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労働衛生管理・職業病・産業医

📅 2026年5月19日🔄 更新: 2026年5月22日
📖 この記事でわかること
  • 労働衛生の3管理(作業環境管理・作業管理・健康管理)の区別ができる
  • 産業医の選任要件(50人以上、専属1000人以上)を正確に覚えられる
  • 一般健康診断(年1回)と特殊健康診断(年2回・6ヶ月ごと)の違いを区別できる
  • じん肺・振動障害・騒音性難聴など代表的な職業病と原因物質を対応させられる
  • WBGT算出式(屋外:0.7×Tw+0.2×Tg+0.1×Ta)と室内CO₂基準(1,000ppm以下)を使える
目次
  1. 1.労働衛生管理の3管理
  2. 2.‍⚕️ 産業医
  3. 3.健康診断の種類
  4. 4.代表的な職業病と原因物質
  5. 5.有機溶剤による職業病
  6. 6.金属・重金属による職業病
  7. 7.暑さ指数(WBGT)
  8. 8.業務上疾病の発生状況と換気量計算
  9. 業務上疾病の発生順位
  10. CO₂換気量の計算式
  11. 9.国試頻出まとめ
  12. 10.国試過去問チェック

🏭 労働衛生管理の3管理

労働衛生管理とは、労働者を有害な労働環境から守るための総合的な管理体制です。3つの管理に分類され、薬剤師国試で繰り返し出題されます。

管理の種類 定義 具体例
作業環境管理 作業環境中の有害因子を除去・低減する 有害原材料を無害なものへ変更、局所排気装置の設置、換気改善
作業管理 作業方法・作業時間を適切に管理する 呼吸用保護具の着用、曝露時間の短縮、作業手順の改善
健康管理 労働者の健康状態を把握・維持する ストレスチェック特殊健康診断、一般健康診断

3管理の覚え方

  • 保護具着用・曝露時間の短縮 → 作業管理(作業のやり方を管理)
  • 有害物質の除去・変更・換気 → 作業環境管理(環境そのものを改善)
  • ストレスチェック・健康診断 → 健康管理(「チェック・診断」系はすべて健康管理)

👨‍⚕️ 産業医

項目 内容
選任要件 常時50人以上の労働者がいる事業場
専属産業医 常時1,000人以上(有害業務は500人以上
主な職務 健康診断・健康相談・作業環境の巡視・衛生教育など
根拠法 労働安全衛生法

数字の覚え方:選任は「50人」、専属は「1,000人(有害業務は500人)」


🩺 健康診断の種類

種類 対象 頻度 内容
一般健康診断 全労働者 年1回 血圧・血液・胸部X線など
特殊健康診断 有害業務従事者 年2回(6ヶ月ごと) 業務に関連した項目
じん肺健康診断 じん肺リスク業務 就業時・管理区分に応じて 胸部X線・肺機能検査

⚠️ 特殊健康診断は年2回(6ヶ月ごと)!一般健診の年1回と混同しない

特殊健康診断が義務付けられる主な業務:

業務 健診の種類
石綿(アスベスト)取扱い 石綿健康診断
有機溶剤取扱い 有機溶剤健康診断
特定化学物質取扱い 特定化学物質健康診断
高騒音作業(著しい騒音) 騒音健康診断
放射線業務 電離放射線健康診断

🫁 代表的な職業病と原因物質

職業病 原因 特徴・覚え方
じん肺 粉じん(石英・石炭など)の吸入 肺線維症・不可逆性。珪肺(シリカ)・石綿肺(アスベスト)
白ろう病(振動障害) 局所振動(チェーンソー等) レイノー現象(手指の蒼白化・発作的白化)
騒音性難聴 高騒音作業環境 初期は4,000 Hz(C5-dip)から障害
頸肩腕症候群 VDT作業・上肢の反復動作 首・肩・腕の疼痛・しびれ
潜水病(減圧症) 高気圧作業後の急速減圧 気泡形成→関節痛・麻痺

レイノー現象(白ろう病):振動が原因。電離放射線ではないことに注意!


🧪 有機溶剤による職業病

有機溶剤は脂溶性が高く、皮膚・呼吸器から容易に吸収される。

有機溶剤 特徴的な障害
ノルマルヘキサン 末梢神経障害(感覚・運動神経障害)
二硫化炭素(CS₂) 動脈硬化・精神神経障害・網膜症
ベンゼン 造血器障害(白血病・再生不良性貧血)
塩化メチレン(ジクロロメタン) COへの代謝→CO中毒症状
トリクロロエチレン 肝障害・皮膚炎・スティーブンス・ジョンソン症候群

⚙️ 金属・重金属による職業病

金属 特徴的な症状・覚え方
鉛(Pb) 腹部疝痛・貧血・神経障害・尿中δ-ALA増加
水銀(Hg) 振戦・精神症状(水俣病はメチル水銀)
カドミウム(Cd) 腎尿細管障害・骨軟化症(イタイイタイ病)
クロム(Cr⁶⁺) 鼻中隔穿孔・肺がん
マンガン(Mn) パーキンソニズム(錐体外路障害)

🌡️ 暑さ指数(WBGT)

**WBGT(Wet Bulb Globe Temperature:湿球黒球温度)**は熱中症予防の指標。

温度計 測定する内容 記号
黒球温度計(黒色の中空銅球) 放射熱と気温の影響 Tg(グローブ温度)
湿球温度計(ガーゼを水で濡らす) 蒸発冷却効果(湿度の影響) Tw(湿球温度)
乾球温度計(通常の温度計) 気温 Ta(乾球温度)

算出式:

場所
屋外 WBGT = 0.7 × Tw + 0.2 × Tg + 0.1 × Ta
屋内 WBGT = 0.7 × Tw + 0.3 × Tg

湿球温度(Tw)の係数が最大(0.7)→湿度(蒸発冷却)が熱中症リスクに最も影響する


💨 業務上疾病の発生状況と換気量計算

業務上疾病の発生順位

順位 疾病 ポイント
1位 病原体による疾病 医療従事者等の感染症;COVID-19流行時に急増
2位 災害性腰痛 重量物取り扱い・急激な動作による腰痛
3位 熱中症 夏季に増加
4位 振動障害 チェーンソー等の振動工具
5位 騒音性難聴 高騒音作業環境

CO₂換気量の計算式

換気量(m3/h=CO2産生量(m3/h室内CO2濃度屋外CO2濃度換気量(m^3/h)= \frac{CO_2産生量(m^3/h)}{室内CO_2濃度 - 屋外CO_2濃度}

✅ 定常状態:換気によるCO₂除去量=人のCO₂産生量(収支ゼロ)

室内空気環境基準(建築物衛生法):

項目 基準値
CO₂濃度 1,000 ppm(0.1%)以下
一酸化炭素(CO) 6 ppm 以下
浮遊粉じん 0.15 mg/m³ 以下
相対湿度 40〜70%
温度 18〜28℃

📋 国試頻出まとめ

# テーマ 重要ポイント
1 3管理の区別 健康管理=診断・チェック系、作業管理=保護具・曝露時間、作業環境管理=環境改善
2 特殊健診の頻度 年2回(6ヶ月ごと)。一般健診の年1回と混同しない
3 産業医の選任 50人以上で選任。1,000人以上(有害業務500人以上)で専属
4 じん肺 粉じん吸入による肺線維症。不可逆性。珪肺・石綿肺が代表
5 白ろう病 振動工具→レイノー現象(手指蒼白化)。電離放射線ではない
6 騒音性難聴 初期に4,000 Hz(C5-dip)から障害
7 WBGT屋外式 0.7×Tw + 0.2×Tg + 0.1×Ta。湿球温度の係数が最大(0.7)
8 CO₂基準 室内1,000 ppm以下(建築物衛生法)
9 業務上疾病1位 病原体による疾病(感染症)。2位は災害性腰痛
10 鉛中毒 腹部疝痛・貧血・神経障害・尿中δ-ALA増加

📝 国試過去問チェック

第111回 問125(一般問題)

労働衛生管理における健康管理に該当するのはどれか。2つ選べ。

  1. 呼吸用保護具を着用させる
  2. ストレスチェックを実施する
  3. 有害物質に対する曝露時間を短縮する
  4. 有害な原材料を無害なものへと変更する
  5. 特殊健康診断を実施する
解答と解説を見る

正答:2・5

2✅ ストレスチェックは労働者の心身の状態を把握・維持する → 健康管理

5✅ 特殊健康診断は有害業務従事者の健康状態を把握する → 健康管理

1❌ 呼吸用保護具の着用は「保護具で身を守る」→ 作業管理

3❌ 曝露時間の短縮は「作業のやり方・時間を管理」→ 作業管理

4❌ 有害原材料を無害なものへ変更は「環境そのものを改善」→ 作業環境管理


第109回 問18(必須問題)

事業者が、常時従事する労働者に対して特殊健康診断を受診させることが義務付けられているのはどれか。1つ選べ。

  1. 石綿(アスベスト)の粉じんを発散する場所における業務
  2. 重量物を取り扱う業務
  3. 著しく暑熱な場所における業務
  4. 電子計算機への入力を反復して行う業務
  5. 著しい騒音を発する場所における業務
解答と解説を見る

正答:1

1✅ **石綿(アスベスト)**は中皮腫・肺がんを引き起こす有害物質で、石綿健康診断(特殊健康診断)が義務付けられている

2❌ 重量物取り扱いは特殊健診の対象外(腰痛の原因にはなるが特殊健診なし)

3❌ 暑熱環境は対象外

4❌ VDT作業(電子計算機入力)は対象外(頸肩腕症候群の原因になるが特殊健診なし)

5❌ 著しい騒音業務は特殊健診あり→選択肢5も正答に思えるが、騒音は「著しい騒音」が条件。本問では1が最も明確な義務付け対象として正解


第108回 問140(一般問題)

講義室(130名在室)でCO₂濃度が400 ppmから1,400 ppmで定常となった。換気量(m³/h)に最も近い値はどれか。(1人あたりCO₂排出量:0.022 m³/h、屋外CO₂濃度:400 ppm)

  1. 320 2. 810 3. 1,800 4. 2,900 5. 8,900
解答と解説を見る

正答:4

CO₂産生量 = 130人 × 0.022 m³/h = 2.86 m³/h

室内外のCO₂濃度差 = (1,400 − 400) ppm = 1,000 ppm = 0.001(無次元)

換気量 = 2.86 ÷ 0.001 = 2,860 m³/h ≈ 2,900 m³/h

換気量=2.860.001=28602900m3/h換気量 = \frac{2.86}{0.001} = 2860 \approx 2900 , m^3/h


第107回 問126(理論問題)

職業性疾病と有害要因に関する記述のうち、誤っているのはどれか。1つ選べ。

  1. 精神障害やメンタルヘルス不調は、強い不安やストレスを感じる心理社会的要因により発症する
  2. レイノー病は、電離放射線の曝露による物理的要因により発症する
  3. けい肺や石綿肺は、粉じんの曝露による化学的要因により発症する
  4. 細菌感染症やウイルス感染症は、病原体との接触による生物的要因により発症する
  5. 頸肩腕症候群は、VDT作業による作業態様要因により発症する
解答と解説を見る

正答:2

2❌(誤り)レイノー病(振動病)の原因は振動工具による振動(物理的要因)→ 電離放射線ではない

振動病:チェーンソー・削岩機などの長期使用→ 指先の血流障害・白ろう病

電離放射線曝露:造血障害・白血病・白内障など

1✅ 精神障害:過重労働・ハラスメント等の心理社会的要因

3✅ けい肺:二酸化ケイ素(シリカ)粉じん曝露 / 石綿肺:アスベスト繊維(化学的要因)

4✅ 生物的要因:職業性感染症(医療従事者のHBV等)

5✅ VDT作業(パソコン作業)→ 頸肩腕症候群・眼精疲労

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