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製剤学・剤形の基礎と必須問題【薬剤師国試対策】初回通過効果・抗酸化剤・軟膏基剤・崩壊試験を完全攻略

📅 2026年5月20日🔄 更新: 2026年5月20日
📖 この記事でわかること
  • 初回通過効果を最も大きく受ける剤形(OD錠)と回避できる剤形(舌下錠・坐剤・吸入剤)を区別できる
  • 粉末X線回折パターンで結晶(鋭いピーク)と非晶質(幅広いハロ)を見分けられる
  • 親油性(α-トコフェロール)・親水性(アスコルビン酸)・キレート剤(EDTA)の抗酸化剤を分類できる
  • 微粉砕による溶解性・流動性・安定性・結晶性への影響を正しく説明できる
  • 崩壊試験法はバスケット、溶出試験法はパドル/回転バスケット型を使うことを区別できる
目次
  1. 1.初回通過効果と剤形
  2. 2.粉末X線回折と非晶質
  3. 3.抗酸化剤の分類
  4. 4.微粉砕と溶解性
  5. 5.軟膏基剤の分類
  6. 6.気管支・肺に適用する製剤
  7. 7.崩壊試験法とスパスタブ型製剤
  8. 崩壊試験法の装置
  9. スパスタブ型製剤
  10. 8.国試頻出まとめ
  11. 9.国試過去問チェック

🚶 初回通過効果と剤形

消化管から吸収された薬物は門脈→肝臓を経由するため、肝臓で代謝されてバイオアベイラビリティが低下します。これを「肝初回通過効果(First-pass effect)」といいます。

剤形 初回通過効果 吸収経路
口腔内崩壊錠(OD錠) 大きい 飲み込むので消化管→門脈→肝
坐剤(直腸下部) 小さい 下痔静脈→下大静脈(門脈を迂回)
舌下錠 小さい 口腔粘膜→上大静脈(門脈を通らない)
点鼻剤・吸入剤 ほぼなし 粘膜吸収→全身循環

「OD錠は普通の経口投与と同じ」 口腔内で崩壊しても飲み込むため、消化管→門脈→肝臓を通る。初回通過効果を最も大きく受ける剤形として頻出。


🔬 粉末X線回折と非晶質

結晶状態と非晶質(アモルファス)状態では、X線回折パターンが全く異なります。

状態 X線回折パターン 溶解性 安定性
結晶多形A・B・C 鋭いピーク(シャープなピーク) 結晶形による 高い
非晶質(アモルファス) 幅広いハロ(ピークなし) 高い 低い

非晶質は分子が不規則に配列しているため格子エネルギーがなく、溶解速度が速い。バイオアベイラビリティ向上に利用されます。

「非晶質 = 幅広いハロ = 溶けやすいが不安定」 鋭いピークが出れば結晶、ハローのみなら非晶質と判定する。


💊 抗酸化剤の分類

酸化を防ぐ添加剤(抗酸化剤)は、水に溶けるか油に溶けるかで分類されます。

分類 代表的な抗酸化剤 特徴
親油性(油溶性) α-トコフェロール(ビタミンE)、BHT、BHA 油脂性製剤・乳剤の酸化防止
親水性(水溶性) アスコルビン酸(ビタミンC)、亜硫酸水素Na、チオ硫酸Na 水性注射剤・点眼剤の酸化防止
キレート剤 エデト酸(EDTA)Na 金属イオンを封鎖(酸化触媒を除去)

「α-トコフェロール=親油性」 長鎖フィタノール側鎖による高い親油性で脂質二重層に局在し、脂質ラジカルを捕捉する。選択肢に並ぶ他の成分(アスコルビン酸・亜硫酸水素Na・EDTA・チオ硫酸Na)はすべて親水性またはキレート剤。


🧪 微粉砕と溶解性

原薬を微粉砕すると比表面積が増大し、以下の変化が生じます。

性質 変化 理由
溶解性(溶解速度) 増大 比表面積増加でNoyes-Whitney式より溶解速度↑
流動性 低下 粒子間の摩擦力・静電気が増大
充てん性 低下 粒子が小さいほど空隙が多くなる
安定性 低下 表面積増大で酸化・吸湿しやすくなる
結晶性 低下 粉砕エネルギーで一部非晶質化

Noyes-Whitney式:dC/dt = DS/h × (Cs−C) [D=拡散係数、S=表面積、Cs=飽和溶解度]

⚠️ 「微粉砕で増大するのは溶解性だけ」 流動性・充てん性・安定性・結晶性はすべて低下する。「増大するのはどれか」という問いには「溶解性(溶解速度)」のみが正解。


🧴 軟膏基剤の分類

軟膏基剤は水を含むかどうか、水と油のどちらが連続相かで分類されます。

分類 代表例 特徴
油脂性基剤 流動パラフィン・白色ワセリン・プラスチベース 水を含まない・保護膜形成・高保湿
油中水型(W/O)乳剤性基剤 親水ワセリン・加水ラノリン・コールドクリーム 少量の水を保持
水中油型(O/W)乳剤性基剤 親水クリーム・バニシングクリーム 水で洗える・伸びが良い
水溶性基剤 マクロゴール(PEG)軟膏 水に溶ける・創傷面に使用可

「流動パラフィン=油脂性基剤」 炭化水素系で水を一切含まない。親水ワセリン(W/O)・親水クリーム(O/W)・マクロゴール(水溶性)との区別が頻出。


💨 気管支・肺に適用する製剤

日本薬局方の気管支・肺に適用する製剤(吸入剤)には固形・液状・エアゾールの3種がすべて含まれます。

剤形の種類 分類
吸入粉末剤(DPI) 固形製剤
吸入液剤 液状製剤
吸入エアゾール剤(MDI) エアゾール製剤

「吸入剤だけが固形・液状・エアゾールの3種をすべて含む」 経口製剤にエアゾールはなく、注射剤にエアゾールはない。この組み合わせは吸入剤固有の特徴。


⚗️ 崩壊試験法とスパスタブ型製剤

崩壊試験法の装置

試験法 使用する主な装置
崩壊試験法 バスケット(ロッド付き円筒形かご)+水浴
溶出試験法 パドル型・回転バスケット型
比表面積測定法 BETガス吸着装置
展延性試験法 円板付き装置
粘着力試験法 傾斜板(スライド)法・ループタック法

「崩壊試験=バスケット型」 溶出試験もバスケット型装置を使うが、それは「回転バスケット型」。崩壊試験のバスケットは上下運動するタイプ。

スパスタブ型製剤

製剤タイプ 構造的特徴
スパスタブ型 異なる速度放出のフィルムコーティングペレット(多粒子)を充てん
スパンスル型 速放性顆粒+複数の徐放性顆粒をカプセルに充てん
マトリックス型 薬物を均一に練り込んだ骨格
膜制御型(リザーバー型) 薬物コア+速度制御膜のコーティング
浸透圧ポンプ型(OROS) 半透膜+浸透圧で一定速度放出

⚠️ 「スパスタブ型とスパンスル型の違い」 スパスタブ型は徐放ペレットのみを充てん。スパンスル型は速放顆粒と徐放顆粒の両方を含む。テオフィリン徐放製剤の代表的な構造はスパスタブ型。


📋 国試頻出まとめ

# テーマ 重要ポイント
1 OD錠と初回通過効果 口腔内崩壊錠は飲み込むため肝初回通過効果を最も大きく受ける
2 舌下錠 口腔粘膜→上大静脈→体循環(門脈を通らない)
3 坐剤 直腸下部の下痔静脈→下大静脈(門脈を迂回)で初回通過効果小
4 非晶質のX線回折 幅広いハロ(鋭いピークなし)→溶解性高・安定性低
5 α-トコフェロール 唯一の親油性抗酸化剤。他の選択肢(アスコルビン酸・EDTA等)は親水性
6 微粉砕の効果 溶解速度のみ増大。流動性・充てん性・安定性・結晶性は低下
7 軟膏基剤4分類 油脂性(流動パラフィン)・W/O(親水ワセリン)・O/W(親水クリーム)・水溶性(マクロゴール)
8 崩壊試験法の装置 バスケット型(上下運動)。溶出試験はパドル型・回転バスケット型
9 吸入剤3分類 固形(DPI)・液状(吸入液剤)・エアゾール(MDI)の3種すべてを含む
10 スパスタブ型 異なる放出速度のフィルムコーティングペレット多粒子系。スパンスル型と混同しない

📝 国試過去問チェック

第111回 問49(親油性抗酸化剤)

親油性の抗酸化剤はどれか。1つ選べ。

  1. アスコルビン酸
  2. 亜硫酸水素ナトリウム
  3. エデト酸(EDTA)ナトリウム
  4. チオ硫酸ナトリウム
  5. α-トコフェロール
解答と解説を見る

正答:5

5✅ α-トコフェロール(ビタミンE):長鎖フィタノール側鎖により高い親油性を持つ。脂質二重層に局在し脂質ラジカルを捕捉して脂質過酸化を防止する。

1❌ アスコルビン酸:OH基が多く親水性の抗酸化剤。

2❌ 亜硫酸水素ナトリウム:親水性(水溶液中でSO₂として作用する還元剤)。

3❌ エデト酸(EDTA)ナトリウム:キレート剤。金属イオンを封鎖することで酸化触媒を除去するが、親油性ではない。

4❌ チオ硫酸ナトリウム:親水性(水に易溶)。


第111回 問51(油脂性軟膏基剤)

油脂性基剤はどれか。1つ選べ。

  1. 流動パラフィン
  2. 親水クリーム
  3. 加水ラノリン
  4. マクロゴール軟膏
  5. 親水ワセリン
解答と解説を見る

正答:1

1✅ 流動パラフィン(液状パラフィン):炭化水素系の油脂性基剤。水を含まず保護膜形成・高保湿効果を持つ。

2❌ 親水クリーム:O/W型乳剤性基剤。水中に油が分散しており水で洗い落とせる。

3❌ 加水ラノリン:W/O型乳剤性基剤(ラノリン+水)。少量の水を保持できる。

4❌ マクロゴール軟膏(PEG軟膏):水溶性基剤。ポリエチレングリコールが主成分で油を含まない。

5❌ 親水ワセリン:W/O型乳剤性基剤。白色ワセリンに乳化剤を加えて少量の水を吸収できるようにしたもの。


第110回 問53(スパンスル型製剤)

速放性顆粒と徐放性顆粒1・2・3が混在してカプセルに充てんされた経口徐放カプセル剤の型はどれか。1つ選べ。

  1. スパンスル型
  2. ロンタブ型
  3. グラデュメット型
  4. スパスタブ型
  5. レジネート型
解答と解説を見る

正答:1

1✅ スパンスル型:速放性顆粒+複数の異なる徐放性顆粒をカプセルに充てんした製剤。速放分で即効性、徐放分で持続性を同時に実現する。

2❌ ロンタブ型:ワックス基剤のマトリックス型錠剤。

3❌ グラデュメット型:プラスチックマトリックスに薬物を分散した錠剤。

4❌ スパスタブ型:徐放性ペレットのみをカプセルに充てん(速放顆粒を含まない点がスパンスル型と異なる)。

5❌ レジネート型:イオン交換樹脂に薬物を吸着させて放出制御する製剤。

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