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製剤学・理論問題【薬剤師国試対策】非晶質・造粒・膜制御型徐放・レオロジーを完全攻略

📅 2026年5月21日
📖 この記事でわかること
  • 非晶質固体分散体が過飽和溶解を示す理由と、経時的に結晶化する理由を説明できる
  • 膜制御型(リザーバー型)製剤の0次放出の条件と、マトリックス型との違いを区別できる
  • 流動層造粒(混合・造粒・乾燥を同一装置)・押し出し造粒・噴霧乾燥の特徴を比較できる
  • チキソトロピー(ヒステリシスループ)とダイラタンシーの違いを正しく説明できる
  • 高分子溶液の粘度とイオン性・塩の添加・溶媒の良否の関係を理解できる
目次
  1. 1.非晶質・固体分散体
  2. 2.膜制御型徐放製剤(リザーバー型)
  3. 3.造粒法の比較
  4. 4.レオロジー(流動学)
  5. 5.高分子溶液の粘度
  6. 6.液状製剤の分類
  7. 7.粉体の密度と界面活性剤
  8. 粉体の密度の関係
  9. 界面活性剤とミセル
  10. 8.国試頻出まとめ
  11. 9.国試過去問チェック

非晶質・固体分散体

結晶性薬物を非晶質化して高分子中に分散させた「固体分散体」は、溶解性改善の代表的な手法です。

状態 溶解性 安定性 X線回折
結晶 低い(格子エネルギーあり) 高い 鋭いピーク
非晶質(固体分散体) 高い(格子エネルギーなし) 低い 幅広いハロのみ

非晶質は分子がランダムに配列しているため格子エネルギーがなく、結晶の飽和溶解度(Cs)を超えて溶解できる(過飽和状態)。しかし熱力学的に不安定なため、経時的に結晶化してCsに収束していきます。

「非晶質 → 過飽和溶解 → 経時的に結晶化してCsに収束」 固体分散体の担体(HPMC・PVP等)は再結晶化を抑制し、過飽和状態を維持する役割を担う。BCS Class 2の薬物(溶解性低・透過性高)の吸収改善に有効。


膜制御型徐放製剤(リザーバー型)

水不溶性コーティング膜で薬物コアを被覆した「膜制御型(リザーバー型)」製剤の放出速度は以下の式で表されます。

J = Kd × Dm × (Cin − Cout) / L

記号 意味
J 薬物放出速度
Cin 膜内側(コア側)の薬物濃度 = 飽和溶解度(固体薬物存在中は一定)
Cout 膜外側の薬物濃度(≒ 0)
L 膜厚
Kd × Dm 拡散係数・分配係数
特徴 内容
放出次数 0次放出(累積放出量が時間に比例して直線的に増加)
膜厚との関係 放出速度は膜厚 L に反比例(膜が厚いほど遅い)
Cin の挙動 固体薬物が残存中は飽和溶解度で一定。固体がなくなると低下
徐放製剤タイプ 放出機構 放出次数
膜制御型(リザーバー型) 膜透過拡散 0次
マトリックス型 骨格内拡散 Higuchi式(√t に比例)
浸透圧ポンプ型(OROS) 浸透圧駆動 0次

「膜制御型 = 0次放出、膜厚に反比例」 マトリックス型との違いは構造(コア+膜 vs 均一分散)と放出次数(0次 vs Higuchi型)。


🏭 造粒法の比較

製剤製造で顆粒を作る「造粒」には複数の方式があります。国試では装置の特徴と得られる造粒物の形状が問われます。

造粒法 得られる造粒物の特徴 特記事項
流動層造粒 軽質・球形・多孔質 混合・造粒・乾燥を同一装置で連続実施
押し出し造粒 重質・均一径・円柱状 湿塊をダイスから押し出す。乾燥は別工程
噴霧乾燥(スプレードライ) 球形・小粒径 液滴形状を反映した球形粒子
転動造粒 球形・高密度 回転パンで転がしながら造粒
乾式造粒(ロールコンパクター) 不定形 熱・水に不安定な薬物向け

「混合・造粒・乾燥を同一装置で行えるのは流動層造粒のみ」 押し出し造粒は重質な円柱状、噴霧乾燥は液滴形状を反映した球形かつ小粒径という点がそれぞれ固有の特徴。


📐 レオロジー(流動学)

半固形製剤(軟膏・クリーム・ゲル)の流動特性を表すレオロジーは、せん断速度とせん断応力の関係(レオグラム)で分類されます。

現象 特徴 レオグラム
チキソトロピー せん断をかけると粘度が低下し、静置すると回復 上昇曲線と下降曲線が異なるヒステリシスループを形成
ダイラタンシー せん断速度増加で粘度が増加 上に凸の曲線(チキソトロピーとは逆)
ニュートン流動 粘度が一定(せん断速度に無関係) 原点を通る直線
ビンガム流動 降伏値を超えると流動 降伏値からの直線

「チキソトロピーとダイラタンシーは逆の現象」 チキソトロピー:振ると流れやすくなる(ゲル剤・懸濁剤)。ダイラタンシー:せん断で粘度が増す(高濃度デンプン懸濁液など)。ヒステリシスループを示すのはチキソトロピー。


🧬 高分子溶液の粘度

イオン性高分子(カルボキシビニルポリマー・アルギン酸等)の水溶液は、非イオン性と比べて特異な粘度挙動を示します。

条件 粘度の変化 理由
イオン性高分子(水溶液) 非イオン性より高い 分子内電荷間の反発で鎖が伸展
塩を添加 低下 電荷が遮蔽→鎖が収縮(塩析効果)
等電点付近 最小 正負の電荷が中和→収縮
良溶媒→貧溶媒に変化 低下 鎖が収縮(コアセルベーション)

「イオン性高分子 = 粘度高、塩添加・等電点 = 粘度低下」 等電点では粘度が「最大」ではなく「最小」になる点が頻出の誤りポイント。


液状製剤の分類

経口液状製剤の種類と定義は国試でよく問われます。

剤形 主な特徴 識別ポイント
エリキシル剤 エタノール+甘味料(白糖)・澄明な液 バニリン(香料)・着色料を含む
チンキ剤 生薬をアルコールで抽出した液 生薬由来成分を含む
シロップ剤 白糖などの糖類又は甘味剤を含む比較的濃稠な内服液剤 エタノールは少量または含まない
ローション剤 外用(皮膚用)液状製剤 経口ではない

「エリキシル剤 = エタノール+甘味料+澄明」 「エタノール・甘味・澄明・芳香」の4つがそろえばエリキシル剤。白糖だけ多ければシロップ剤。


⚗️ 粉体の密度と界面活性剤

粉体の密度の関係

密度の種類 定義 大小関係
真密度 粒子そのものの密度(空隙を含まない) 最大
粒子密度 粒子内の閉鎖空隙を含む密度 中間
充てん密度(かさ密度) 粒子間空隙も含む密度 最小

「真密度 > 粒子密度 > 充てん密度」

界面活性剤とミセル

濃度条件 状態
CMC未満 単分子として分散。濃度上昇とともに表面張力低下
CMC(臨界ミセル濃度) ミセル形成開始。表面への吸着が飽和
CMC以上 ミセル内に疎水基が内側・親水基が外側(水中ミセル)。可溶化量が増加

「CMC以上でミセル形成・可溶化量増加・表面吸着量は一定」 ミセルでは疎水基が内側、親水基が外側。「外側に疎水基」という選択肢は誤り。


国試頻出まとめ

# テーマ 重要ポイント
1 非晶質の溶解性 格子エネルギーがなく過飽和溶解。経時的にCsへ収束(結晶化)
2 固体分散体 X線回折で結晶ピーク消失→超飽和溶出→BAV向上(BCS Class 2向け)
3 膜制御型の0次放出 Cin一定(固体薬物存在中)・Cout≒0 → J一定 → 0次放出
4 膜厚と放出速度 放出速度は膜厚Lに反比例(L↑→J↓)
5 流動層造粒 混合・造粒・乾燥を同一装置で連続実施。軽質・多孔質な顆粒
6 押し出し造粒 重質・均一径・円柱状の造粒物。乾燥は別工程
7 噴霧乾燥造粒 液滴形状を反映した球形・小粒径の造粒物
8 チキソトロピー ヒステリシスループを形成(上昇曲線≠下降曲線)。振ると粘度低下
9 高分子溶液の粘度 イオン性>非イオン性。塩添加・等電点で粘度最小
10 CMCとミセル CMC以上でミセル形成・疎水基内側・表面吸着量一定・可溶化量増加

📝 国試過去問チェック

第111回 問183(造粒機械の特徴)

固形製剤の造粒機械ア〜オに関する正しい記述はどれか。2つ選べ。

  1. アは、粉砕・混合・造粒・乾燥を連続的に行うことができる
  2. イは、重質で粒度のそろった円柱状の造粒物が得られる
  3. ウは、熱及び水に不安定な薬物の造粒に適している
  4. エは、液滴形状を反映した比較的小さな球形状あるいは丸みを帯びた造粒物が得られる
  5. オは、軽質で圧縮成形に適した不定形状の造粒物が得られる
解答と解説を見る

正答:3, 4

1❌ 流動層造粒機でできるのは「混合・造粒・乾燥」の3工程のみ。粉砕はできない。「粉砕」が記述に含まれているため誤り。

2❌ 重質・均一径・円柱状の造粒物が得られるのは押し出し造粒機の特徴。イに示された装置はこれに該当しない。

3✅ ウはロールコンパクター(乾式造粒)。熱も水も使わずに粉体を圧縮して造粒するため、熱および水に不安定な薬物の造粒に最も適している

4✅ エはスプレードライヤー(噴霧乾燥造粒機)。液体を熱風中に噴霧して乾燥させるため、液滴形状を反映した球形かつ小粒径の造粒物が得られる。

5❌ 「軽質で圧縮成形に適した不定形状」という記述は各造粒法の特徴と合致しない。乾式造粒(ロールコンパクター)の造粒物は不定形だが、圧縮成形への適性はそれのみでは言えない。


第111回 問184(膜制御型徐放製剤の0次放出)

水不溶性コーティング膜で被覆した膜制御型徐放製剤(固体薬物残存中はCin一定、Cout≒0)に関する正しい記述はどれか。2つ選べ。

  1. マトリックス型製剤である
  2. 薬物は0次放出される
  3. Cinは経時的に減少する
  4. 薬物放出速度は放出制御膜の厚みに比例する
  5. 球形粒子の場合では、Sは粒子半径の2乗に比例する
解答と解説を見る

正答:2, 5

1❌ これは膜制御型(リザーバー型)製剤。薬物コアを速度制御膜でコーティングした構造。マトリックス型は薬物を高分子骨格に均一分散させた構造で異なる。

2✅ 0次放出:放出速度 J = Kd×Dm×(Cin−Cout)/L。Cinは固体薬物が残存中は飽和溶解度で一定、Cout≒0 のためJは一定。累積放出量が時間に対して直線的に増加する(0次放出)。

3❌ Cinは固体薬物が残存している間は飽和溶解度で一定に保たれる。固体薬物がすべて溶解した後に低下する。

4❌ 放出速度はJ ∝ 1/L のため膜厚Lに「反比例」する。膜が厚いほど放出が遅くなる。「比例」は誤り。

5✅ 球形粒子の表面積 S = 4πr²(rは半径)のため、Sは粒子半径の2乗に比例する。


第111回 問179(高分子溶液の性質)

高分子溶液の性質に関する正しい記述はどれか。2つ選べ。

  1. 高分子を貧溶媒に溶解した場合、良溶媒に溶解した場合より溶液の粘度が高い
  2. 平均分子量が同等の場合、イオン性高分子の水溶液の粘度は、同濃度の非イオン性高分子の水溶液より高い
  3. イオン性高分子の水溶液に塩を添加すると、高分子の溶解性が向上する
  4. 両イオン性高分子溶液の粘度は、等電点付近で最大となる
  5. 良溶媒の高分子溶液に貧溶媒を添加していくと、コアセルベートを生じる
解答と解説を見る

正答:2, 5

1❌ 貧溶媒では高分子鎖が収縮するため粘度は低下する。良溶媒では鎖が伸展して粘度が大きくなる(逆の記述)。

2✅ イオン性高分子は分子内の電荷間反発により高分子鎖が伸展するため、同濃度・同分子量の非イオン性高分子より粘度が高くなる。

3❌ 塩添加により電荷が遮蔽(塩析効果)されると高分子鎖が収縮・沈殿しやすくなる。溶解性は向上ではなく「低下」する。

4❌ 両イオン性高分子は等電点では分子内の正電荷と負電荷が中和されて高分子鎖が収縮するため粘度が「最小」となる。等電点から離れるほど一方の電荷が卓越して鎖が伸展し粘度が大きくなる(最大ではなく最小)。

5✅ コアセルベーション:良溶媒に貧溶媒を混合すると高分子の溶解性が低下し、濃厚相(コアセルベート)と希薄相の2相に分離する現象。マイクロカプセル製造に利用される。

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