🧬 化学物質の代謝的活性化と発がん
化学発がん物質は体内でシトクロムP450(CYP)により活性化される。
| 物質 | 代謝経路 | 最終発がん物質 |
|---|---|---|
| ベンゾ[a]ピレン(多環芳香族炭化水素) | CYP → エポキシドヒドロラーゼ | 7,8-ジオール-9,10-エポキシ体(BPDE)→ DNAに共有結合 |
| 塩化ビニル | CYP | クロロエチレンオキシド(肝血管肉腫) |
| アリールアミン(2-ナフチルアミン等) | CYP → N-ヒドロキシ化 | ニトレニウムイオン(膀胱がん) |
| アフラトキシンB₁ | CYP | エポキシ体 → DNA付加体(肝がん) |
| ジメチルニトロソアミン | CYP | メチルジアゾニウムイオン(DNAメチル化) |
✅ 2-ナフチルアミンの活性化順序:N-ヒドロキシ化(CYP)→ 抱合体形成 → ニトレニウムイオン 最初の反応はN-ヒドロキシ化(エポキシ化ではない)
🌿 農薬の毒性機序
| 農薬種 | 代表例 | 作用機序 | ポイント |
|---|---|---|---|
| 有機リン系 | パラチオン・フェニトロチオン | AChEを不可逆的にリン酸化阻害 | CYPで脱硫(P=S → P=O)されて活性化 |
| カーバメート系 | カルバリル・メソミル | AChEをカルバモイル化(可逆的阻害) | 有機リンより解毒が早い |
| 有機塩素系 | DDT・BHC | 神経膜のNaチャネル阻害 | 残留性・蓄積性が高い |
| 除草剤(グリホサート) | ラウンドアップ® | シキミ酸経路を阻害(アミノ酸合成) | 植物のみ(動物にはシキミ酸経路なし) |
| パラコート | パラコート | スーパーオキシドアニオンを生成 → 酸化的細胞障害 | 肺線維症・難治性 |
| ネオニコチノイド系 | アセタミプリド | ニコチン性AChR作動薬 | - |
| ピレスロイド系 | フェノトリン | 電位依存性Na⁺チャネル開放持続 | - |
⚠️ 有機リン系と間違えやすい:カーバメート系は可逆的(有機リンは不可逆的)
🔍 中毒とトキシドローム
トキシドローム(toxidrome): 原因物質が特定できない場合に、特徴的な症状パターンから原因を推定する概念
| 症状パターン | 推定される中毒物質 |
|---|---|
| 縮瞳・流涎・徐脈・気管支収縮 | 有機リン・カーバメート(コリン作動性) |
| 散瞳・頻脈・口渇・皮膚乾燥 | 抗コリン薬(アトロピン類・抗ヒスタミン薬等) |
| 縮瞳・呼吸抑制・意識障害 | オピオイド |
中毒物質の検出法と解毒薬:
| 物質 | 検出法 | 解毒薬 |
|---|---|---|
| 大麻(THC) | 尿中代謝物(11-nor-9-carboxy-THC) | - |
| メタンフェタミン | シモン反応(青色呈色、第二級アミンに陽性) | - |
| 麻薬(ヘロイン・コカイン) | マルキス試薬(橙赤色→紫色) | ナロキソン(オピオイド) |
| 有機リン農薬 | ChE活性低下 | PAM(プラリドキシム)+アトロピン |
| ヒ素 | - | ジメルカプロール(BAL)・DMSA |
| ベンゾジアゼピン | - | フルマゼニル |
| シアン化水素・硫化水素 | - | 亜硝酸アミル(シアンのみ) |
✅ シモン反応=ニトロプルシドナトリウム+アセトアルデヒド → 第二級アミンに陽性(青色) メタンフェタミン(N-CH₃構造をもつ)が代表例
🧪 毒性試験の種類
| 試験種 | 目的 | 使用生物・期間 |
|---|---|---|
| 急性毒性試験 | LD₅₀(致死量)の測定 | 動物(単回投与) |
| 反復投与毒性試験 | 反復投与による影響・NOAELの算出 | 動物(28日・90日・1年等) |
| 発がん性試験 | 発がん性の評価 | 動物(約2年間) |
| 変異原性試験(Ames試験) | 遺伝子変異の評価 | 細菌(Salmonella typhimurium) |
| コメットアッセイ | DNA鎖切断の評価 | 哺乳類細胞 |
| マウスリンフォーマTK試験 | 体細胞突然変異の評価 | 哺乳類培養細胞 |
| 小核試験 | 染色体異常誘発性の評価 | 哺乳類細胞(骨髄等) ← 細菌ではない |
| 生殖毒性試験 | 生殖・発生への影響 | 雌雄両方に投与 |
| アレルゲン性試験(LLNA法) | 皮膚感作性の評価 | マウス耳介に塗布。遅延型(IV型)アレルギーを指標 |
⚠️ 発がん性試験 = 約2年間(90日は亜慢性毒性試験) Ames試験 = 細菌を使用(哺乳類細胞ではない)
毒性試験の分類:
- 一般毒性試験:急性毒性・反復投与毒性
- 特殊毒性試験:変異原性・発がん性・生殖毒性・アレルゲン性等
📊 安全性評価の指標
| 指標 | 定義 | 適用場面 |
|---|---|---|
| NOAEL(無毒性量) | 毒性が認められない最大投与量 | 反復投与毒性試験から算出 |
| ADI(許容一日摂取量) | NOAEL ÷ 安全係数(通常100) | 閾値のある毒性(農薬・食品添加物等) |
| TDI(耐容一日摂取量) | NOAEL ÷ 不確実係数 | 非発がん性の環境汚染物質 |
| VSD(実質安全量) | リスクが10⁻⁶以下となる投与量 | 遺伝毒性発がん物質(閾値なし) |
| BMD(ベンチマークドーズ) | NOAELが算出困難な場合の代替手法 | - |
✅ ADI vs VSD の使い分け ADI → 閾値ありの毒性(農薬・食品添加物の安全基準) VSD → 閾値なしの遺伝毒性発がん物質のリスク評価
安全係数(不確実係数)100の内訳:
- 動物 → ヒト外挿:×10
- 個人差(感受性の違い):×10
TDI計算の手順: 複数動物試験のNOAELのうち最も低い値を採用 → ÷ 不確実係数 = TDI
🔥 化学発がんのイニシエーターとプロモーター
| 種類 | 役割 | 特徴 |
|---|---|---|
| イニシエーター | DNA変異を誘発(開始) | 少量・1回でも効果;DNA変異は不可逆的 |
| プロモーター | 変異細胞の増殖を促進 | イニシエーターなしでは発がんしない;大量・持続的投与が必要(単独では発がんしない) |
| コンプリートカーシノゲン(完全発がん物質) | イニシエーター+プロモーター両方の作用 | 単独で発がん誘導可能 |
✅ 実験でBのみ塗布→腫瘍なし、B+プロモーターC→腫瘍発生 → Bはイニシエーター活性あり プロモーターC単独→腫瘍なし → CはDNA変異誘発(イニシエーター)活性なし
⚗️ ヒ素の毒性と発がん性
| 区分 | ポイント |
|---|---|
| 毒性の強さ | 3価ヒ素 > 5価ヒ素(無機ヒ素は3価の方が毒性強い) |
| 有機ヒ素 | アルセノベタイン(魚介類に多い)は急性毒性が低い(無機ヒ素より弱い) |
| 発がん性 | ヒ素・無機ヒ素化合物はIARC Group 1(皮膚がん・肺がん・膀胱がん) |
| 解毒薬 | ジメルカプロール(BAL)・DMSA ← 亜硝酸アミルはシアン中毒用 |
| 健康被害 | 汚染地下水の飲用による健康被害が世界的問題(バングラデシュ等) |
🌿 生態系の構造と生物濃縮
生態系の構成生物:
| 区分 | 内容 | 例 |
|---|---|---|
| 生産者(独立栄養生物) | 無機物から有機物を合成(光合成・化学合成) | 植物・藻類・シアノバクテリア |
| 一次消費者 | 生産者を食べる | 草食動物・プランクトン |
| 二次消費者 | 一次消費者を食べる | 小型魚・昆虫食動物 |
| 高次消費者 | 食物連鎖の上位 | 大型肉食獣・鯨類 |
| 分解者 | 有機物を無機物に分解 | 細菌・真菌 |
生物濃縮係数(BCF)の計算:
✅ BCF = 生物中濃度 ÷ 環境中濃度(単位をそろえて計算) 食物連鎖の上位ほど濃縮率が高い(脂溶性・難分解性物質:PCB・DDT等で顕著)
⚡ 活性酸素と生体防御
| 酵素・物質 | 反応 | 局在・特徴 |
|---|---|---|
| SOD(スーパーオキシドジスムターゼ) | O₂⁻ → H₂O₂ + O₂ | Cu/Zn-SOD:細胞質;Mn-SOD:ミトコンドリア |
| カタラーゼ | H₂O₂ → H₂O + O₂ | 活性中心にヘム鉄をもつ |
| グルタチオンペルオキシダーゼ(GPx) | H₂O₂ + 2GSH → 2H₂O + GSSG | 活性中心にセレノシステイン |
| グルタチオンレダクターゼ | GSSG → 2GSH(GSHを再生) | - |
⚠️ SODが変換するのは水ではなく過酸化水素と酸素(H₂O₂ + O₂) Cu/Zn-SOD → 細胞質(ミトコンドリアではない)
📋 国試頻出まとめ
| # | テーマ | 重要ポイント |
|---|---|---|
| 1 | ベンゾ[a]ピレン活性化 | CYP + エポキシドヒドロラーゼ → 7,8-ジオール-9,10-エポキシ体(BPDE)→ DNA付加体 |
| 2 | 2-ナフチルアミン活性化 | 最初の反応 = N-ヒドロキシ化(エポキシ化ではない) → 膀胱がん |
| 3 | 有機リン系農薬 | AChEを不可逆的にリン酸化阻害;CYPによる脱硫で活性化 |
| 4 | カーバメート系農薬 | AChEのカルバモイル化(可逆的阻害) |
| 5 | グリホサート | シキミ酸経路を阻害(植物のみに存在) |
| 6 | パラコート | スーパーオキシドアニオン生成 → 肺線維症 |
| 7 | トキシドローム | 縮瞳・流涎・徐脈 = コリン作動性(有機リン);散瞳・頻脈・口渇 = 抗コリン |
| 8 | シモン反応 | 第二級アミン(メタンフェタミン)に陽性(青色) |
| 9 | Ames試験 | **細菌(Salmonella typhimurium)**を使った変異原性試験(遺伝毒性発がん物質のスクリーニング) |
| 10 | 毒性試験の区分 | 一般毒性(急性・反復)vs 特殊毒性(変異原性・発がん性・生殖毒性等) |
| 11 | ADI vs VSD | ADI:閾値あり(農薬・食品添加物)/ VSD:閾値なし(遺伝毒性発がん物質) |
| 12 | BCF計算 | 生物体内濃度 ÷ 環境中濃度(単位をそろえる) |
📝 国試過去問チェック
第111回薬剤師国家試験 問130
化学物質A〜Eの代謝的活性化による発がん物質の生成に関して、正しいのはどれか。2つ選べ。
2. Bは、CYPにより代謝され、クロロエチレンオキシドを生成する 4. Dは、CYP及びエポキシドヒドロラーゼにより代謝され、7,8-ジオール-9,10-エポキシ体を生成する
解答と解説を見る
正解:2, 4
2○ 塩化ビニル → CYPでクロロエチレンオキシド(発がん性エポキシド)。 4○ ベンゾ[a]ピレン → CYP + エポキシドヒドロラーゼ → 7,8-ジオール → さらにCYP → 7,8-ジオール-9,10-エポキシ体(最終発がん物質)。
第111回薬剤師国家試験 問132
中毒原因物質に関して、正しいのはどれか。2つ選べ。
1. THCは代謝を受けやすいため尿中から代謝物として検出される 4. 原因物質の特定ができない場合に、特徴的な症状から原因を推定して対応する概念をトキシドロームという
解答と解説を見る
正解:1, 4
1○ THCは体内で代謝され、尿中から代謝物(THCCOOH等)として長期間検出される。 4○ トキシドロームは症状パターンから原因物質を推定する概念。 2✗ THCの検出にマルキス試薬は使わない(マルキス試薬はヘロイン等に使用)。 3✗ アンフェタミン・メタンフェタミンの検出はシモン反応。 5✗ 散瞳・頻脈・口渇は抗コリン中毒(有機リンは縮瞳・流涎・徐脈)。
第109回薬剤師国家試験 問21
シモン反応によって確認できる薬物はどれか。1つ選べ。(選択肢は化学構造式)
解答と解説を見る
正解:2(メタンフェタミン)
シモン反応はニトロプルシドナトリウムとアセトアルデヒドを用いる反応で、**第二級アミン(N-H基)**に陽性(青色)を示す。メタンフェタミンは第二級アミン構造をもつため陽性。モルヒネ・コカインなどの第三級アミンは陰性。
第109回薬剤師国家試験 問22
遺伝毒性発がん物質のリスク評価に用いられる指標はどれか。1つ選べ。
1. 許容一日摂取量(ADI) 2. 耐容一日摂取量 3. 実質安全量(VSD) 4. 急性参照用量 5. 無毒性量(NOAEL)
解答と解説を見る
正解:3
3○ 実質安全量(VSD:Virtually Safe Dose)は遺伝毒性発がん物質(閾値なし)のリスク評価に用いる。リスクが10⁻⁶以下となる投与量として算出。 1✗ ADI(許容一日摂取量)は閾値のある毒性(農薬・食品添加物等)に適用。 2✗ 耐容一日摂取量(TDI)は非発がん性環境汚染物質に用いる。 5✗ NOAELはADI算出に使うが、リスク指標ではない。
第109回薬剤師国家試験 問132
化合物A〜Eの代謝と毒性に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。
1. 化合物A(メタノール)は、生体内でホルムアルデヒド、次いでギ酸に酸化されて視覚障害を引き起こす 2. 化合物Bは、CYPによって酸化され、生じたエポキシ体がメトヘモグロビン血症を引き起こす 3. 化合物Cは、CYPによって水酸化・N-脱メチル化される過程で生成するメチルカチオンがDNAと付加体を形成する 4. 化合物Dは、CYPによって速やかに水酸化され、TCAサイクルのアコニターゼを阻害する 5. 化合物E(有機リン)は、カルボキシルエステラーゼによる加水分解によって活性化され、アセチルコリンエステラーゼを不可逆的に阻害する
解答と解説を見る
正解:1, 5
1○ メタノール → アルコール脱水素酵素でホルムアルデヒド → ギ酸 → 網膜・視神経障害(視覚障害・失明)。 5○ 一部の有機リン農薬(プロドラッグ型)はカルボキシルエステラーゼ等で加水分解・活性化 → AChEを不可逆的にリン酸化阻害。 2✗ 芳香族アミンによるメトヘモグロビン血症はN-ヒドロキシ化体が原因(エポキシ体ではない)。 4✗ フルオロアセテートはフルオロクエン酸に変換されてアコニターゼ阻害(CYP水酸化を介さない)。
第109回薬剤師国家試験 問133
ヒ素に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。
1. 無機ヒ素化合物の毒性は、5価のヒ素の方が、3価のヒ素より強い 2. アルセノベタインは、無機ヒ素と比べて急性毒性が強い 3. ヒ素及び無機ヒ素化合物は、IARCの発がん性分類グループ1に分類されている 4. 無機ヒ素化合物による急性中毒時には、解毒薬として亜硝酸アミルが用いられる 5. 無機ヒ素化合物は、地殻中に広く分布し、汚染された地下水の飲用による健康被害が世界的に問題となっている
解答と解説を見る
正解:3, 5
3○ ヒ素・無機ヒ素化合物はIARC Group 1(ヒトへの発がん性確認)→ 皮膚がん・肺がん・膀胱がんを引き起こす。 5○ ヒ素は地殻中に広く分布し、地下水汚染による砒素中毒がバングラデシュ・インド等で世界的問題となっている。 1✗ 無機ヒ素は3価 > 5価の順で毒性が強い。 2✗ アルセノベタイン(魚介類中の有機ヒ素)は急性毒性が低い(無機ヒ素より弱い)。 4✗ ヒ素中毒の解毒薬はジメルカプロール(BAL)・DMSA(亜硝酸アミルはシアン中毒用)。
第109回薬剤師国家試験 問134
化学物質の毒性試験に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。
1. 急性毒性試験から得られるLD₅₀は、毒物及び劇物の分類の判定に利用されている 2. 反復投与毒性試験(慢性毒性試験)は、特殊毒性試験に含まれる 3. 微生物を用いる復帰突然変異試験(Ames試験)は、非遺伝毒性発がん物質のスクリーニングに用いられている 4. 食品添加物のアレルゲン性試験(抗原性試験)は、遅延型アレルギーを指標とする試験方法である 5. 催奇形性試験(発生毒性試験)は、被験物質を交配前の雌性動物に投与して行う
解答と解説を見る
正解:1, 4
1○ LD₅₀(半数致死量)は急性毒性試験から得られ、毒物・劇物の分類判定基準として利用される。 4○ アレルゲン性試験(LLNA法等)は遅延型(IV型)アレルギー(T細胞介在)を指標とする。 2✗ 反復投与毒性試験は一般毒性試験(特殊毒性試験は変異原性・発がん性・生殖毒性等)。 3✗ Ames試験は遺伝毒性発がん物質のスクリーニングに使用(非遺伝毒性ではない)。 5✗ 催奇形性試験は妊娠中の雌性動物に投与(交配前ではなく器官形成期に投与)。
第109回薬剤師国家試験 問136
マウス皮膚腫瘍実験(化学物質A・B各1回塗布+Cを連続塗布)の結果に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。 (A単独→腫瘍発生 / B単独→腫瘍発生なし / C単独→腫瘍発生なし / A+C→腫瘍発生 / B+C→腫瘍発生)
1. 化学物質Aには、イニシエーターとしての作用はない 2. 化学物質Bには、イニシエーターとしての作用はない 3. 化学物質Cには、イニシエーターとしての作用はない 4. 化学物質Aには、プロモーターとしての作用がある 5. 化学物質Bには、プロモーターとしての作用がある
解答と解説を見る
正解:3, 4
3○ C単独→腫瘍発生なし、A/B+C→腫瘍発生 → Cはイニシエーター活性なし(プロモーターとして機能)。 4○ A単独(連続塗布)でも腫瘍発生 → Aはイニシエーターかつプロモーター活性あり(完全発がん物質)。 1✗ A+Cで腫瘍が発生 → AにはDNA変異誘発(イニシエーター)活性あり。 2✗ B+Cで腫瘍が発生 → BにはDNA変異誘発(イニシエーター)活性あり。 5✗ B単独で腫瘍発生なし → Bはプロモーター活性なし(イニシエーターのみ)。
第108回薬剤師国家試験 問21
生態系を構成する生物のうち、独立栄養生物はどれか。1つ選べ。
1. 一次消費者 2. 二次消費者 3. 高次消費者 4. 分解者 5. 生産者
解答と解説を見る
正解:5
5○ 生産者は太陽エネルギーや化学エネルギーを使って無機物から有機物を合成する独立栄養生物(植物・藻類等)。 1〜3✗ 消費者は有機物(他の生物)を食べる従属栄養生物。 4✗ 分解者(細菌・真菌)も有機物を利用する従属栄養生物。
第108回薬剤師国家試験 問22
ある海域の海水中の化学物質Aの濃度は5×10⁻⁸ mg/L、シャチの体内から検出された濃度は1×10⁻³ mg/kgであった。生物濃縮係数に最も近い値はどれか。(海水比重=1.0)
1. 5×10⁻⁵ 2. 5×10⁻³ 3. 1×10¹ 4. 2×10² 5. 2×10⁴
解答と解説を見る
正解:5
海水比重1.0より:海水中濃度 = 5×10⁻⁸ mg/L = 5×10⁻⁸ mg/kg BCF = シャチ体内濃度 ÷ 環境中濃度 = (1×10⁻³) ÷ (5×10⁻⁸) = 2×10⁴
PCBやDDT等の脂溶性・難分解性物質では食物連鎖の上位(シャチ等)で高い濃縮が起こる。
第108回薬剤師国家試験 問132
化学物質の毒性に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。
1. 硫化水素は、ミトコンドリアのシトクロムオキシダーゼの阻害により、細胞呼吸を抑制する 2. DEHPは、ヘム合成に関わる酵素を阻害することで、造血機能障害を生じる 3. 四塩化炭素は、CYPによって還元的に脱ハロゲン化されて、肝障害を引き起こす 4. 塩化ビニルモノマーは、アセチルコリンエステラーゼの阻害により、神経毒性を示す 5. カルバリルは、アコニターゼの阻害により、呼吸器障害を生じる
解答と解説を見る
正解:1, 3
1○ H₂S → ミトコンドリア電子伝達系のシトクロムオキシダーゼ(複合体IV)を阻害 → 細胞呼吸抑制(シアン化水素と同じ機序)。 3○ CCl₄ → CYPにより還元的に脱ハロゲン化 → CCl₃ラジカル → 脂質過酸化 → 肝障害。 2✗ DEHP → 内分泌かく乱物質(ヘム合成阻害は鉛の特徴)。 4✗ 塩化ビニル → CYPでエポキシ化 → DNA付加体 → 肝血管肉腫(AChE阻害は有機リン・カーバメート)。 5✗ カルバリル(カーバメート) → AChEのカルバモイル化阻害(アコニターゼ阻害はフルオロアセテート)。
第108回薬剤師国家試験 問133
毒性試験に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。
1. 食品添加物の指定申請には、単回投与毒性試験を行う必要がある 2. 反復投与毒性試験の目的は、LD₅₀を求めることである 3. 化学物質の毒性試験には、一般毒性試験と特殊毒性試験がある 4. 食品添加物の指定申請には、アレルゲン性(抗原性)試験を行う必要がある 5. 発がん性試験では、ラットやマウスに被験化学物質を反復投与して90日間における腫瘍の発生を調べる
解答と解説を見る
正解:1, 3
1○ 食品添加物の指定申請には単回投与毒性試験(急性毒性)が必要。 3○ 毒性試験は一般毒性試験(急性・反復)と特殊毒性試験(変異原性・発がん性・生殖毒性・催奇形性・アレルゲン性等)に大別される。 2✗ LD₅₀は単回投与毒性試験で求める(反復投与の目的はNOAEL)。 5✗ 発がん性試験は**約2年間(生涯)**投与して腫瘍発生を観察(90日は亜慢性毒性試験)。
第108回薬剤師国家試験 問134
甘味料AのADIの何%に相当するか。(NOAEL:1,500 mg/kg/日、安全係数:100、体重60kg、一日摂取量:合計2.412 mg/人/日)
1. 0.16 2. 0.27 3. 0.80 4. 1.9 5. 2.4
解答と解説を見る
正解:2
ADI = NOAEL ÷ 安全係数 = 1,500 ÷ 100 = 15 mg/kg/日 一人あたりADI = 15 × 60 kg = 900 mg/日 %ADI = (2.412 ÷ 900) × 100 = 0.268% ≈ 0.27%
第107回薬剤師国家試験 問23
2-ナフチルアミンが生体内で代謝的活性化されてニトレニウムイオンを生じる過程において、最初に起こる代謝反応はどれか。1つ選べ。
1. エポキシ化 2. N-ヒドロキシ化 3. グルクロン酸抱合 4. 硫酸抱合 5. アセチル抱合
解答と解説を見る
正解:2
2○ N-ヒドロキシ化:芳香族アミン(2-ナフチルアミン)はまずCYPによりN-ヒドロキシ化 → N-OH体が生成。 その後の経路:N-OH体 → 抱合(グルクロン酸・硫酸・アセチル)→ ニトレニウムイオン(DNA付加体形成 → 膀胱がん)。 1✗ エポキシ化:多環芳香族炭化水素(ベンゾ[a]ピレン等)の活性化経路。
第107回薬剤師国家試験 問131
活性酸素に対する生体内の防御因子に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。
1. SODは、スーパーオキシドアニオンを水に変換する 2. Cu/Zn-SODは、ミトコンドリアに局在する 3. カタラーゼは、過酸化水素を酸素と水に変換する酵素で、活性中心にヘム鉄をもつ 4. グルタチオンペルオキシダーゼは、グルタチオン存在下で過酸化水素を水に還元する 5. グルタチオンレダクターゼは、スーパーオキシドアニオンを過酸化水素と酸素に変換する
解答と解説を見る
正解:3, 4
3○ カタラーゼ:2H₂O₂ → 2H₂O + O₂。活性中心にヘム鉄(Fe)を持つ酵素。 4○ グルタチオンペルオキシダーゼ(GPx):H₂O₂ + 2GSH → 2H₂O + GSSG。活性中心にセレノシステイン。 1✗ SOD:O₂⁻ + O₂⁻ + 2H⁺ → H₂O₂ + O₂(水ではなく過酸化水素と酸素に変換)。 2✗ Cu/Zn-SOD:細胞質に局在。Mn-SODがミトコンドリアに局在。 5✗ グルタチオンレダクターゼ:GSSG → 2GSH(GSSGをGSHに還元する酵素)。
第107回薬剤師国家試験 問132
農薬に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。
1. フェニトロチオンは、CYPによる酸化的脱硫反応により代謝的活性化を受けてAChEを阻害する 2. メソミルは、AChEの活性中心を可逆的にカルバモイル化する 3. パラコートは、神経の電位依存性Na⁺チャネルに作用する 4. アセタミプリドは、1電子還元されてラジカルを生成しスーパーオキシドアニオンを生じる 5. フェノトリンは、ニコチン性AChRに結合し神経を興奮させる
解答と解説を見る
正解:1, 2
1○ フェニトロチオン(有機リン系):CYPによりP=SがP=Oに酸化(脱硫)→ フェニトロオキソン → AChE不可逆阻害。 2○ メソミル(カーバメート系):AChE活性中心のセリンをカルバモイル化 → 可逆的阻害(有機リンは不可逆)。 3✗ パラコート:電子を受け取り → ラジカル生成 → スーパーオキシド産生 → 肺毒性(Na⁺チャネルではない)。 4✗ アセタミプリド:ネオニコチノイド系 → ニコチン性AChR作動(電子還元ではない)。 5✗ フェノトリン:ピレスロイド系 → 電位依存性Na⁺チャネルを開放持続(AChRではない)。
第107回薬剤師国家試験 問135
ベンゾジアゼピン系薬物過剰摂取患者に投与された解毒薬として適切なのはどれか。1つ選べ。
1. ネオスチグミン 2. ナロキソン 3. フルマゼニル 4. ヨウ化プラリドキシム(PAM) 5. ジメルカプロール
解答と解説を見る
正解:3
3○ フルマゼニル:ベンゾジアゼピン受容体拮抗薬。 1✗ ネオスチグミン:AChE阻害薬。有機リン・クラーレ中毒の治療。 2✗ ナロキソン:オピオイド受容体拮抗薬。麻薬(オピオイド)過剰摂取の解毒薬。 4✗ PAM(プラリドキシム):有機リン系農薬中毒の解毒薬(AChEの再活性化)。 5✗ ジメルカプロール(BAL):重金属(ヒ素・水銀・鉛等)中毒の解毒薬。
第107回薬剤師国家試験 問136
動物試験のNOAELに不確実係数100を適用してTDIを定める。マウス(NOAEL=100 ng/kg/日)、ラット(NOAEL=1000 ng/kg/日)、ウサギ(NOAEL=300 ng/kg/日)のとき、TDI(ng/kg/日)として適切な値はどれか。
1. 1 2. 3 3. 5 4. 6 5. 10
解答と解説を見る
正解:1
NOAEL = 3試験で得られた値のうち最も低い値を採用 = マウスの100 ng/kg/日 TDI = NOAEL ÷ 不確実係数 = 100 ÷ 100 = 1 ng/kg/日
不確実係数100 = 動物→ヒト外挿(×10)× 個人差(×10)
第107回薬剤師国家試験 問137
In vitro遺伝毒性試験に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。
1. 不定期DNA合成(UDS)試験は、哺乳類細胞を用いて突然変異を評価する方法である 2. マウスリンフォーマTK試験は、哺乳類細胞を用いて生殖細胞遺伝毒性を評価する方法である 3. Ames試験は、細菌を用いて化学物質による復帰突然変異を評価する方法である 4. コメットアッセイは、哺乳類細胞を用いて化学物質によるDNA鎖切断を評価する方法である 5. 小核試験は、細菌を用いて化学物質の染色体異常誘発性を評価する方法である
解答と解説を見る
正解:3, 4
3○ Ames試験(復帰突然変異試験):ヒスチジン要求性Salmonella菌株を使用。変異原性を評価。 4○ コメットアッセイ(単細胞ゲル電気泳動試験):哺乳類細胞のDNA鎖切断・修復を評価。 1✗ UDS試験:哺乳類細胞のDNA損傷修復(非半保存的DNA合成)を評価(突然変異ではない)。 2✗ マウスリンフォーマTK試験:哺乳類培養細胞の体細胞突然変異を評価(生殖細胞ではない)。 5✗ 小核試験:**哺乳類細胞(骨髄細胞等)**を用いた染色体異常試験(細菌ではない)。
