高尿酸血症の分類
プリン体(アデニン・グアニン)
↓
ヒポキサンチン
↓ キサンチンオキシダーゼ(XO)
キサンチン
↓ キサンチンオキシダーゼ(XO)
尿酸(水に溶けにくい)
↓ 血清尿酸値 > 7.0 mg/dL
高尿酸血症
↓
尿酸が関節・腎臓に結晶として析出 → 痛風発作・腎障害
| 型 | 原因 | 割合 | 治療薬 |
|---|---|---|---|
| 産生過剰型 | プリン体の過剰合成・崩壊 | 約10% | キサンチンオキシダーゼ阻害薬 |
| 排泄低下型 | 腎での尿酸排泄↓ | 約60% | 尿酸排泄促進薬 |
| 混合型 | 両方 | 約30% | どちらでも可 |
尿酸産生抑制薬:キサンチンオキシダーゼ(XO)阻害薬
【アロプリノール(基質型・プリン型阻害)】
アロプリノール投与
↓
XOにより代謝 → 活性代謝物「オキシプリノール」生成
↓
オキシプリノールがXOに結合・阻害
↓
キサンチン→尿酸への変換↓ → 尿酸産生↓
【フェブキソスタット・トピロキソスタット(非プリン型選択的阻害)】
XOを直接・選択的に阻害(代謝物によらない)
↓
尿酸産生↓
腎機能低下で代謝物が蓄積 → 用量調節が必要 HLA-B*5801陽性で重篤な皮疹(SJS)リスク↑ 肝代謝中心 → 腎機能低下でも用量調節不要 アロプリノールより強力(フェブキソスタット)
| 薬名 | 阻害機序 | 腎機能低下 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| アロプリノール | 基質型(代謝物オキシプリノールがXOを阻害) | 用量調節要 | 最も古い・安価。皮疹(重篤例:SJS)に注意。HLA-B*5801陽性で高リスク |
| フェブキソスタット | 非プリン型選択的 | 調節不要(肝代謝) | アロプリノールより強力 |
| トピロキソスタット | 非プリン型選択的 | 比較的安全 | 尿酸排泄量も増加させる |
💧 尿酸排泄促進薬
腎尿細管での尿酸の動き
糸球体でろ過された尿酸
↓
近位尿細管でURAT1(尿酸トランスポーター)により再吸収↑
↓
尿酸が血液に戻る → 血清尿酸値↑
【尿酸排泄促進薬の作用】
URAT1を阻害
↓
尿酸の再吸収↓
↓
尿中尿酸排泄↑ → 血清尿酸値↓
尿中尿酸が増加 → 尿路結石リスク↑
→ 大量水分摂取・尿アルカリ化(クエン酸製剤)が必須
→ 高度腎機能障害・尿路結石は禁忌
| 薬名 | 特徴 |
|---|---|
| プロベネシド | 尿酸の再吸収・分泌の両方を阻害 |
| ベンズブロマロン | 強力な排泄促進 |
| ドチヌラド | URAT1選択的阻害薬(新しい薬) |
クエン酸製剤:尿をアルカリ化(pH↑)→ 尿酸の溶解性↑ → 尿路結石予防。直接の尿酸降下作用はない。
痛風発作の治療
急性発作期
急性発作期に尿酸降下薬を新規に開始してはいけない。尿酸値の急激な変動が発作を悪化させることがある(すでに服用中のものは継続してよい)。
| 薬名 | 機序 | 特徴 |
|---|---|---|
| NSAIDs(ナプロキセン・インドメタシン・ジクロフェナク等) | COX阻害→PG産生抑制 | 急性発作の第一選択 |
| コルヒチン | チュブリン重合阻害 → 好中球遊走抑制 | 発作前兆時の早期服用が特に有効(コルヒチンコルサージュ) |
| ステロイド | 抗炎症 | NSAIDsが使えない場合 |
コルヒチンの作用機序
尿酸結晶が関節に析出
↓
好中球が遊走・活性化 → 結晶を貪食
↓
炎症性サイトカイン放出 → 強烈な炎症・疼痛(痛風発作)
【コルヒチンの作用】
チュブリンのβサブユニットに結合
↓
微小管(チュブリン重合)阻害
↓
好中球の遊走・活性化↓
↓
尿酸結晶の貪食を抑制 → 炎症反応↓
高用量連続投与:ミオパチー・好中球減少のリスク 尿酸降下薬開始時の発作予防(低用量)にも使用
国試頻出まとめ
| # | ポイント |
|---|---|
| 1 | プリン体→ヒポキサンチン→キサンチン→尿酸(XOが2段階で関与)。血清尿酸値 >7.0 mg/dL が高尿酸血症 |
| 2 | 産生過剰型→XO阻害薬。排泄低下型→URAT1阻害薬(尿酸排泄促進薬)。混合型はどちらでも可 |
| 3 | アロプリノール:基質型(プリン型)阻害。代謝物オキシプリノールがXOを阻害。腎機能低下で用量調節要 |
| 4 | フェブキソスタット・トピロキソスタット:非プリン型選択的XO阻害。肝代謝→腎機能低下でも用量調節不要 |
| 5 | URAT1阻害薬(プロベネシド・ドチヌラド):尿酸再吸収↓→排泄↑。尿路結石リスク→水分摂取・クエン酸製剤 |
| 6 | クエン酸製剤:尿のアルカリ化→尿酸溶解性↑→尿路結石予防。尿酸降下作用はない |
| 7 | 急性痛風発作の第一選択はNSAIDs(COX阻害→PG産生抑制)。急性期に尿酸降下薬の新規開始は禁忌 |
| 8 | コルヒチン:チュブリン重合阻害→好中球遊走↓→炎症↓。前兆時の早期服用(コルサージュ)が特に有効 |
| 9 | ラスブリカーゼ:ウリカーゼ(尿酸→アラントインに分解)。腫瘍崩壊症候群の高尿酸血症に使用 |
| 10 | HLA-B*5801陽性患者:アロプリノールによる重篤な皮膚障害(SJS)リスク↑→遺伝子検査を考慮 |
📝 国試過去問チェック
第110回 問37(必須問題)
高尿酸血症治療薬トピロキソスタットが阻害するのはどれか。1つ選べ。
1. シクロオキシゲナーゼ
2. キサンチンオキシダーゼ
3. 尿酸オキシダーゼ
4. 尿酸トランスポーター
5. 有機アニオントランスポーター
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正解:2
2○ トピロキソスタットは**キサンチンオキシダーゼ(XO)**を非プリン型選択的に阻害→キサンチン→尿酸への変換↓→尿酸産生↓。
1✗ シクロオキシゲナーゼ(COX)はNSAIDsの標的(プロスタグランジン合成に関与)。
3✗ 尿酸オキシダーゼ(ウリカーゼ)はラスブリカーゼの標的(尿酸→アラントインに分解)。
4✗ 尿酸トランスポーター(URAT1)はプロベネシド・ドチヌラドの標的(尿酸排泄促進薬)。
5✗ 有機アニオントランスポーターはプロベネシドの分泌阻害にも関係するが、トピロキソスタットの主標的ではない。
第110回 問62(必須問題)
痛風発作治療薬として最も適切なのはどれか。1つ選べ。
1. アロプリノール
2. ダパグリフロジン
3. ナプロキセン
4. ラスブリカーゼ
5. クエン酸カリウム・クエン酸ナトリウム
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正解:3
3○ ナプロキセン(NSAIDs)は急性痛風発作の第一選択薬(COX阻害→PG合成↓→炎症鎮静)。
1✗ アロプリノール(XO阻害薬)は急性発作時の新規開始は禁忌(尿酸変動で悪化)。
2✗ ダパグリフロジンはSGLT2阻害薬(糖尿病治療薬)。
4✗ ラスブリカーゼはウリカーゼ(尿酸をアラントインに分解)→腫瘍崩壊症候群の高尿酸血症に使用。
5✗ クエン酸製剤は尿アルカリ化による尿路結石予防(発作治療薬ではない)。
第110回 問87(一般問題)
高尿酸血症治療薬に関する記述のうち、正しいのはどれか。1つ選べ。
1. アロプリノールはキサンチンオキシダーゼを非プリン型選択的に阻害する
2. トピロキソスタットはキサンチンオキシダーゼを基質型に阻害する
3. フェブキソスタットは主に腎臓で代謝されるため、腎機能低下患者では用量調節が必要である
4. プロベネシドは腎尿細管でのURAT1を阻害し、尿酸排泄を促進する
5. 急性痛風発作時に、速やかに尿酸降下薬(アロプリノール)を新規に開始すると炎症が早期に治まる
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正解:4
4○ プロベネシドはURAT1(腎尿細管の尿酸再吸収トランスポーター)を阻害 → 尿酸排泄↑。
1✗ アロプリノールは基質型(プリン型)阻害薬(代謝物オキシプリノールがXOを阻害)。非プリン型はフェブキソスタット・トピロキソスタット。
2✗ トピロキソスタットは非プリン型選択的阻害薬(基質型はアロプリノール)。
3✗ フェブキソスタットは肝代謝中心のため腎機能低下患者でも用量調節不要(用量調節が必要なのはアロプリノール)。
5✗ 急性発作期の尿酸降下薬新規開始は避ける(尿酸値の急激な変動が発作を悪化させる)。
第109回 問164(一般問題)
高尿酸血症の治療に用いられる薬物に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。
1. プロベネシドは、尿細管における尿酸の再吸収及び分泌を阻害する
2. トピロキソスタットは、キサンチンオキシダーゼにより代謝され、その産物がキサンチンオキシダーゼを阻害する
3. ラスブリカーゼは、アラントインの生合成を阻害して、尿酸の分解を促進する
4. ドチヌラドは、尿酸トランスポーター(URAT1)を阻害して、尿酸の再吸収を抑制する
5. クエン酸カリウム・クエン酸ナトリウム配合剤は、尿のpHを低下させて、尿路結石の形成を抑制する
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正解:1・4
1○ プロベネシドは尿細管のURAT1を阻害し、尿酸の再吸収および分泌を阻害する(尿中排泄↑)。
4○ ドチヌラドはURAT1選択的阻害薬 → 尿酸再吸収↓ → 血清尿酸値↓。
2✗ XOにより代謝されてその産物がXOを阻害するのはアロプリノール(基質型阻害)の機序。トピロキソスタットは非プリン型選択的阻害。
3✗ ラスブリカーゼはウリカーゼ(尿酸酸化酵素)で、尿酸をアラントインに直接分解する(「アラントインの生合成を阻害」は誤り)。
5✗ クエン酸配合剤は尿pHを**上昇(アルカリ化)**させる(低下ではない)→ 尿酸溶解性↑ → 尿路結石予防。
