⚡ カソード・アノードと酸化・還元
| 用語 | 電池(自発的反応) | 電気分解(外部電源あり) |
|---|---|---|
| カソード(cathode) | 正極・還元 | 陰極・還元 |
| アノード(anode) | 負極・酸化 | 陽極・酸化 |
✅ 「カソード = 還元、アノード = 酸化」は電池・電気分解ともに共通!
🔋 標準電極電位と起電力
E°cell = E°正極(カソード) − E°負極(アノード)
| 半反応 | E°(V) |
|---|---|
| Zn²⁺ + 2e⁻ → Zn | −0.763 |
| 2H⁺ + 2e⁻ → H₂ | 0.000(基準) |
| Cu²⁺ + 2e⁻ → Cu | +0.337 |
| Ag⁺ + e⁻ → Ag | +0.799 |
✅ E°cell > 0 → 自発的反応(ΔG° = −nFE° < 0)
ダニエル電池(Zn | ZnSO₄ || CuSO₄ | Cu)
E°cell = E°(Cu) − E°(Zn) = +0.337 − (−0.763) = +1.100 V
| 電極 | 極 | 反応 |
|---|---|---|
| Zn | 負極(アノード) | Zn → Zn²⁺ + 2e⁻(酸化) |
| Cu | 正極(カソード) | Cu²⁺ + 2e⁻ → Cu(還元) |
濃淡電池の標準起電力
濃度のみが異なる2つの半電池からなる電池。標準状態では両電極の濃度が等しいため:
✅ 濃淡電池の標準起電力 = 0 V(ただし実際の濃度差があれば起電力は生じる)
⚗️ ファラデーの法則
電気分解で析出(または溶解)する物質の質量:
m = M × I × t / (n × F)
| 記号 | 意味 |
|---|---|
| m | 析出・溶解する質量(g) |
| M | モル質量(g/mol) |
| I | 電流(A) |
| t | 時間(s) |
| n | 反応に関わる電子数 |
| F | ファラデー定数(96500 C/mol) |
✅ 計算の流れ:Q = I × t → 電子モル数 = Q/F → 物質モル数 = 電子モル数/n → m = モル数 × M
例) 96500 C 流したとき Cu(M = 64, n = 2)の析出量
電子 = 1 mol → Cu = 0.5 mol → m = 32 g
📋 国試頻出まとめ
| # | ポイント | 内容 |
|---|---|---|
| 1 | 起電力の計算 | E°cell = E°正極 − E°負極 |
| 2 | ダニエル電池 | E°cell = +1.100 V(Cu: +0.337、Zn: −0.763) |
| 3 | カソード = 還元 | 電池・電気分解ともに共通 |
| 4 | 濃淡電池の標準起電力 | 0 V(標準状態では濃度差なし) |
| 5 | ファラデーの法則 | m = MIt/(nF) |
| 6 | ファラデー定数 | F = 96500 C/mol |
| 7 | ΔG° と E° | ΔG° = −nFE°(E° > 0 なら自発) |
| 8 | 酸化剤・還元剤 | 電子を受け取る = 酸化剤、渡す = 還元剤 |
| 9 | 起電力の式 | ネルンストの式(Henderson-Hasselbalchではない) |
📝 国試過去問チェック
第110回薬剤師国家試験 問1(必須)
図はダニエル電池(Zn ; ZnSO₄(aq) || CuSO₄(aq) ; Cu)の模式図である。この電池の標準起電力として正しいのはどれか。1つ選べ。 ただし、Zn と Cu の半電池の標準電極電位はそれぞれ −0.763 V と +0.337 V とする。
1. +0.213 V
2. +0.426 V
3. +1.100 V
4. −0.426 V
5. −1.100 V
解答と解説を見る
正解:3
標準起電力の計算式:E°cell = E°正極(カソード)− E°負極(アノード)
ダニエル電池では Cu が正極(カソード)、Zn が負極(アノード)となる。
E°cell = E°(Cu) − E°(Zn) = (+0.337) − (−0.763) = +1.100 V
3○ +1.100 V。正しい。
1✗ +0.213 V は根拠不明。
2✗ +0.426 V = 0.337 + 0.337 − 0.248 など、計算が不正確。
4✗ −0.426 V は符号や計算が誤り。
5✗ −1.100 V は正負極を逆にした場合の値。
第108回薬剤師国家試験 問93(一般)
酸化還元反応と化学電池に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。
1. 酸化還元反応において、電子を受け取るのは還元剤である。
2. コハク酸(C₄H₆O₄)+ FAD → フマル酸(C₄H₄O₄)+ FADH₂ の反応において、コハク酸は酸化剤である。
3. 進行中の酸化還元反応の起電力は、Henderson-Hasselbalch の式で表すことができる。
4. 電解質の濃度のみが異なる2つの半電池からなる化学電池(濃淡電池)の標準起電力は 0 V である。
5. 反応が自発的に進行している化学電池では、カソード(正極)で還元反応が起こる。
解答と解説を見る
正解:4、5
4○ 濃淡電池は濃度のみが異なる2つの半電池からなる。標準状態(両電極が同じ標準濃度)では電位差がなく、標準起電力 = 0 V。正しい。
5○ 自発的に進行する化学電池では、正極(カソード)で還元反応が起こる。「カソード = 還元」は電池・電気分解ともに共通のルール。正しい。
1✗ 電子を受け取るのは酸化剤(相手を酸化し、自身は還元される)。還元剤は電子を渡す側。
2✗ コハク酸はフマル酸に変化する際、H₂を失って酸化されている(→ コハク酸は還元剤)。酸化剤ではない。
3✗ 酸化還元反応の起電力はネルンストの式で表される。Henderson-Hasselbalch の式は酸塩基平衡(pH計算)に使うもので、電池とは無関係。
