ホルモン関連薬の全体像
ホルモン関連薬は目的によって3種類に大別されます。
| 分類 | 目的 | 例 |
|---|---|---|
| ホルモン補充(作動薬) | 不足しているホルモンを補う | インスリン・テリパラチド・リュープロレリン |
| ホルモン合成阻害薬 | 過剰なホルモン産生を抑える | プロピルチオウラシル・フィナステリド |
| 受容体拮抗薬 | ホルモンの過剰作用をブロック | スピロノラクトン・フルタミド |
副腎皮質ホルモン関連薬
副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)製剤
| 薬物 | 作用機序 | 特徴 |
|---|---|---|
| テトラコサクチド | 副腎皮質束状層のACTH受容体(MC2R)を刺激 → コルチゾール産生↑ | クッシング症候群の診断(負荷試験)・炎症性疾患 |
副腎皮質ステロイド合成阻害薬
| 薬物 | 阻害する酵素 | 適応 |
|---|---|---|
| メチラポン | **11β-ヒドロキシラーゼ(CYP11B1)**阻害→コルチゾール合成↓ | クッシング症候群 |
| オシロドロスタット | **11β-ヒドロキシラーゼ(CYP11B1)**阻害 | クッシング症候群 |
| ミトタン | 副腎皮質の細胞毒性→コルチゾール↓ | 副腎皮質がん |
メチラポンのポイント:3β-ヒドロキシステロイド脱水素酵素(3β-HSD)ではなく11β-ヒドロキシラーゼを阻害する!
性ホルモン関連薬
男性ホルモン関連薬
| 薬物 | 作用機序 | 適応 |
|---|---|---|
| フィナステリド | 5α還元酵素(Ⅱ型)阻害 → テストステロン→ジヒドロテストステロン(DHT)変換↓ | 男性型脱毛症・前立腺肥大症 |
| デュタステリド | 5α還元酵素(Ⅰ型+Ⅱ型)阻害 | 前立腺肥大症 |
| フルタミド | アンドロゲン受容体拮抗(抗アンドロゲン) | 前立腺がん |
女性ホルモン関連薬
| 薬物 | 作用機序 | 適応 |
|---|---|---|
| クロミフェン | エストロゲン受容体の競合的拮抗(視床下部) → GnRH↑→FSH/LH↑→排卵誘発 | 無排卵性不妊 |
| レトロゾール | アロマターゼ阻害→エストロゲン合成↓ | 乳がん・不妊治療 |
| タモキシフェン | 乳腺でエストロゲン受容体を拮抗 | 乳がん(ホルモン受容体陽性) |
下垂体ホルモン関連薬
プロラクチン分泌抑制薬
| 薬物 | 作用機序 | 特徴 |
|---|---|---|
| カベルゴリン | 下垂体前葉のドパミンD₂受容体を刺激 → プロラクチン分泌↓ | 高プロラクチン血症・プロラクチノーマ |
| ブロモクリプチン | D₂受容体刺激。パーキンソン病にも使用 | 高プロラクチン血症 |
国試ポイント:カベルゴリンはD₂受容体を**「遮断」ではなく「刺激」することでプロラクチンを抑制**する(ドパミンはプロラクチン分泌の抑制性調節因子のため)
成長ホルモン関連薬
| 薬物 | 作用機序 | 適応 |
|---|---|---|
| ソマトロピン | 成長ホルモン受容体刺激 | GH分泌不全性低身長 |
| オクトレオチド | ソマトスタチン受容体刺激(持続型) → GH・インスリン・グルカゴン分泌↓ | 先端巨大症・ホルモン産生腫瘍 |
| ペグビソマント | GH受容体拮抗(アンタゴニスト) | 先端巨大症 |
GnRH(性腺刺激ホルモン放出ホルモン)関連薬
| 薬物 | 投与方法 | 作用 | 適応 |
|---|---|---|---|
| リュープロレリン | 皮下注(持続的) | GnRH受容体のダウンレギュレーション→FSH/LH↓→テストステロン↓ | 前立腺がん・子宮内膜症 |
| ゴセレリン | 皮下埋込み | 同上 | 前立腺がん・乳がん |
注意:GnRHアゴニストを持続的に投与するとGnRH受容体がダウンレギュレーションして逆にゴナドトロピン分泌が抑制される(フレアアップ現象に注意)
第111回 国試過去問チェック
問166(第111回 一般問題)
ホルモン関連薬の作用機序に関する記述として、正しいのはどれか。2つ選べ。
- テトラコサクチドは、副腎皮質束状層のACTH受容体を刺激して、糖質コルチコイドの生成・分泌を促す。
- オシロドロスタットは、ソマトスタチン受容体を刺激して、成長ホルモンや消化管ホルモンの分泌を持続的に抑制する。
- カベルゴリンは、下垂体前葉のドパミンD₂受容体を遮断して、プロラクチン分泌を抑制する。
- フィナステリドは、5α-還元酵素を阻害して、テストステロンからジヒドロテストステロンへの変換を抑制する。
- メチラポンは、3β-ヒドロキシステロイド脱水素酵素を阻害して、アルドステロン生成を抑制する。
正答:1・4
解説:
- 1:○ テトラコサクチド=ACTH製剤。ACTH受容体刺激→コルチゾール産生↑
- 2:× オシロドロスタットは11β-ヒドロキシラーゼ(CYP11B1)阻害薬(ソマトスタチン受容体刺激はオクトレオチド)
- 3:× カベルゴリンはD₂受容体を刺激する(遮断ではない)。ドパミンがプロラクチン分泌を抑制するため
- 4:○ フィナステリド=5α還元酵素阻害→DHT産生↓
- 5:× メチラポンは11β-ヒドロキシラーゼを阻害(3β-HSDではない)
