🧠 神経・筋疾患
パーキンソン病
中脳黒質のドパミン神経変性 → ドパミン不足 → 運動制御障害
4大症状(TRAP)
| 頭文字 | 症状 | 詳細 |
|---|---|---|
| Tremor | 安静時振戦 | 丸薬まるめ振戦(pill-rolling)。動作で減弱 |
| Rigidity | 固縮(筋強剛) | 歯車様固縮(cogwheel rigidity) |
| Akinesia | 無動・寡動 | 動作緩慢・小字症・仮面様顔貌 |
| Postural instability | 姿勢保持障害 | 転倒・前傾姿勢 |
✅ パーキンソン病の振戦は安静時振戦(動作時振戦 → 本態性振戦)
治療薬
| 薬剤 | 機序 | 特徴 |
|---|---|---|
| レボドパ(+カルビドパ) | ドパミン前駆体 | 第1選択・最も効果的 |
| プラミペキソール | D₂/D₃受容体作動薬 | 線条体に直接作用 |
| セレギリン | MAO-B阻害薬 | ドパミン分解抑制 |
| エンタカポン | COMT阻害薬 | レボドパの末梢分解を抑制 |
| アマンタジン | NMDA拮抗薬 | ジスキネジア改善 |
認知症
4大認知症の鑑別
| 疾患 | 特徴的症状 | 画像所見 |
|---|---|---|
| アルツハイマー型(AD) | 近時記憶障害から発症・緩徐進行 | 海馬・側頭頭頂葉萎縮 |
| レビー小体型(DLB) | 幻視・パーキンソン症状・REM睡眠行動障害・変動性認知機能 | 後頭葉血流低下 |
| 前頭側頭型(FTD) | 人格変化・脱抑制・常同行動 | 前頭葉・側頭葉萎縮 |
| 脳血管性(VaD) | 巣症状・階段状悪化・感情失禁 | 多発梗塞・白質病変 |
✅ DLBの特徴:後頭葉血流低下(前頭葉萎縮は前頭側頭型) ⚠️ DLBは抗精神病薬(ハロペリドール等)に過感受性反応 → 原則禁忌
AD治療薬
| 薬剤 | 機序 | 適応 |
|---|---|---|
| ドネペジル | コリンエステラーゼ阻害 | 軽度〜重度(DLBにも適用) |
| リバスチグミン | コリンエステラーゼ阻害 | 軽度〜中等度 |
| メマンチン | NMDA受容体拮抗 | 中等度〜重度 |
| レカネマブ | 抗アミロイドβ抗体 | 軽度認知障害・軽度AD |
てんかん
発作分類と治療薬
| 発作型 | 特徴 | 第1選択薬 |
|---|---|---|
| ミオクロニー発作 | 瞬間的な筋のぴくつき。意識消失なし | バルプロ酸・クロナゼパム・レベチラセタム |
| 欠神発作 | 数秒の意識消失。主に小児 | エトスクシミド・バルプロ酸 |
| 強直間代発作 | 意識消失+強直痙攣+間代痙攣 | バルプロ酸・カルバマゼピン・レベチラセタム |
| 焦点(部分)発作 | 意識障害あり・自動症 | カルバマゼピン・ラモトリギン |
⚠️ カルバマゼピンはミオクロニー発作・欠神発作を悪化させる
てんかん重積状態の治療ステップ
| 段階 | 時間 | 薬剤 |
|---|---|---|
| 第1段階 | 0〜10分 | ジアゼパム静注 or ロラゼパム静注(BZD系・第1選択) |
| 第2段階 | 10〜30分 | フェニトイン・ホスフェニトイン・レベチラセタム・バルプロ酸(静注) |
| 第3段階(難治性) | 30〜60分 | 全身麻酔(ミダゾラム・プロポフォール) |
✅ けいれんが5分以上持続 → てんかん重積状態として治療介入
重症筋無力症(MG)
抗AChR抗体が神経筋接合部のアセチルコリン受容体を破壊 → 筋収縮障害
| 症状 | 説明 |
|---|---|
| 眼瞼下垂・複視 | 初発症状として最多(約75%) |
| 構音障害 | 口・舌・咽頭筋の障害 |
| 嚥下障害 | 誤嚥リスク |
| 四肢の筋力低下 | 近位筋から出やすい |
| 呼吸困難(クリーゼ) | 呼吸筋障害 → 生命に危険 |
✅ 易疲労性が特徴:使うほど悪化・休息で回復、夕方に増悪(日内変動) ⚠️ 振戦・前向性健忘・聴覚障害はMGの症状ではない
治療薬
| 薬剤 | 機序 | 特徴 |
|---|---|---|
| ピリドスチグミン | コリンエステラーゼ阻害 → ACh↑ | 対症療法・第1選択 |
| プレドニゾロン | ステロイド | 免疫抑制 |
| タクロリムス | カルシニューリン阻害 | ステロイド減量目的 |
| 免疫グロブリン大量療法・血漿交換 | 自己抗体除去 | クリーゼ時の緊急治療 |
| 胸腺摘出術 | 手術 | 胸腺腫合併例(20〜30%) |
ナルコレプシー
| 薬剤 | 適用症状 | 特徴 |
|---|---|---|
| メチルフェニデート(リタリン) | 過眠・日中の強い眠気 | 向精神薬。依存性に注意 |
| モダフィニル(モディオダール) | 過眠 | 依存性低い |
| ピトリサント(ウェイクアイ) | 過眠・情動脱力発作 | ヒスタミンH3受容体拮抗薬 |
| クロミプラミン(三環系) | 情動脱力発作(カタプレキシー) | REM抑制作用 |
ギラン・バレー症候群(GBS)
先行感染(カンピロバクター等)の1〜3週後に発症する末梢神経の自己免疫性脱髄疾患。
| 特徴 | 内容 |
|---|---|
| 症状 | 下肢から上行する左右対称性の弛緩性運動麻痺 |
| 先行感染 | カンピロバクター(最多)・CMV・EBV |
| 治療 | 免疫グロブリン大量静注(IVIg)または血漿交換 |
| ステロイド | 有効性は認められていない(×) |
👂 その他の神経疾患
頭痛の鑑別
| 頭痛 | 特徴 | 急性期治療 | 予防薬 |
|---|---|---|---|
| 片頭痛 | 一側性・拍動性・悪心・光過敏。前兆(閃輝暗点)あり型も | トリプタン系(スマトリプタン)・NSAIDs | プロプラノロール・バルプロ酸 |
| 群発頭痛 | 眼窩部の激烈な一側性疼痛・副交感神経症状(流涙・鼻汁)。男性に多い | 純酸素吸入・スマトリプタン皮下注 | ベラパミル・リチウム |
| 筋緊張性頭痛 | 頭全体を締め付ける圧迫感・両側性・肩こり | NSAIDs・筋弛緩薬 | アミトリプチリン |
✅ 閃輝暗点(ギザギザに光る視覚的前兆)→ 片頭痛 ✅ 群発頭痛 → 男性に多い・眼窩部激痛・副交感神経症状(流涙・縮瞳)
メニエール病
内リンパ水腫(内耳の内リンパ液過剰蓄積)が原因。
✅ 三主徴:反復性回転性めまい・耳鳴・難聴(+耳閉感)
| 薬剤 | 機序 |
|---|---|
| イソソルビド | 浸透圧利尿薬 → 内リンパ圧低下 |
| ベタヒスチンメシル酸塩 | 内耳の血液循環改善 |
| ペルフェナジン | D2受容体遮断(CTZ)→ 悪心・嘔吐抑制 |
REM睡眠 vs ノンREM睡眠
| 項目 | REM睡眠 | ノンREM睡眠 |
|---|---|---|
| 眼球運動 | 急速眼球運動(+) | なし |
| 筋緊張 | 低下(弛緩) | 維持〜低下 |
| 脳波 | 低振幅速波(覚醒に類似) | 高振幅徐波(深睡眠) |
| 夢 | 鮮明な夢が多い | 少ない |
| 出現時期 | 睡眠後半に多い | 入眠直後に多い |
✅ REM睡眠は加齢とともに減少
📋 国試頻出まとめ
| # | テーマ | 重要ポイント |
|---|---|---|
| 1 | MG初発症状 | 眼瞼下垂(約75%)・複視が最多 |
| 2 | MG治療 | ピリドスチグミン(コリンエステラーゼ阻害薬) |
| 3 | パーキンソン振戦 | 安静時振戦(動作時振戦は本態性振戦) |
| 4 | パーキンソン第1選択 | レボドパ(+カルビドパ) |
| 5 | DLBの特徴 | 幻視・パーキンソン症状・RBD・後頭葉血流低下 |
| 6 | DLB禁忌 | 抗精神病薬(過感受性反応) |
| 7 | てんかん重積 | ジアゼパム or ロラゼパム静注が第1選択 |
| 8 | カルバマゼピン禁忌 | ミオクロニー発作・欠神発作を悪化させる |
| 9 | 群発頭痛 | 眼窩部激痛・男性多い・純酸素吸入が有効 |
| 10 | GBS治療 | IVIg または血漿交換(ステロイドは無効) |
📝 国試過去問チェック
第110回 問60(重症筋無力症の症状・必須)
重症筋無力症で認められる症状はどれか。1つ選べ。
- 突発性発熱
- 前向性健忘
- 聴覚障害
- 振戦
- 構音障害
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正答:5
1❌ 突発性発熱は感染症などの症状。MGとは関係ない。2❌ 前向性健忘はベンゾジアゼピン系薬・海馬障害の症状。3❌ 聴覚障害は内耳・聴神経疾患の症状。4❌ 振戦はパーキンソン病・本態性振戦・甲状腺機能亢進症などの症状。MGの振戦は通常みられない。5✅ 構音障害:口・舌・咽頭の筋肉が抗AChR抗体により障害されると発音・発声が不明瞭になる。MGの代表的症状。
第110回 問186(てんかん重積状態の治療)
12歳男児。てんかんの既往あり。けいれん発作が20分以上持続。意識消失・全身強直間代発作が持続している。治療薬として正しいのはどれか。2つ選べ。
- カルバマゼピン(経口)
- ジアゼパム(静注)
- バルプロ酸(経口)
- ロラゼパム(静注)
- フェノバルビタール(経口)
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正答:2・4
1❌ 経口投与は意識消失・けいれん中の患者には使用不可。3❌ 同上。5❌ 同上。重積状態の緊急処置には静脈内投与が必要。2✅ ジアゼパム静注:BZD系。てんかん重積状態の第1選択。GABA-A受容体を介してCl⁻チャネル開口頻度を増加させ神経過剰興奮を抑制。4✅ ロラゼパム静注:BZD系。ジアゼパムと同様に第1選択。欧米で特に推奨されている。
第109回 問56(重症筋無力症の診断)
神経筋接合部のアセチルコリン受容体に対する自己抗体が産生されることにより、筋力低下をきたす自己免疫疾患はどれか。1つ選べ。
- イートン・ランバート症候群
- 重症筋無力症
- ギラン・バレー症候群
- 進行性筋ジストロフィー
- 筋萎縮性側索硬化症(ALS)
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正答:2
1❌ イートン・ランバート症候群:電位依存性Ca²⁺チャネル抗体(AChR抗体ではない)→ACh放出↓。小細胞肺がんに合併多い(傍腫瘍症候群)。2✅ 重症筋無力症:抗AChR抗体(または抗MuSK抗体)が神経筋接合部のAChRを破壊→神経筋伝達障害→筋力低下・易疲労性。3❌ ギラン・バレー症候群:末梢神経の自己免疫性脱髄疾患(先行感染後)。4❌ 進行性筋ジストロフィー:遺伝性筋疾患(ジストロフィン遺伝子変異)。5❌ ALS:上位・下位運動ニューロン変性疾患。
第109回 問154(レビー小体型認知症)
78歳女性。幻視・REM睡眠行動異常・小刻み歩行・MMSE 23点。脳血流SPECTで後頭葉の血流低下。正しいのはどれか。2つ選べ。
- 前頭葉に著明な萎縮が生じている
- パーキンソン症状が認められる
- 脳梗塞によって二次的に発症した可能性が高い
- 幻視やREM睡眠行動異常が認められる
- 症状は階段状に悪化する
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正答:2・4
1❌ 前頭葉萎縮は前頭側頭型認知症(FTD)の特徴。DLBは後頭葉血流低下が特徴。2✅ 小刻み歩行はパーキンソニズムの所見。DLBではパーキンソン症状(動作緩慢・筋強剛・小刻み歩行)を伴う。3❌ 脳梗塞後の認知症は脳血管性認知症。4✅ 幻視(誰もいない場所に人が見える)とREM睡眠行動障害(睡眠中の大声・手足のばたつき)はDLBの中核症状。5❌ 階段状悪化は脳血管性認知症の特徴。DLBは変動性(fluctuation)の経過。
第108回 問56(群発頭痛の特徴)
眼窩部の激痛を特徴とする頭痛はどれか。1つ選べ。
- 筋緊張性頭痛
- 片頭痛
- 群発頭痛
- くも膜下出血による頭痛
- 脳腫瘍による頭痛
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正答:3
1❌ 筋緊張性頭痛:頭全体を締め付ける圧迫感・鈍痛。最も頻度が高い慢性頭痛。2❌ 片頭痛:一側性の拍動性頭痛・悪心・光過敏。閃輝暗点(前兆)あり型も。3✅ 群発頭痛:眼窩周囲・側頭部の激烈な一側性疼痛が特徴。同じ時間帯に毎日発作が群発する。副交感神経症状(流涙・鼻汁・縮瞳・眼瞼下垂)を伴う。男性に多い。4❌ くも膜下出血:「ハンマーで殴られたような」突発する激頭痛(thunderclap headache)。5❌ 脳腫瘍:朝の頭痛・体位変換で増悪・嘔吐を伴う。
第107回 問185(ギラン・バレー症候群)
ギラン・バレー症候群に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。
- 上気道感染症や消化器感染症の後に発症することが多い
- 主に中枢神経の軸索や髄鞘が障害される
- 原因病原体として最も多いのは真菌である
- 下肢から上行する左右対称性の弛緩性運動麻痺がみられる
- 副腎皮質ステロイド薬の単独療法により寛解が得られる
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正答:1・4
1✅ 先行感染(上気道炎・消化器炎:カンピロバクター・CMV・EBV等)の1〜3週後に発症する。先行感染が引き金となる自己免疫疾患。2❌ GBSは末梢神経(脊髄神経根・末梢神経)の脱髄性炎症。中枢神経ではない。3❌ 原因として最多はカンピロバクター(細菌)。真菌ではない。4✅ 下肢から始まり上行する左右対称性の弛緩性運動麻痺が特徴(急性炎症性脱髄性多発神経炎)。5❌ GBSの治療はIVIg(免疫グロブリン大量静注)または血漿交換。ステロイドは有効性が認められていない。
