語呂合わせ:「徐々に急げ!あとつけろ!」

| 語呂 | 意味 |
|---|---|
| 徐々に | 徐脈性不整脈 |
| 急げ | イソプレナリン(β刺激→心拍数↑) |
| あとつけろ | アトロピン(抗コリン→迷走神経遮断→心拍数↑) |
各薬物の解説
イソプレナリン(急げ)
- β1・β2受容体刺激薬(非選択的βアゴニスト)
- 心臓のβ1受容体を刺激 → 心拍数増加・房室伝導促進
- 作用:洞結節の自動能↑、房室結節の伝導速度↑
- 投与経路:静脈内投与(点滴)
- 注意:頻脈・心室性不整脈のリスクあり
アトロピン(あとつけろ)
- 抗コリン薬(ムスカリン受容体拮抗薬)
- 迷走神経(副交感神経)を遮断 → 心拍数増加・房室伝導改善
- 作用:洞結節の自動能↑(迷走神経抑制解除)、房室結節の伝導速度↑
- 投与経路:静脈内投与
- 注意:口渇・排尿障害・眼圧上昇(緑内障禁忌)
国試で狙われるポイント
① 作用機序の違い
| イソプレナリン | アトロピン | |
|---|---|---|
| 分類 | β受容体刺激薬 | 抗コリン薬(ムスカリン受容体遮断薬) |
| 心拍数↑の仕組み | β1刺激 → 直接的に洞結節↑ | 迷走神経遮断 → 間接的に洞結節↑ |
| 房室伝導 | 促進 | 促進 |
② 徐脈性不整脈の代表:完全房室ブロック(第3度)
- P波とQRS波が完全に解離(PP間隔一定・RR間隔一定・PR間隔バラバラ)
- 心拍数は著しく低下(30〜40回/分)
- 緊急時の初期治療 → アトロピン静注 + イソプレナリン点滴
- 根本治療 → 恒久ペースメーカー植込み
③ ひっかけ:徐脈を悪化させる薬は「使わない」
- アミオダロン(クラスⅢ抗不整脈薬)→ 頻脈性不整脈に使う
- ランジオロール(β1遮断薬)→ 頻脈の抑制に使う
- これらは徐脈を悪化させるため禁忌
ひっかけ注意!
× 「アトロピンはβ受容体を刺激して心拍数を上げる」 → アトロピンはムスカリン受容体遮断(抗コリン)。β受容体とは無関係。
× 「イソプレナリンは迷走神経を遮断して心拍数を上げる」 → イソプレナリンはβ1受容体を直接刺激して心拍数を上げる。
× 「徐脈性不整脈にアミオダロンを使う」 → アミオダロンは頻脈性不整脈(心房細動・心室性不整脈)の治療薬。徐脈には禁忌。
まとめ
| 薬物 | 分類 | 作用機序 | 主な適応 |
|---|---|---|---|
| イソプレナリン | β刺激薬 | β1受容体刺激 → 心拍数↑ | 徐脈性不整脈・房室ブロック |
| アトロピン | 抗コリン薬 | ムスカリン受容体遮断 → 迷走神経↓ → 心拍数↑ | 徐脈性不整脈・迷走神経反射 |
「徐々に急げ!あとつけろ!」で徐脈性不整脈の治療薬を完璧に覚えよう!
確認問題
第107回(令和04年度)一般理論問題 問159
60歳男性。基礎疾患を指摘されたことはない。1週間前から1日に数回めまいを感じるようになった。今朝、強いめまいとふらつきを覚え、救急外来を受診した。来院時の血圧は118/84 mmHg、脈拍数32回/分であった。心電図ではP波とQRS波が全く無関係に出現し、PP間隔とRR間隔がそれぞれ一定で、PR間隔は不規則であった。また、P波よりQRS波の出現頻度が少なかった。
この患者の初期治療に適切な薬物はどれか。2つ選べ。
- アミオダロン
- ニトログリセリン
- ランジオロール
- アトロピン
- イソプレナリン
答えを見る
正解:4・5
心電図所見(P波とQRS波が無関係、PP間隔・RR間隔それぞれ一定、PR間隔不規則、P波よりQRS波の出現頻度が少ない)→ 完全房室ブロック(第3度房室ブロック)。
脈拍数32回/分の高度徐脈に対する初期治療:
- 4. アトロピン → 抗コリン作用で迷走神経を遮断し心拍数を増加させる
- 5. イソプレナリン → β1受容体刺激により心拍数・房室伝導を改善する
1のアミオダロン・3のランジオロールは徐脈を悪化させるため禁忌。2のニトログリセリンは血管拡張薬(狭心症治療薬)で不整脈治療には使わない。
