パーキンソン病とは?まず病態から理解する
パーキンソン病は中脳黒質のドパミン神経が変性・脱落することで起こる神経変性疾患です。
正常な脳では、黒質線条体路で次のバランスが保たれています。
ドパミン(抑制性)↔ アセチルコリン(興奮性)のバランスが崩れると運動調節が乱れる
4大症状(国試頻出)
| 症状 | 特徴 |
|---|---|
| 安静時振戦 | 安静時に起こる(動作時は軽減)。「丸薬を丸める」動作 |
| 筋固縮 | 鉛管様・歯車様硬直 |
| 無動・寡動 | 動作が遅くなる、表情が乏しくなる |
| 姿勢反射障害 | バランスが悪く転倒しやすい |
① レボドパ系 ★最重要
なぜドパミンをそのまま投与しないの?
ドパミンは血液脳関門(BBB)を通過できないため、前駆体の**レボドパ(L-DOPA)**を投与します。
DDC阻害薬との配合薬(これが国試に出る!)
| DDC阻害薬 | ポイント |
|---|---|
| カルビドパ | 最も使われる(メネシット® / ネオドパストン®) |
| ベンセラジド | 同様の機序(マドパー®) |
長期使用の3大問題(国試頻出)
- ウェアリングオフ現象:薬の効果持続時間が短くなる(用量末期現象)
- オンオフ現象:突然「オフ(効かない)」状態になる
- ジスキネジア:不随意運動(過剰ドパミン刺激による)
② MAO-B阻害薬
ドパミンを分解するMAO-B(モノアミン酸化酵素B型)を阻害することで、ドパミンを長持ちさせます。
| 薬剤名 | 特徴 |
|---|---|
| セレギリン | MAO-B選択的阻害。チーズ反応は通常量では問題なし |
| ラサギリン | 同上。1日1回投与で使いやすい |
⚠️ 注意:非選択的MAO阻害薬(MAO-AもMAO-Bも阻害)はチーズ反応(高血圧クリーゼ)のリスクあり。選択的MAO-B阻害薬とは別物!
③ COMT阻害薬
レボドパはCOMT(カテコール-O-メチル基転移酵素)でも代謝されます。それを阻害することでレボドパの作用を延長します。
| 薬剤名 | 特徴 |
|---|---|
| エンタカポン | 末梢のみ作用。レボドパとの併用専用 |
| トルカポン | 中枢+末梢に作用。肝毒性に注意 |
④ ドパミン受容体作動薬(DA作動薬)
ドパミン受容体を直接刺激します。レボドパより作用時間が長く、ウェアリングオフの軽減に有用。
麦角系 vs 非麦角系は超頻出! 非麦角系が第一選択です。
| 薬剤名 | 分類 | 受容体 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| プラミペキソール | 非麦角系 | D2/D3 | 腎排泄 |
| ロピニロール | 非麦角系 | D2/D3 | CYP1A2代謝 |
| ロチゴチン | 非麦角系 | D1/D2/D3 | 貼付剤(パッチ) |
| カベルゴリン | 麦角系 | D2 | 心臓弁膜症リスクあり |
| ブロモクリプチン | 麦角系 | D2 | 心臓弁膜症リスクあり |
麦角系の副作用:心臓弁膜症・肺線維症・腹膜線維症のリスクがあるため非麦角系が優先されます。
⑤ アマンタジン
もともとは抗インフルエンザ薬。パーキンソン病にも効果があります。
- ドパミン遊離促進 + NMDA受容体拮抗(グルタミン酸拮抗)
- ジスキネジアの改善にも有効(他の薬にはない特徴)
- 腎排泄 → 腎機能低下患者には注意
⑥ 抗コリン薬
ドパミン低下によるアセチルコリン相対優位を是正します。
| 薬剤名 | 主な用途 |
|---|---|
| トリヘキシフェニジル | 振戦に効果的 |
| ビペリデン | 振戦・筋固縮に有効 |
副作用(抗コリン作用):口渇・便秘・尿閉・眼圧上昇・認知機能低下。高齢者では特に注意。
⑦ ドロキシドパ(L-DOPS)
ノルアドレナリンの前駆体。他の薬ではカバーできないすくみ足・起立性低血圧に有効です。
国試頻出まとめ
| 分類 | 代表薬 | 国試ポイント |
|---|---|---|
| レボドパ系 | レボドパ+カルビドパ | BBB通過できないのでドパミンでなくレボドパを投与。DDC阻害薬と併用 |
| MAO-B阻害薬 | セレギリン・ラサギリン | ドパミン分解を抑制。チーズ反応に注意(非選択的と区別) |
| COMT阻害薬 | エンタカポン・トルカポン | レボドパ作用延長。トルカポンは肝毒性 |
| DA作動薬 | プラミペキソール(非麦角系) | 麦角系→心臓弁膜症リスク。非麦角系が第一選択 |
| アマンタジン | アマンタジン | ドパミン遊離促進+NMDA拮抗。ジスキネジアにも有効 |
| 抗コリン薬 | トリヘキシフェニジル | 振戦に有効。高齢者は認知機能低下に注意 |
| ノルアドレナリン系 | ドロキシドパ | すくみ足・起立性低血圧 |
