📊 食事摂取基準(2020年版)
5つの指標
| 指標 | 英略 | 定義 | 例 |
|---|---|---|---|
| 推定平均必要量 | EAR | 集団の**50%**が必要量を満たす摂取量 | ビタミンC:85mg/日 |
| 推奨量 | RDA | 集団の**97.5%**が必要量を満たす摂取量 | ビタミンC:100mg/日 |
| 目安量 | AI | 十分な摂取量の推定値(EARが設定できない場合) | ビオチン・リン |
| 耐容上限量 | UL | 健康障害が起きない最大量 | ビタミンD:100μg/日 |
| 目標量 | DG | 生活習慣病の予防を目的とした目標値 | ナトリウム・カリウム・食物繊維 |
✅ 目標量(DG)が設定されている栄養素の方向性
- カリウム・食物繊維:摂取量を増やす方向(心疾患・高血圧予防)
- ナトリウム(食塩):摂取量を減らす方向
- ナイアシン・ビオチン・リンには目標量は設定されていない
💊 ビタミンの欠乏症と活性型
水溶性ビタミン
| ビタミン | 補酵素形 | 欠乏症 | 備考 |
|---|---|---|---|
| B₁(チアミン) | TPP | 脚気・ウェルニッケ脳症 | アルコール多飲者に多い |
| B₂(リボフラビン) | FMN・FAD | 口角炎・舌炎 | エネルギー代謝の補酵素 |
| B₃(ナイアシン) | NAD⁺・NADP⁺ | ペラグラ(皮膚炎・下痢・認知症) | トリプトファンからも合成 |
| B₆(ピリドキシン) | PLP | 末梢神経障害・貧血 | アミノ酸代謝に必須 |
| B₁₂(コバラミン) | — | 巨赤芽球性貧血・神経障害 | 内因子が必要 |
| 葉酸 | — | 巨赤芽球性貧血・神経管閉鎖障害 | 妊婦に重要 |
| C(アスコルビン酸) | — | 壊血病(コラーゲン合成障害) | — |
| ビオチン | — | 皮膚炎・脱毛 | 生卵白(アビジン)で欠乏 |
✅ ウェルニッケ脳症の原因はビタミンB₁欠乏 眼球運動障害・運動失調・意識障害(ウェルニッケ三徴)。治療はチアミン補充
✅ NAD⁺・NADP⁺はナイアシン(B₃)の補酵素形(チアミンB₁ではない!)
脂溶性ビタミン(ADEK)
| ビタミン | 欠乏症 | 過剰症 |
|---|---|---|
| A(レチノール) | 夜盲症(ロドプシン構成はレチナール)・角化症 | 頭蓋内圧亢進・催奇形性 |
| D(カルシフェロール) | くる病(小児)・骨軟化症 | 高カルシウム血症 |
| E(トコフェロール) | 溶血性貧血・神経障害 | 出血傾向 |
| K(フィロキノン) | 出血傾向・新生児出血症 | — |
✅ 脂溶性ビタミン(ADEK)は過剰症に注意。水溶性は過剰分が尿排泄される
✅ **コレカルシフェロール(D₃)**は皮膚でUV-Bにより7-デヒドロコレステロールから合成→肝・腎で活性化
🐟 脂肪酸の分類と生理効果
| 系統 | 代表 | 生理効果 |
|---|---|---|
| n-3系 | EPA・DHA(魚油)、α-リノレン酸(植物油) | 中性脂肪低下・冠動脈疾患予防・抗炎症 |
| n-6系 | リノール酸・アラキドン酸 | 必須脂肪酸だが過剰は炎症促進 |
| トランス脂肪酸 | エライジン酸(硬化油) | LDL増加・HDL低下 → 心疾患リスク↑ |
✅ DHA・EPAは冠動脈疾患・心不全の予防に寄与(n-3系多価不飽和脂肪酸) 栄養機能食品としてn-3系脂肪酸の機能表示が可能
⚗️ 三大栄養素のエネルギー
| 栄養素 | エネルギー | 特徴 |
|---|---|---|
| 糖質 | 4 kcal/g | 主なエネルギー源;グリコーゲン・脂肪として貯蔵可能 |
| タンパク質 | 4 kcal/g | エネルギー源にもなる(アミノ酸→TCAサイクル) |
| 脂質 | 9 kcal/g | 最もエネルギー密度が高い(タンパク質の約2.25倍) |
✅ 「脂質はタンパク質の4倍」は誤り。正しくは約2.25倍
🔩 微量元素と酵素の活性中心
| 酵素 | 活性中心金属 | 機能 |
|---|---|---|
| カタラーゼ | 鉄(Fe) | 過酸化水素(H₂O₂)を水と酸素に分解 |
| スーパーオキシドジスムターゼ(SOD) | 銅・亜鉛(Cu-Zn SOD)またはマンガン | 活性酸素(O₂⁻)の消去 |
| グルタチオンペルオキシダーゼ | セレン(Se) | 過酸化物の分解 |
| 炭酸脱水酵素 | 亜鉛(Zn) | CO₂の水和反応 |
✅ カタラーゼ→鉄 / グルタチオンペルオキシダーゼ→セレン(頻出の混同ポイント!)
🌾 アミノ酸スコアと制限アミノ酸
| 食品 | アミノ酸スコア | 第一制限アミノ酸 |
|---|---|---|
| 鶏卵 | ≈100 | なし(完全タンパク質) |
| 米・小麦 | 制限あり | リシン(リジン) |
| とうもろこし | 低い | リシン・トリプトファン |
| 大豆 | 植物性として高スコア | 含硫アミノ酸(メチオニン) |
✅ 穀物の制限アミノ酸はリシン! とうもろこし主食地域でリシン・トリプトファン不足→ペラグラリスク(ナイアシン欠乏)
🏷️ 保健機能食品の分類
| 分類 | 許可・届出 | 審査 | 疾病リスク低減表示 |
|---|---|---|---|
| 特定保健用食品(トクホ) | 消費者庁長官の許可 | 審査あり | 一部認められる(カルシウム→骨粗鬆症、葉酸→神経管閉鎖障害) |
| 機能性表示食品 | 消費者庁への届け出 | 審査なし | 認められない |
| 栄養機能食品 | 届け出不要 | 不要 | — |
✅ トクホと機能性表示食品の最大の違い:審査の有無!
栄養機能食品として機能表示できる成分:
| 区分 | 成分 |
|---|---|
| 脂肪酸 | n-3系脂肪酸(DHA・EPA・α-リノレン酸) |
| ビタミン(13種) | A・D・E・K・B₁・B₂・B₆・B₁₂・C・ナイアシン・パントテン酸・ビオチン・葉酸 |
| ミネラル(6種) | Ca・Mg・Fe・Zn・Cu・K |
✅ ナトリウム(Na)は対象外(過剰摂取リスクから)。リン・マンガン・セレンも対象外
📋 国試頻出まとめ
| # | テーマ | 重要ポイント |
|---|---|---|
| 1 | 目標量を「増やす」設定 | カリウム・食物繊維 |
| 2 | 目標量を「減らす」設定 | ナトリウム(食塩) |
| 3 | ウェルニッケ脳症 | ビタミンB₁欠乏 |
| 4 | DHA・EPA | n-3系・冠動脈疾患予防 |
| 5 | カタラーゼの活性中心 | 鉄(Fe) |
| 6 | グルタチオンPOの活性中心 | セレン(Se) |
| 7 | NAD⁺・NADP⁺ | **ナイアシン(B₃)**の補酵素形(B₁ではない) |
| 8 | 精白米の制限アミノ酸 | リシン |
| 9 | トクホ vs 機能性表示食品 | トクホ=審査あり・機能性=届け出のみ |
| 10 | ナトリウム | 栄養機能食品の機能表示対象外 |
📝 国試過去問チェック
第111回 問18(ウェルニッケ脳症の原因ビタミン)
欠乏によりウェルニッケ脳症が引き起こされるビタミンはどれか。1つ選べ。
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正答:ビタミンB₁(チアミン)
ウェルニッケ脳症はアルコール依存症や慢性栄養不良で生じるビタミンB₁欠乏による脳症。眼球運動障害・運動失調・意識障害(ウェルニッケ三徴)が特徴。治療はチアミン補充。
第111回 問19(目標量を増やす栄養素)
「日本人の食事摂取基準(2020年版)」において、摂取量を増やすことを目指す栄養素として目標量が設定されているのはどれか。1つ選べ。
- ナイアシン
- ビオチン
- カリウム
- ナトリウム
- リン
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正答:3
3✅ カリウムは高血圧・心疾患予防のため「摂取量を増やす方向」で目標量が設定されている
1❌ ナイアシンには推定平均必要量・推奨量・耐容上限量があるが目標量なし
2❌ ビオチンは目安量のみ
4❌ ナトリウムは「減らす方向」の目標量
5❌ リンは目安量・耐容上限量のみ
第111回 問20(冠動脈疾患予防の脂肪酸)
適量の摂取により、冠動脈疾患や心不全の予防に寄与するのはどれか。1つ選べ。
- ステアリン酸
- ドコサヘキサエン酸
- エライジン酸
- パルミチン酸
- アラキドン酸
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正答:2
2✅ **DHA(ドコサヘキサエン酸)**はn-3系多価不飽和脂肪酸で中性脂肪低下・冠動脈疾患予防効果がある
1❌ ステアリン酸は飽和脂肪酸
3❌ エライジン酸はトランス脂肪酸でLDL増加・心疾患リスク増加
4❌ パルミチン酸は飽和脂肪酸
5❌ アラキドン酸はn-6系で過剰摂取は炎症促進
第111回 問22(カタラーゼの活性中心金属)
生体内の活性酸素種を消去する、ヒトのカタラーゼの活性中心を構成する金属元素はどれか。1つ選べ。
- モリブデン
- 亜鉛
- 銅
- セレン
- 鉄
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正答:5
5✅ カタラーゼはヘムタンパク質で、活性中心に**鉄(Fe)**を4つもつ
1❌ モリブデンはキサンチンオキシダーゼなどの補因子
2❌ 亜鉛は炭酸脱水酵素・SODの補因子
3❌ 銅はSOD・セルロプラスミンの補因子
4❌ セレンはグルタチオンペルオキシダーゼの活性中心
第110回 問120(ナイアシンの特徴)
ナイアシンに関する記述として正しいのはどれか。2つ選べ。
- 妊娠中にナイアシンが欠乏すると、胎児に神経管閉鎖障害が起こる
- ナイアシンが欠乏すると、皮膚炎や下痢、中枢神経症状が現れる
- ナイアシンの一種であるニコチン酸には「食事摂取基準(2020年版)」で耐容上限量が設定されていない
- トウモロコシを主食とする地域では、ナイアシンの欠乏症に注意する必要がある
- ナイアシンが過剰になると、頭蓋内圧の亢進が起こる
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正答:2・4
2✅ ナイアシン欠乏症はペラグラ:皮膚炎・下痢・認知症の「3D」が特徴
4✅ トウモロコシはトリプトファンが少なく、含まれるナイアシンも結合型で利用されにくい。メキシコ・アフリカ等でペラグラが多い
1❌ 神経管閉鎖障害は葉酸欠乏による
3❌ ニコチン酸には耐容上限量が設定されている(過剰摂取で皮膚潮紅・肝障害)
5❌ 頭蓋内圧亢進はビタミンA過剰の症状
第110回 問129(保健機能食品の制度)
特別用途食品と保健機能食品に関する記述として正しいのはどれか。2つ選べ。
- 機能性表示食品には、疾病リスク低減表示が認められている
- 特定保健用食品は、消費者庁による審査を行うことなく事業者が販売できる
- n-3系脂肪酸は、栄養機能食品として機能を表示することができる
- 保健機能食品以外の食品には、機能性の表示が認められていない
- 病者用食品を販売するためには、厚生労働省に届け出なければならない
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正答:3・4
3✅ n-3系脂肪酸は栄養機能食品として機能表示できる(基準値の範囲内)
4✅ 機能性の表示(健康機能に関する表示)は保健機能食品のみに認められている
1❌ 疾病リスク低減表示が認められているのはトクホの一部(カルシウム・葉酸等)。機能性表示食品には認められていない
2❌ 特定保健用食品の販売には消費者庁長官による審査・許可が必要
5❌ 病者用食品(特別用途食品)の販売には消費者庁長官の許可が必要(届け出ではない)
第109回 問19(推奨量の定義)
食事摂取基準における摂取量とリスクの概念図において、不足のリスクが0.025(2.5%)となる摂取量として示されるのはどれか。1つ選べ。
- 耐用上限量
- 推奨量
- 目安量
- 推定平均必要量
- 目標量
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正答:2
2✅ **推奨量(RDA)**は対象集団のほぼ全員(97.5%)が充足できる量=不足リスクが2.5%
4❌ 推定平均必要量(EAR)は不足リスク**50%**の摂取量
1❌ 耐用上限量は過剰摂取リスクの上限
第109回 問127(ビタミンの特徴)
ビタミンに関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。
- レチノイン酸は、光を感知するロドプシンの構成成分で視覚機能を正常に保つのに必要である
- α-トコフェロールは、ヒトでは腸内細菌によって主に供給される
- コレカルシフェロールは、紫外線照射により動物の皮膚で7-デヒドロコレステロールから合成される
- リボフラビンは生体内で活性化され、糖質や脂質のエネルギー代謝に関与する酵素の補酵素としてはたらく
- チアミンは、生体内で補酵素NAD⁺やNADP⁺として酸化還元反応に関与する
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正答:3・4
3✅ コレカルシフェロール(ビタミンD₃)は皮膚でUV-B照射により7-デヒドロコレステロールから合成される
4✅ リボフラビン(B₂)は体内でFMN・FADに活性化→エネルギー代謝の補酵素
1❌ ロドプシンの構成成分はレチナール(11-cis型)。レチノイン酸は細胞分化に関与
2❌ 腸内細菌により供給されるのは主にビタミンK
5❌ NAD⁺・NADP⁺は**ナイアシン(B₃)**の補酵素形(チアミンB₁ではない)
第109回 問128(三大栄養素のエネルギー)
三大栄養素に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。
- 単位重量当たりで得られるエネルギーが最も多いのは、糖質である
- 糖質はエネルギー源となり、エネルギー貯蔵体にも変換される
- 脂質から単位重量当たりに得られるエネルギーは、タンパク質の約4倍である
- タンパク質はエネルギー源にはならない
- 脂質やタンパク質の代謝物の中には、ホルモンなどの生理活性物質の前駆体になるものがある
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正答:2・5
2✅ 糖質はグリコーゲン(肝臓・筋肉)や脂肪として貯蔵可能
5✅ コレステロール→ステロイドホルモン、チロシン→カテコールアミン等
1❌ 最もエネルギー密度が高いのは脂質(9kcal/g)。糖質・タンパク質は4kcal/g
3❌ 脂質9kcal/gはタンパク質4kcal/gの約2.25倍(4倍は誤り)
4❌ タンパク質もエネルギー源になる(4kcal/g)
第109回 問130(アスパルテームとフェニルケトン尿症)
甘味料のうち、フェニルケトン尿症(PKU)患者に対する注意喚起の表示が義務づけられているのはどれか。1つ選べ。
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正答:アスパルテーム
アスパルテームはアスパラギン酸とフェニルアラニンのジペプチド誘導体。PKU患者はフェニルアラニン水酸化酵素が欠損しているため、フェニルアラニンを含む甘味料への注意表示が義務。食品表示基準により「L-フェニルアラニン化合物を含む」と表示が必要。
第108回 問19(栄養機能表示できない成分)
保健機能食品制度において、栄養機能食品として栄養機能表示ができない食品成分はどれか。1つ選べ。
- ナトリウム
- n-3系脂肪酸
- カルシウム
- パントテン酸
- ビタミンA
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正答:1
1✅ **ナトリウム(Na)**は栄養機能食品の機能表示対象成分に含まれない(過剰摂取のリスクから対象外)
2❌ n-3系脂肪酸は対象成分(DHA等)
3❌ カルシウムは対象成分(ミネラル6種のうちの1つ)
4❌ パントテン酸は対象成分(ビタミン13種のうちの1つ)
5❌ ビタミンAは対象成分
第107回 問19(精白米の制限アミノ酸)
精白米の第一制限アミノ酸はどれか。1つ選べ。
- バリン
- リシン
- ロイシン
- イソロイシン
- トリプトファン
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正答:2
2✅ 精白米の第一制限アミノ酸はリシン(リジン)。小麦の第一制限アミノ酸もリシン
1❌ バリン:BCAA(分岐鎖アミノ酸)、精白米では制限にならない
3❌ ロイシン:BCAAで比較的多い
5❌ トリプトファン:とうもろこしの制限アミノ酸
