🏥 リンパ器官の分類
| 分類 | 臓器 | 役割 |
|---|---|---|
| 一次(中枢)リンパ器官 | 胸腺・骨髄 | リンパ球が成熟・分化する場所 |
| 二次(末梢)リンパ器官 | 脾臓・リンパ節・扁桃・パイエル板 | 抗原提示・免疫反応が起こる場所 |
| リンパ球 | 成熟場所 |
|---|---|
| T細胞 | 骨髄で産生 → **胸腺(Thymus)**で成熟・選択 |
| B細胞 | **骨髄(Bone marrow)**で産生・成熟 |
| NK細胞 | 骨髄で産生・成熟 |
✅ 一次リンパ器官 = 胸腺・骨髄(脾臓・リンパ節・扁桃・パイエル板はすべて二次)
✅ 老化赤血球を除去するのは脾臓(肝臓ではない)
✅ 小腸パイエル板のM細胞が管腔内の抗原を取り込む→腸管免疫
🛡️ 自然免疫と獲得免疫
| 液性免疫 | 細胞性免疫 | |
|---|---|---|
| 主役 | B細胞→形質細胞→抗体 | 細胞傷害性T細胞(CTL) |
| 対象 | 細胞外細菌・毒素 | 細胞内病原体・ウイルス感染細胞・がん細胞 |
| 関与Th | Th2(IL-4・IL-5・IL-13) | Th1(IFN-γ・IL-2) |
PAMPs と TLR(自然免疫のセンサー):
| PAMP | 病原体 | 認識受容体 |
|---|---|---|
| LPS(リポ多糖) | グラム陰性菌 | TLR4(CD14と複合体) |
| ペプチドグリカン | グラム陽性菌 | TLR2 |
| 二本鎖RNA(dsRNA) | ウイルス | TLR3 |
⚠️ グラム陰性菌特有の構造 = LPS(エンドトキシン)→ TLR4 が認識
💉 抗体(免疫グロブリン)
| クラス | 特徴 |
|---|---|
| IgG | 最も多い。胎盤通過(FcRn経由)。二次免疫応答の主役 |
| IgA | 分泌型(sIgA)。唾液・涙・母乳・腸液。粘膜免疫の主役 |
| IgM | 一次免疫応答で最初に産生。5量体。補体活性化(古典経路) |
| IgE | アレルギー・寄生虫感染。肥満細胞・好塩基球のFcεRIに結合 |
✅ 胎盤を通過するのはIgGのみ(FcRnを介した能動輸送)
✅ 母乳で移行するのはIgA(sIgA)
IgGの構造とSDS-PAGE
| 構成要素 | 分子量 | 本数 |
|---|---|---|
| 重鎖(H鎖) | 約50 kDa | 2本 |
| 軽鎖(L鎖) | 約25 kDa | 2本 |
| IgG全体 | 約150 kDa | 1分子 |
| SDS-PAGE条件 | 結果 |
|---|---|
| 2-ME(2-メルカプトエタノール)あり | 2本バンド(H鎖50 kDa + L鎖25 kDa) |
| 2-MEなし | 1本バンド(150 kDa) |
| 領域 | 機能 |
|---|---|
| VH/VL(可変領域) | 抗原結合部位(クローン特異的) |
| CH2 | N結合型糖鎖修飾・補体C1q結合 |
| CH2/CH3(Fc領域) | FcγR(マクロファージ・NK細胞)に結合→オプソニン化・ADCC |
| CH3 | FcRn結合(胎盤移行・半減期延長) |
⚠️ 2-MEはジスルフィド(S-S)結合を還元切断する試薬
⚠️ H鎖50 kDa・L鎖25 kDa(100 kDa・50 kDaは誤り)
🔗 補体系
| 経路 | 活性化物質 | 特徴 |
|---|---|---|
| 古典経路 | 抗原抗体複合体(IgG・IgM) | 獲得免疫と連動 |
| レクチン経路 | 病原体表面のマンノース | 自然免疫のみで活性化 |
| 副経路(第二経路) | 細菌・真菌表面 | 常時低レベルで活性化 |
補体の主な作用:
| 産物 | 作用 |
|---|---|
| C3b | オプソニン化→貪食促進 |
| C3a・C5a | アナフィラトキシン→肥満細胞脱顆粒・血管透過性↑ |
| C5b-9(MAC) | 膜侵襲複合体→標的細胞の溶解 |
⚠️ アナフィラトキシン = C3a・C5a(ヒスタミンはアナフィラトキシンではない)
⚠️ C3b・C5bはMAC形成成分(アナフィラトキシンではない)
🧪 サイトカイン
| サイトカイン | 産生細胞 | 主な作用 |
|---|---|---|
| IL-1 | マクロファージ | 発熱・炎症促進(内因性発熱物質) |
| IL-2 | Th1細胞 | T細胞増殖・活性化 |
| IL-4 | Th2細胞 | B細胞活性化・IgEクラススイッチ |
| IL-6 | マクロファージ | 急性期タンパク(CRP)産生誘導・B細胞分化 |
| TNF-α | マクロファージ | 炎症促進・発熱・接着分子誘導→好中球動員 |
| IFN-γ | Th1・NK細胞 | マクロファージ活性化・MHC-II発現誘導 |
⚠️ ケモカインはタンパク質(アラキドン酸カスケードのCOX産物ではない)
⚠️ ブラジキニンはCRP産生を「増加」させる(減少は誤り)
🔬 MHCと抗原提示
| MHCクラスI | MHCクラスII | |
|---|---|---|
| 発現細胞 | すべての有核細胞 | 抗原提示細胞(APC)のみ |
| 提示する抗原 | 細胞内由来(ウイルス・腫瘍) | 細胞外由来(細菌・外来タンパク) |
| 認識するT細胞 | CD8⁺ 細胞傷害性T細胞(CTL) | CD4⁺ ヘルパーT細胞 |
✅ MHCクラスI・II両方で抗原提示できる = 樹状細胞(クロスプレゼンテーション)
⚠️ リンパ節ではT細胞が樹状細胞から抗原提示を「受ける」(提示する側ではない)
抗体クラススイッチ
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 変化する領域 | 重鎖(H鎖)定常領域 |
| 変化しない領域 | 可変領域(V-D-J:抗原特異性は維持) |
| 機構 | 定常領域遺伝子の組換え(CSR) |
| 例外 | IgMとIgDの同時発現のみ選択的スプライシング |
⚠️ 「すべてのクラススイッチ = 選択的スプライシング」は誤り!
IgM/IgD以外はCSR(遺伝子組換え)による。
📋 国試頻出まとめ
| # | ポイント | 内容 |
|---|---|---|
| 1 | 一次リンパ器官 | 胸腺・骨髄(脾臓・リンパ節は二次) |
| 2 | 胎盤通過する抗体 | IgGのみ(FcRn経由)。母乳はIgA |
| 3 | IgMの特徴 | 一次免疫応答で最初に産生・5量体 |
| 4 | SDS-PAGE(2-MEあり) | H鎖50 kDa + L鎖25 kDa の2本バンド |
| 5 | アナフィラトキシン | C3a・C5a(C3b・C5bはMAC成分) |
| 6 | LPS の認識受容体 | TLR4(グラム陰性菌のPAMP) |
| 7 | TNF-αの作用 | 接着分子誘導→好中球動員 |
| 8 | MHCクラスI | すべての有核細胞に発現。CD8⁺T細胞が認識 |
| 9 | 老化赤血球の除去 | 脾臓(肝臓ではない) |
📝 国試過去問チェック
第107回薬剤師国家試験 問117(一般)
ヒトの免疫系の組織と細胞に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。
1. 骨髄では、造血幹細胞が分裂している。
2. 胸腺では、B細胞が正の選択と負の選択を受け、形質細胞へと分化する。
3. リンパ節では、高内皮細静脈から移行したT細胞が、樹状細胞に対して抗原提示をする。
4. 肝臓では、老化した赤血球が除去される。
5. 小腸のパイエル板では、上皮層のM細胞を介して取り込まれた抗原に対する免疫応答が行われる。
解答と解説を見る
正解:1、5
1○ 骨髄には造血幹細胞が存在し、継続的に分裂して血液細胞(赤血球・白血球・血小板)を産生する。正しい。
5○ パイエル板は小腸の粘膜固有層にある二次リンパ器官。上皮層のM細胞が管腔内の抗原(細菌・ウイルス・食物抗原)を取り込み、下層の免疫細胞に届けて腸管免疫応答を開始する。正しい。
2✗ 胸腺ではT細胞が正の選択(MHC認識能の確認)と負の選択(自己反応性の排除)を受ける。B細胞の成熟・選択が行われるのは骨髄。形質細胞への分化は二次リンパ器官(脾臓・リンパ節)で起こる。
3✗ リンパ節では、T細胞が樹状細胞から抗原提示を「受ける」側。T細胞が樹状細胞に対して抗原提示をするのではない(提示するのは樹状細胞)。
4✗ 老化した赤血球を除去するのは脾臓の赤脾髄。肝臓でもヘモグロビン由来のビリルビン代謝は行われるが、赤血球の除去(破壊)は脾臓が主体。
第109回薬剤師国家試験 問118(一般)
炎症に関する記述として、正しいのはどれか。2つ選べ。
1. 炎症局所における発赤は、赤血球が血管外に浸潤することで起こる。
2. C3bとC5bは、アナフィラトキシンとしてマスト細胞を活性化する。
3. P-セレクチンは血管内皮細胞に発現し、白血球の炎症部位への動員に関わる。
4. Toll様受容体(TLR)は、主に炎症後期における線維芽細胞の活性化に関わる。
5. 炎症時には、肝臓でCRPの産生が亢進する。
解答と解説を見る
正解:3、5
3○ P-セレクチンは炎症刺激(ヒスタミン・トロンビン)により血管内皮細胞表面に速やかに発現し、白血球(好中球・単球)のローリングを介して炎症部位への動員に関わる。正しい。
5○ 炎症・感染時にマクロファージからIL-6・IL-1が産生され、肝臓に作用してCRP(C反応性タンパク)の合成が亢進する。CRPは急性期タンパクの代表で炎症の重要な検査マーカー。正しい。
1✗ 発赤は炎症性血管拡張による**血流増加(充血)**で起こる。赤血球が血管外に浸潤しているのではない(浸潤するのは白血球)。
2✗ アナフィラトキシンはC3aとC5a。C3bはオプソニン(貪食促進)、C5bはMAC(膜侵襲複合体)の形成に関わる成分で、アナフィラトキシンではない。
4✗ TLR(Toll様受容体)はマクロファージ・樹状細胞に発現し、病原体のPAMPs(LPS・ペプチドグリカン等)を認識して炎症初期の自然免疫応答を開始する。炎症後期の線維芽細胞活性化ではない。
