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💉 薬理

国試頻出!造血系薬の作用機序まとめ|ダプロデュスタット・エルトロンボパグ・G-CSF製剤を完全整理

📅 2026年5月14日
📖 この記事でわかること
  • 貧血の種類(鉄欠乏性・巨赤芽球性・腎性・再生不良性)と治療薬の使い分けがわかる
  • HIF-PH阻害薬(ダプロデュスタット)の機序が整理できる
  • エルトロンボパグ(TPO受容体作動薬)の機序が覚えられる
  • 再生不良性貧血の検査値の特徴が整理できる
  • 第109回国試の過去問で理解度を確認できる
目次
  1. 1.貧血の種類と対応する薬
  2. 2.ビタミン欠乏性貧血の治療薬
  3. 3.腎性貧血の治療薬
  4. 4.白血球系に作用する薬
  5. 5.血小板系に作用する薬
  6. 6.再生不良性貧血の病態と検査値
  7. 7.第109回 国試過去問チェック

貧血の種類と対応する薬

貧血の種類 原因 主な治療薬
鉄欠乏性貧血 鉄不足 フマル酸第一鉄(鉄剤)
巨赤芽球性貧血 VB12・葉酸不足 メコバラミン・葉酸
腎性貧血 EPO産生↓ EPO製剤・HIF-PH阻害薬
再生不良性貧血 造血幹細胞障害 免疫抑制療法・TPO受容体作動薬
化学療法による好中球減少 好中球産生↓ G-CSF製剤(フィルグラスチム)

ビタミン欠乏性貧血の治療薬

メコバラミン(メチコバール®)

  • 活性型ビタミンB12(コバラミン)
  • DNA合成に必要なメチル化反応の補酵素として働く → 赤血球の成熟促進
  • 悪性貧血(内因子欠如による吸収障害)では注射用シアノコバラミンを使用

メコバラミンは「ヘム合成酵素の補酵素」ではない(第109回の誤選択肢)。ヘム合成にはビタミンB6が関与。

葉酸

  • 体内でテトラヒドロ葉酸(FH4)に変換 → 1炭素転移反応の補酵素 → チミジル酸(dTMP)合成 → DNA合成促進 → 赤血球成熟
  • 欠乏 → 巨赤芽球性貧血(DNA合成障害→核の成熟遅延・大球性赤血球)
  • メトトレキサートはジヒドロ葉酸還元酵素を阻害 → 葉酸拮抗 → 巨赤芽球性貧血(副作用)

腎性貧血の治療薬

EPO製剤

薬名 特徴
エポエチンアルファ(エスポー®) 遺伝子組換えEPO製剤。透析患者の腎性貧血
ダルベポエチンアルファ(ネスプ®) 長時間作用型EPO誘導体
  • 赤芽球系前駆細胞のEPO受容体を刺激 → 赤血球産生↑
  • 副作用:血圧上昇・血栓形成(血液粘度↑)

ダプロデュスタット(ダーブロック®):HIF-PH阻害薬

作用機序:

HIF-PH(低酸素誘導因子プロリン水酸化酵素)阻害
↓
HIF(低酸素誘導因子)の分解↓ → HIF蓄積・核内移行
↓
EPO遺伝子の転写↑ → 内因性EPO産生↑
↓
赤血球産生↑
  • 経口投与可能(EPO製剤は注射のみ)
  • 透析・非透析の腎性貧血に適応
  • 同種薬:ロキサデュスタット(エベレンゾ®)、バダデュスタット(バフセオ®)

白血球系に作用する薬

フィルグラスチム(グラン®):G-CSF製剤

  • G-CSF(顆粒球コロニー刺激因子)の遺伝子組換え製剤
  • G-CSF受容体に結合 → 好中球の産生・分化を直接促進
  • 抗悪性腫瘍薬による好中球減少症の予防・治療、骨髄移植後

注意:フィルグラスチムは「単球系前駆細胞から単球への分化を促進し、単球からG-CSFを放出させる」薬ではない(第109回の誤選択肢)。フィルグラスチム自体がG-CSF製剤であり、好中球産生を直接促進する。

血小板系に作用する薬

エルトロンボパグ(レボレード®):TPO受容体作動薬

作用機序:

TPO受容体(c-MPL)の細胞内ドメインに作用(非ペプチド性)
↓
巨核球系前駆細胞の増殖・分化促進
↓
血小板産生↑
  • 非ペプチド性TPO受容体作動薬(経口投与可能)
  • 適応:慢性特発性血小板減少性紫斑病(ITP)・再生不良性貧血・C型肝炎関連血小板減少
  • 同種:ルストロンボパグ(ムルプレタ®)、アバトロンボパグ

引っかけ注意:エルトロンボパグは「赤芽球系前駆細胞のエリスロポエチン受容体を刺激して赤血球の産生を促進する」のではない(第109回の誤選択肢)。巨核球系のTPO受容体を刺激して血小板産生を促進する。

再生不良性貧血の病態と検査値

病態:

  • 造血幹細胞の障害(自己免疫性T細胞が造血幹細胞を攻撃) → 赤血球・白血球・血小板すべて減少(汎血球減少症

検査値の特徴(重要):

検査項目 再生不良性貧血 鉄欠乏性貧血
血清鉄 ↑(増加) ↓(減少)
不飽和鉄結合能(UIBC) ↑(増大)
血小板 ↓(減少) 正常
エリスロポエチン ↑(亢進) 正常〜軽度↑
赤血球の大きさ 正球性(MCV正常) 小球性(MCV↓)

血清鉄が増加する理由:赤血球産生が低下しているためFe(鉄)がヘム合成に使われず、血中に鉄が蓄積する。血清鉄↑でも実際には「使えていない鉄」が増えている状態。

第109回 国試過去問チェック

第109回薬剤師国家試験 問161(一般問題・薬理)

造血系に作用する薬物に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。

  1. エルトロンボパグは、赤芽球系前駆細胞のエリスロポエチン受容体を刺激することで、赤血球の産生を促進する
  2. メコバラミンは、赤芽球内のヘム合成酵素の補酵素として作用することで、ヘムの合成を促進する
  3. ダプロデュスタットは、低酸素誘導因子(HIF)プロリン水酸化酵素を阻害することで、HIFの分解を抑制してエリスロポエチンの産生を促進する
  4. フィルグラスチムは、単球系前駆細胞から単球への分化を促進することで、単球からの顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)の放出を増加させる
  5. 葉酸は、体内でテトラヒドロ葉酸に代謝されて、DNA合成の補酵素として作用し、赤血球の成熟を促進する

正解:3と5

解説:

  • 選択肢1:✗ エルトロンボパグはTPO受容体(巨核球系)を刺激→血小板産生↑(赤血球ではない)
  • 選択肢2:✗ メコバラミンはDNAメチル化反応の補酵素(ヘム合成酵素の補酵素はピリドキサールリン酸=VB6)
  • 選択肢3: HIF-PH阻害→HIF蓄積→EPO産生↑(正解)
  • 選択肢4:✗ フィルグラスチムはG-CSF製剤そのもの。単球に作用してG-CSFを放出させる薬ではない
  • 選択肢5: 葉酸→テトラヒドロ葉酸→DNA合成補酵素→赤血球成熟(正解)

関連知識(問187): 再生不良性貧血では汎血球減少症・血清鉄増加・エリスロポエチン亢進・不飽和鉄結合能増大がみられる。小球性低色素性貧血は「鉄欠乏性貧血」の特徴(再生不良性ではない)。

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