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注射・輸液の実務

📅 2026年5月20日🔄 更新: 2026年5月20日
📖 この記事でわかること
  • ハイアラート薬の代表例(高濃度カリウム製剤)と病棟常備不可の理由を説明できる
  • 脂肪乳剤(イントラリポス)のフィルター使用禁止・混合禁止の理由を覚えられる
  • 放射性医薬品の調製場所(ホットラボ)とクリーンベンチの違いがわかる
  • 循環血液量が減少した患者に5%ブドウ糖液が不適切な理由を説明できる
目次
  1. 1.ハイアラート薬の管理
  2. 2.脂肪乳剤(イントラリポス)の投与方法
  3. 3.放射性医薬品の調製・保管
  4. 4.輸液の選択(細胞外液補充)
  5. 5.国試頻出まとめ
  6. 6.国試過去問チェック

ハイアラート薬の管理

ハイアラート薬(High-Alert Medications):取り扱いを誤った場合に患者に重大な害を与える可能性が特に高い薬剤。

カリウムの急速静注
↓
血中カリウム濃度の急上昇(高カリウム血症)
↓
心筋の過分極抑制
↓
【心室細動・心停止】
薬剤 リスク 病棟常備
高濃度カリウム製剤(L-アスパラギン酸K注・KCl注) 心停止 常備不可
高濃度ナトリウム製剤 高ナトリウム血症・脳障害 ❌ 常備不可
筋弛緩薬(ロクロニウム等) 呼吸停止 ❌ 常備不可
アドレナリン注射液 0.1% ✅ 常備可(アナフィラキシー対応)
アトロピン硫酸塩注射液 ✅ 常備可(徐脈対応)
リドカイン塩酸塩静注用 2% ✅ 常備可(不整脈対応)

⚠️ 高濃度カリウム製剤はハイアラート薬の代表。一般病棟・外来処置室への常備は禁止

脂肪乳剤(イントラリポス)の投与方法

静注用脂肪乳剤の正しい取り扱いを覚えましょう。

項目 正しい扱い 理由
フィルター 使用しない 乳粒子(0.2〜0.5μm)がフィルターを通過できない
他輸液との混合 禁止 エマルジョンが破壊される
投与速度 250mLを5時間以上かけてゆっくり投与 急速投与→脂肪塞栓・過負荷のリスク
遮光 推奨 光で脂質が過酸化する

⚠️ 脂肪乳剤にフィルターを使わないのは重要ポイント。乳粒子が詰まり通過できないため

放射性医薬品の調製・保管

放射性医薬品は**ホットラボ(放射線防護+無菌環境を兼ね備えた専用施設)**で調製します。

設備 目的 放射性医薬品への使用
ホットラボ 無菌調製+放射線防護 適切
クリーンベンチ 無菌環境のみ(放射線防護なし) 不適切
安全キャビネット(BSC) 無菌調製+作業者保護 ❌ 放射線防護がない
取り扱いの注意 内容
バイアル内圧 陰圧に保つ(放射性物質の飛散防止)
防護具 手袋・鉛エプロン等を着用
作業場所 放射線管理区域内で作業(法律上の義務)
保管 放射線遮へい貯蔵箱で保管(外部被曝防止)

💡 放射性医薬品の調製は「ホットラボ」。クリーンベンチは無菌調製用で放射線防護がない

輸液の選択(細胞外液補充)

循環血液量が減少した患者への輸液選択の考え方を理解しましょう。

投与した輸液の体内分布
├── 細胞外液補充液(生食・リンゲル液等)
│   → 細胞外(血管内+組織間液)に分布
│   → 循環血液量の補充に有効 ✅
│
└── 5%ブドウ糖液
    → グルコースが細胞内で代謝されて「水」になる
    → 体液全体(細胞内外)に均等分布
    → 循環血液量の補充には不向き ❌
輸液 循環血液量補充 特徴
生理食塩水(0.9% NaCl) ✅ 有効 等張電解質輸液
乳酸リンゲル液(ハルトマン液) ✅ 有効 等張電解質輸液
酢酸リンゲル液 ✅ 有効 等張電解質輸液
5%ブドウ糖液 ❌ 不適 グルコース代謝→自由水→体液全体に分布

💡 循環血液量の補充=等張電解質輸液(リンゲル液・生食)。5%ブドウ糖液は不適切

国試頻出まとめ

# テーマ ポイント
1 ハイアラート薬 高濃度カリウム製剤は一般病棟常備禁止。急速静注→心室細動・心停止
2 脂肪乳剤 フィルター使用禁止(乳粒子が通過できない)。他輸液との混合禁止
3 放射性医薬品 クリーンベンチ不可→ホットラボ(放射線防護+無菌設備)で調製
4 5%ブドウ糖液 グルコース代謝→自由水→体液全体に分布→循環血液量の補充に不向き

国試過去問チェック

第108回 問82(必須)

静脈内投与用の脂肪乳剤(イントラリポス輸液20%)の取り扱いとして正しいのはどれか。1つ選べ。

  1. 他の輸液製剤と混合して投与する 2. 0.2μmフィルターを使用する 3. 急速静注で投与する 4. 遮光せずに投与する 5. 5時間以上かけてゆっくり投与する
✅ 正解・解説を見る

正解:5

1✗ 混合→エマルジョンが破壊されるため混合禁止
2✗ フィルター使用→乳粒子が詰まり通過できないため使用禁止
3✗ 急速投与→脂肪塞栓・過負荷リスク
4✗ 遮光なし→光で脂質が過酸化するため遮光推奨
5○ 250mLを5時間以上かけてゆっくり投与→正しい


第108回 問85(必須)

放射性医薬品の調製・保管に関する記述のうち、誤っているのはどれか。1つ選べ。

  1. クリーンベンチ内で調製する 2. バイアル内を陰圧に保つ 3. 手袋等の防護具を着用する 4. 放射線管理区域内で作業する 5. 放射線遮へい貯蔵箱で保管する
✅ 正解・解説を見る

正解:1

1○(誤り)クリーンベンチは無菌調製用で放射線防護設備がない。放射性医薬品の調製はホットラボ(放射線防護+無菌環境を兼ね備えた設備)で行う
2✗〜5✗ 陰圧保持・防護具着用・放射線管理区域・遮へい保管→すべて正しい


第107回 問84(必須)

循環血液量が減少した患者に投与しても血管内容量の回復がほとんど期待できない輸液製剤はどれか。1つ選べ。

  1. 生理食塩液 2. 5%ブドウ糖液 3. 乳酸リンゲル液 4. 酢酸リンゲル液 5. 5%ブドウ糖加乳酸リンゲル液
✅ 正解・解説を見る

正解:2

2○ 5%ブドウ糖液→投与後グルコースが細胞内で代謝されて自由水になり体液全体に均等分布→血管内への補充効果がほとんどない
1✗・3✗・4✗・5✗ 生食・リンゲル液類→等張電解質輸液→細胞外液(血管内+組織間液)に分布→循環血液量の補充に有効

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