⚗️ ミカエリス・メンテンの式
v = Vmax × [S] / (Km + [S])
| 記号 | 意味 |
|---|---|
| v | 反応速度 |
| Vmax | 最大反応速度(酵素が飽和したとき) |
| [S] | 基質濃度 |
| Km | ミカエリス定数(v = Vmax/2 となる[S]) |
✅ Kmが小さい → 低濃度でも半最大速度に達する → 酵素と基質の親和性が高い
[S] と v の対応(頻出計算)
| [S] | v |
|---|---|
| << Km | v ≒ (Vmax/Km)[S](1次反応的) |
| = Km | v = Vmax/2 |
| = 2Km | v = 2Vmax/3(← 落とし穴!) |
| = 9Km | v = 9Vmax/10 |
| >> Km | v ≒ Vmax(0次反応的) |
⚠️ [S] = 2Km のとき v = Vmax/2 ではない!
v = Vmax × 2Km / (Km + 2Km) = Vmax × 2Km / 3Km = 2Vmax/3
📊 ラインウィーバー・バークプロット
ミカエリス・メンテン式の両辺の逆数をとると:
1/v = Km/Vmax × 1/[S] + 1/Vmax
| グラフ要素 | 対応する量 |
|---|---|
| 縦軸切片 | 1/Vmax |
| 横軸切片 | −1/Km |
| 傾き | Km/Vmax |
✅ 縦軸切片から Vmax、横軸切片から Km が求まる
🚫 酵素阻害の種類
| 阻害の種類 | Km | Vmax | 阻害剤の結合部位 |
|---|---|---|---|
| 競合阻害 | 増大 | 変化なし | 活性部位(基質と競合) |
| 非競合阻害 | 変化なし | 低下 | 活性部位以外(アロステリック) |
| 不競合阻害 | 低下 | 低下 | 酵素-基質複合体のみ |
⚠️ 不競合阻害はKmもVmaxも両方低下!
ラインウィーバー・バークプロットで元の直線と平行にシフトするのが特徴
ラインウィーバー・バークプロットの変化
| 阻害の種類 | 縦軸切片(1/Vmax) | 横軸切片(−1/Km) | 傾き(Km/Vmax) |
|---|---|---|---|
| 競合阻害 | 変化なし | 0に近づく(Km↑) | 大きくなる |
| 非競合阻害 | 上がる(Vmax↓) | 変化なし | 大きくなる |
| 不競合阻害 | 上がる(Vmax↓) | 右に移動(Km↓) | 変化なし(平行移動) |
✅ 競合阻害は高濃度の基質で克服できる(Vmaxは変わらないため)
💊 医薬品への応用
| 薬物 | 酵素 | 阻害型 |
|---|---|---|
| スタチン | HMG-CoA還元酵素 | 競合阻害 |
| ACE阻害薬 | アンジオテンシン変換酵素 | 競合阻害 |
| アスピリン | COX | 不可逆的阻害(共有結合) |
📋 国試頻出まとめ
| # | ポイント | 内容 |
|---|---|---|
| 1 | Kmの意味 | v = Vmax/2 となる[S]。小さいほど親和性が高い |
| 2 | [S] = 2Km のとき | v = 2Vmax/3(Vmax/2 ではない!) |
| 3 | 競合阻害 | Km↑・Vmax変化なし・基質で克服可能 |
| 4 | 非競合阻害 | Km変化なし・Vmax↓ |
| 5 | 不競合阻害 | Km↓・Vmax↓・プロットが平行移動 |
| 6 | 縦軸切片 | 1/Vmax |
| 7 | 横軸切片 | −1/Km |
| 8 | 傾き | Km/Vmax |
| 9 | 非競合阻害の傾き | Km/Vmax → Vmax↓で大きくなる |
📝 国試過去問チェック
第108回薬剤師国家試験 問41(必須)
担体介在輸送がミカエリス・メンテン式に従うとき、薬物の輸送速度(v)を表す式はどれか。1つ選べ。ただし、薬物濃度をC、最大輸送速度をVmax、ミカエリス定数をKmとする。
1. Vmax + C/Km
2. Vmax + C/(Km + C)
3. Vmax + 1/(Km・C)
4. Vmax・C / Km
5. Vmax・C / (Km + C)
解答と解説を見る
正解:5
5○ v = Vmax・C / (Km + C) がミカエリス・メンテン式の正しい形。正しい。
1✗ Vmaxに足し算する形は式の構造として誤り。[S]→∞ のとき v → ∞ になってしまう。
2✗ Vmaxに足し算する形は誤り。同上。
3✗ Vmaxに足し算する形は誤り。同上。
4✗ KmではなくKm+Cで割る必要がある。この式では基質濃度が高くなっても飽和が起こらない(0次反応にならない)。
第109回薬剤師国家試験 問115(一般)
ペニシリン耐性の黄色ブドウ球菌が発現するβ-ラクタマーゼを精製し、反応速度論的解析を行った。β-ラクタマーゼの反応はミカエリス・メンテン式に従う。1 ngのβ-ラクタマーゼを用いた実験から得られたラインウィーバー・バーク回帰直線の式は 1/v = 75.0 × 1/[S] + 15.0 であった。以下の記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。
1. β-ラクタマーゼは、酸化還元酵素である。
2. 反応液中のβ-ラクタマーゼを2 ngにしても、単位時間あたりの反応生成物量は変わらない。
3. この酵素のVmaxの値は0.067 nmol/mL・minである。
4. 競合阻害薬を加えた場合、見かけ上のKmは5.0 nmol/Lより大きくなる。
5. 非競合阻害薬を加えた場合、図2の回帰直線の傾きは小さくなる。
解答と解説を見る
正解:3, 4
3○ 縦軸切片 = 1/Vmax = 15.0 より Vmax = 1/15.0 ≈ 0.067 nmol/mL・min(有効数字2桁)。正しい。
4○ 競合阻害ではKmが増大(Vmaxは変化なし)。Km = 傾き/縦軸切片 = 75.0/15.0 = 5.0 nmol/L より大きくなる。正しい。
1✗ β-ラクタマーゼはβ-ラクタム環を加水分解する加水分解酵素。酸化還元酵素ではない。
2✗ 酵素量を2倍にすれば反応速度も2倍になる(基質が十分あれば)。
5✗ 非競合阻害ではVmaxが低下しKmは変化しない。傾き = Km/Vmax → Vmax↓ → 傾きは大きくなる(小さくなるのは誤り)。
第110回薬剤師国家試験 問94(一般)
酵素反応 E + S ⇌ ES → P について、ミカエリス・メンテンの式に関する記述として、正しいのはどれか。2つ選べ。
ただし、E は酵素、S は基質、ES は酵素-基質複合体、P は生成物、Km はミカエリス定数、Vmax は最大反応速度を表す。
1. v は、Pの生成速度 d[P]/dt で表される。
2. v は、[ES]が一定(d[ES]/dt = 0)となる定常状態を仮定した場合の速度である。
3. [S]がKmの2倍であるとき、v はVmaxの1/4となる。
4. Kmは反応温度に依存しない。
5. Kmが小さいほどEとSの親和性は低い。
解答と解説を見る
正解:1, 2
1○ v = d[P]/dt(生成物の生成速度)で表される。正しい。
2○ d[ES]/dt = 0 の定常状態仮定からミカエリス・メンテン式が導出される。正しい。
3✗ [S] = 2Km のとき v = Vmax × 2Km/(Km + 2Km) = 2Vmax/3。1/4ではない。
4✗ Kmは温度に依存する(温度変化で各素反応の速度定数が変わるため)。
5✗ Kmが小さいほど親和性は高い(低い基質濃度でVmax/2に達するため)。
