質)を阻害して、VLDLの産生を抑制する。
5. ニコモールは、ニコチン酸受容体を刺激し、脂肪組織における脂肪分解を抑制して、肝臓への遊離脂肪酸の動員を減少させる。

解答と解説を見る

正解:1・5

1○ アトルバスタチン(スタチン系)はHMG-CoA還元酵素を阻害→肝細胞内コレステロール合成↓→フィードバックでLDL受容体発現↑→血中LDL取り込み↑→血清LDL↓。
5○ ニコモールはニコチン酸受容体(GPR109A)刺激→Gi→cAMP↓→HSL不活性化→脂肪組織の脂肪分解↓→遊離脂肪酸放出↓→肝TG合成↓。
2✗ コレスチミドは腸管内で胆汁酸と結合して体外排泄↑→胆汁酸の腸肝循環↓→肝臓でのコレステロール→胆汁酸への異化↑→LDL受容体↑(SREBP-1c抑制ではない)。
3✗ プロブコールは肝臓でコレステロール→胆汁酸への異化を促進する(NPC1L1阻害はエゼチミブ)。
4✗ ベザフィブラートはPPARα活性化→LPL活性化→TG分解↑(MTP阻害はロミタピド)。

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