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【薬剤師国試対策】分子間力・双極子モーメント・沸点を徹底整理

📅 2026年5月19日🔄 更新: 2026年5月19日
📖 この記事でわかること
  • 水素結合・双極子間力・分散力の強さの順序を説明できる
  • 永久双極子モーメントの有無で極性分子・無極性分子を区別できる
  • CO₂・CCl₄・H₂Oの双極子モーメントが0か否かを判定できる
  • 分子量・分子形状が沸点に与える影響を説明できる
  • 直鎖と枝分かれ構造の沸点の違いを説明できる
目次
  1. 1.分子間力の種類と強さ
  2. 2.双極子モーメントと極性
  3. 3.沸点に影響する因子
  4. 分子量と分散力
  5. 直鎖 vs 枝分かれ(同じ分子式)
  6. 水素結合の有無
  7. 4.水の異常な性質
  8. 5.ファンデルワールス方程式(実在気体)
  9. 6.国試頻出まとめ
  10. 7.国試過去問チェック

⚡ 分子間力の種類と強さ

強さの順序:水素結合 > 双極子間力 > 分散力

分子間力 作用する分子 本質
水素結合 N・O・F に結合したHをもつ分子 電気陰性原子とHの強い静電的相互作用 H₂O、HF、NH₃、アルコール
双極子間力 極性分子間 永久双極子同士の引力 HCl、アセトン
分散力(ロンドン力) すべての分子(特に無極性分子) 瞬間双極子による誘起力 He、N₂、CH₄、ベンゼン

分散力はすべての物質に存在する! 無極性分子の沸点が分子量と相関するのは分散力のため

⚠️ 分散力は「反発力」ではなく「引力」。全ての分子間に働く弱い引力(極性の有無を問わない)


🔬 双極子モーメントと極性

双極子モーメント μ = q × d(電荷の大きさ × 距離)

⚠️ 結合の極性 ≠ 分子の極性!
CO₂はC=O結合に極性があっても、直線形で対称なため分子全体の双極子モーメントは0(無極性分子)

分子 双極子モーメント 理由
CO₂ 直線形 μ = 0 2つのC=Oが逆向きで打ち消し合う
CCl₄ 正四面体 μ = 0 4つのC-Clが対称に打ち消し合う
BF₃ 平面三角形 μ = 0 対称形のため打ち消し合う
H₂O V字形 μ ≠ 0 V字形のため打ち消されない
NH₃ 三角錐形 μ ≠ 0 三角錐形のため打ち消されない
CHCl₃ 非対称 μ ≠ 0 CCl₄からHに変えると非対称

形が対称 → μ = 0、形が非対称 → μ ≠ 0 で判断する


📊 沸点に影響する因子

分子量と分散力

分子量↑ → 分散力↑ → 沸点↑

⚠️ HFの沸点異常
HF > HCl < HBr < HI の順で、HFだけが突出して高い → 強い水素結合のため

直鎖 vs 枝分かれ(同じ分子式)

直鎖 > 枝分かれ(沸点):直鎖は表面積が大きく分散力が大きいため

化合物(C₅H₁₂) 沸点
n-ペンタン(直鎖) 36.1℃
イソペンタン(1枝) 27.8℃
ネオペンタン(球状) 9.5℃

水素結合の有無

比較 沸点
H₂O(水素結合あり) 100℃
H₂S(水素結合なし・M≒34) −60.2℃

✅ 水素結合が形成できる分子は、同程度の分子量の無極性分子より沸点が高い


💧 水の異常な性質

水は水素結合のため多くの性質が異常:

異常な性質 内容
沸点が異常に高い 第16族の中でH₂Oだけが突出(H₂S・H₂Se・H₂Teより高い)
固体(氷)が液体より密度が低い 氷が水に浮く → 水素結合による六方晶格子で隙間が多い
比熱容量が大きい 体温調節・海洋の熱バッファに有利
表面張力が大きい 水素結合による強いまとまり

🌡️ ファンデルワールス方程式(実在気体)

理想気体の状態方程式 PV = nRT を実在気体に補正した式:

(P + an²/V²)(V − nb)= nRT

補正項 意味
an²/V²(圧力補正) 分子間引力により実際の圧力は理想より低い → 補正して加算
nb(体積補正) 分子の実体積(排除体積)分だけ自由に動ける体積が減る → 補正して減算
a 分子間引力の強さを表す定数(引力が強いほど大)
b 分子1 molあたりの排除体積

✅ 理想気体では分子間相互作用 = ゼロ、分子自体の体積 = ゼロ と仮定する

⚠️ (V − nb)は「気体分子間の相互作用」ではなく「分子の実体積」を考慮した補正


📋 国試頻出まとめ

# ポイント 内容
1 分子間力の強さ 水素結合 > 双極子間力 > 分散力
2 CO₂の双極子モーメント 0(直線形・対称)
3 CCl₄の双極子モーメント 0(正四面体・対称)
4 H₂Oの双極子モーメント ≠ 0(V字形・非対称)
5 直鎖 > 枝分かれ 沸点は直鎖の方が高い(表面積大→分散力大)
6 HFの沸点異常 HClより高い(強い水素結合)
7 分散力は引力 反発力ではない・全分子間に働く
8 ファンデルワールスb 排除体積(分子の実体積を考慮)
9 ファンデルワールスa 分子間引力の強さ(衝突頻度ではない)

📝 国試過去問チェック

第109回薬剤師国家試験 問1(必須)

永久双極子モーメントをもつ分子はどれか。1つ選べ。

1. ベンゼン

2. メタン

3. 二酸化炭素

4. 水

5. 四塩化炭素

解答と解説を見る

正解:4

4○ H₂OはV字形(非対称)のため双極子モーメントは0でない。正しい。

1✗ ベンゼンは平面正六角形で対称構造のため双極子モーメントは0。

2✗ メタン(CH₄)は正四面体形で対称構造のため双極子モーメントは0。

3✗ CO₂は直線形で2つのC=Oが打ち消し合い双極子モーメントは0。

5✗ CCl₄は正四面体形で対称構造のため双極子モーメントは0。


第109回薬剤師国家試験 問6(必須)

同圧下で沸点が最も高いのはどれか。1つ選べ。

1. CH₃CH₂CH₂CH₃(ブタン)

2. CH₃CH₂CH₂CH₂CH₃(n-ペンタン)

3. (CH₃)₂CHCH₃(2-メチルプロパン)

4. (CH₃)₂CHCH₂CH₃(2-メチルブタン)

5. (CH₃)₄C(2,2-ジメチルプロパン)

解答と解説を見る

正解:2

2○ n-ペンタン(C₅・直鎖)は最も炭素数が多く直鎖のため接触面積が大きく分散力が最大。沸点約36℃。正しい。

1✗ ブタン(C₄)は炭素数が少なく分散力が小さい。

3✗ 2-メチルプロパン(C₄)は炭素数が少ない。

4✗ 2-メチルブタン(C₅・枝分かれ)はn-ペンタンより接触面積が小さく分散力が小さい。

5✗ 2,2-ジメチルプロパン(C₅・球状)は最も枝分かれが多く接触面積が最小で沸点が最も低い(約10℃)。


第109回薬剤師国家試験 問91(一般)

分子間相互作用に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。

1. クーロン力は電荷間距離の2乗に反比例する。

2. 分散力は分子間にはたらく反発力である。

3. 水中における界面活性剤のミセル形成はイオン結合による。

4. 疎水性相互作用は水溶液中のタンパク質の高次構造の形成及び安定化に寄与している。

5. 核酸塩基対は配位結合により形成される。

解答と解説を見る

正解:1, 4

1○ クーロン力は距離の2乗に反比例する(F ∝ 1/r²)。正しい。

4○ タンパク質の疎水性残基が水を避けて内側に集まり高次構造を安定化する。正しい。

2✗ 分散力(ロンドン力)は引力。すべての分子間に働く弱い引力であり反発力ではない。

3✗ ミセル形成は疎水性相互作用によるもの。イオン結合ではない。

5✗ 核酸の塩基対は水素結合で形成される。配位結合ではない。


第111回薬剤師国家試験 問91(一般)

ファンデルワールスの状態方程式(下式)は、理想気体の状態方程式を実在気体について補正した式の1つである。理想気体とファンデルワールスの状態方程式に関する記述として正しいのはどれか。2つ選べ。

(P + an²/V²)(V − nb)= nRT

P:圧力、V:体積、n:物質量(mol)、R:気体定数、T:絶対温度

1. 理想気体では、気体分子間の相互作用の大きさを正の一定の値と仮定している。

2. aは気体分子の衝突頻度を表す。

3. bは気体分子1 molがもつ排除体積を表す。

4. (P + an²/V²)は、気体分子間の相互作用を考慮して補正した圧力である。

5. (V − nb)は、気体分子間の相互作用を考慮して補正した体積である。

解答と解説を見る

正解:3, 4

3○ bは分子1 molあたりの排除体積(他の分子が入れない体積)を表す。正しい。

4○ (P + an²/V²)は、分子が容器壁に衝突する際に内側に引き戻される引力を補正した圧力項。正しい。

1✗ 理想気体では気体分子間の相互作用はゼロと仮定する。「正の一定の値」ではない。

2✗ aは分子間引力の強さを表す定数(分子間力が強いほど大きい)。衝突頻度ではない。

5✗ (V − nb)は、分子の実体積を除いた自由に動ける体積(自由体積)を表す。「分子間相互作用」ではなく「分子の実体積」を考慮した補正。


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