🧠 片頭痛の病態(三叉神経血管説)
何らかの誘因(ストレス・ホルモン変動・睡眠不足・食事等)
↓
三叉神経の活性化
↓
三叉神経終末から CGRP(カルシトニン遺伝子関連ペプチド)・サブスタンスP が放出
↓
脳血管(硬膜血管)の拡張
↓ + 神経原性炎症(血管周囲の炎症)
↓
拍動性・片側性の頭痛(4〜72時間持続)
【治療の2大戦略】
① 脳血管を収縮させる(トリプタン系・Ca²⁺拮抗薬)
② CGRP・炎症を抑える(CGRP関連薬・トリプタン)
急性期治療薬(発作時に使用)
トリプタン系(5-HT₁B/₁D受容体作動薬)
トリプタン系薬投与
↓
【5-HT₁B受容体刺激】 【5-HT₁D受容体刺激】
脳血管(硬膜血管)収縮 三叉神経末端からのCGRP・サブスタンスP放出↓
↓ ↓
拡張した脳血管を元に戻す 神経原性炎症↓
↓
拍動性頭痛の改善
| 薬物 | 特徴 |
|---|---|
| スマトリプタン | 皮下注・経口・点鼻薬あり |
| エレトリプタン | 脳移行性↑ |
| ゾルミトリプタン | 5-HT₁B/₁D両方を刺激。鼻スプレーあり |
| リザトリプタン | 速効性 |
| ナラトリプタン | 作用時間が長い |
禁忌:虚血性心疾患・脳血管障害(血管収縮作用のため)
ラスミジタン(5-HT₁F受容体作動薬)
ラスミジタン投与
↓
5-HT₁F受容体を選択的に刺激
↓
三叉神経終末からのCGRP放出↓ → 神経原性炎症↓
↓
血管収縮作用なし → 心血管疾患患者にも使用可能
トリプタン系との違い:血管収縮作用なし → 虚血性心疾患・脳血管障害患者にも使用可能
アセトアミノフェン・NSAIDs
軽〜中等度発作の第一選択。プロスタグランジン産生を抑制して痛覚閾値を上げる。
🛡️ 予防薬(毎日服用して発作を減らす)
CGRP関連薬(抗体製剤)
CGRP関連薬の作用の違い
【ガルカネズマブ・フレマネズマブ】
CGRP分子そのものに直接結合
↓
CGRPが受容体に結合できなくなる
↓
脳血管拡張・神経原性炎症を抑制
【エレヌマブ】
CGRP受容体に結合(受容体をブロック)
↓
CGRPが受容体に結合できなくなる
↓
脳血管拡張・神経原性炎症を抑制
| 薬物 | 標的 | 投与 |
|---|---|---|
| ガルカネズマブ | CGRP分子に結合 | 月1回皮下注 |
| フレマネズマブ | CGRP分子に結合 | 月1回または3ヶ月に1回 |
| エレヌマブ | CGRP受容体に結合 | 月1回皮下注 |
「マブ(mab)=モノクローナル抗体製剤」。ガルカネズマブはCGRP分子を、エレヌマブはCGRP受容体をブロック。
カルシウム拮抗薬
| 薬物 | 特徴 |
|---|---|
| ロメリジン | 脳血管選択的Ca²⁺拮抗。片頭痛予防の第一選択薬の一つ |
| フルナリジン | 脳循環改善 |
その他の予防薬
| 分類 | 薬物 | 特徴 |
|---|---|---|
| β遮断薬 | プロプラノロール・メトプロロール | 機序は不明確 |
| 抗てんかん薬 | バルプロ酸・トピラマート | バルプロ酸は妊婦禁忌 |
| 抗うつ薬 | アミトリプチリン(三環系) | セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害 |
🔍 片頭痛の前兆と鑑別
閃輝暗点(せんきあんてん): 片頭痛に特徴的な視覚性前兆。ギザギザした光が視野内に見え、その後に視野欠損を伴う(通常20〜30分持続)。
| 頭痛の種類 | 閃輝暗点 | 性質 | 持続時間 |
|---|---|---|---|
| 片頭痛 | あり(前兆型) | 拍動性・片側 | 4〜72時間 |
| 緊張型頭痛 | なし | 圧迫感・両側 | 30分〜7日 |
| 群発頭痛 | なし | 拍動性・片側 | 15〜180分 |
閃輝暗点は片頭痛にのみ特徴的な前兆。緊張型・群発頭痛では見られない。
国試頻出まとめ
| # | ポイント |
|---|---|
| 1 | 三叉神経血管説:三叉神経活性化→CGRP放出→脳血管拡張・神経原性炎症→拍動性頭痛 |
| 2 | トリプタン系:5-HT₁B刺激→脳血管収縮、5-HT₁D刺激→CGRP放出↓。禁忌:虚血性心疾患・脳血管障害 |
| 3 | ラスミジタン:5-HT₁F受容体選択的刺激→血管収縮なし→心血管疾患患者にも使用可能 |
| 4 | エレヌマブ:CGRP受容体に結合する抗体製剤(予防薬) |
| 5 | ガルカネズマブ・フレマネズマブ:CGRP分子に結合する抗体製剤(予防薬) |
| 6 | ロメリジン:脳血管選択的Ca²⁺拮抗薬→片頭痛予防薬 |
| 7 | バルプロ酸(予防薬):妊婦禁忌(催奇形性) |
| 8 | 閃輝暗点:片頭痛に特徴的な視覚性前兆。緊張型・群発頭痛では伴わない |
| 9 | 片頭痛の頭痛は拍動性・片側性・4〜72時間持続。悪心・光過敏・音過敏を伴う |
| 10 | 「マブ(mab)」はモノクローナル抗体製剤を示す語尾(ガルカネズマブ・エレヌマブ等) |
📝 国試過去問チェック
第111回 問156(一般)
片頭痛治療薬の作用機序に関する記述として、正しいのはどれか。2つ選べ。
1. エレトリプタンは、セロトニン5-HT₁B受容体を刺激して、脳血管を収縮させる。
2. ゾルミトリプタンは、セロトニン5-HT₁F受容体を選択的に刺激して、ニューロペプチドの放出を抑制する。
3. エレヌマブは、電位依存性Ca²⁺チャネルに結合して、ニューロペプチドの放出を抑制する。
4. ガルカネズマブは、カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)に結合して、神経原性炎症を抑制する。
5. ロメリジンは、プロスタグランジンE₂の産生を抑制して、痛覚閾値を上昇させる。
解答と解説を見る
正解:1・4
1○ エレトリプタンは5-HT₁B受容体刺激→脳血管収縮。トリプタン系の基本作用。
4○ ガルカネズマブはCGRP分子に結合する抗体製剤→CGRPが受容体に結合できなくなる→神経原性炎症↓。
2✗ ゾルミトリプタンは5-HT₁B/₁D受容体を刺激する(₁F選択的なのはラスミジタン)。
3✗ エレヌマブは電位依存性Ca²⁺チャネルではなくCGRP受容体に結合する抗体製剤。
5✗ ロメリジンは脳血管選択的Ca²⁺拮抗薬(プロスタグランジン産生抑制はNSAIDs・アセトアミノフェン)。
第107回 問61(必須)
閃輝暗点を伴うことがある頭痛はどれか。1つ選べ。
1. 片頭痛
2. 反復性緊張型頭痛
3. 慢性緊張型頭痛
4. 反復性群発頭痛
5. 慢性群発頭痛
解答と解説を見る
正解:1
閃輝暗点(ギザギザした光が視野内に現れ視野欠損を伴う視覚症状)は**片頭痛の前兆(aura)**として特徴的。頭痛発症の20〜30分前に出現し自然消失する。
緊張型頭痛・群発頭痛では前兆としての閃輝暗点は伴わない。
