🧪 溶出速度とNoyes-Whitney式
| 因子 | 溶出速度への影響 |
|---|---|
| 拡散係数(D) | 比例 |
| 比表面積(A)/粒子径を小さく | 比例(微粉砕で増大) |
| 拡散層の厚さ(h) | 反比例 |
| 溶解度(Cs) | 比例 |
| バルク中濃度(C) | 差が大きいほど速い |
| 影響する因子 | 影響しない因子 |
|---|---|
| 粒子径(比表面積)・結晶性(多形)・pH・粘度・添加剤 | タンパク結合率 ← 国試頻出 |
⚠️ タンパク結合は溶液中の分布の問題。溶出(固体→液体になる過程)とは無関係
弱電解質薬物の溶解性とpH
| 薬物の種類 | 溶解度が高くなるpH | 理由 |
|---|---|---|
| 弱酸性薬物(アスピリン等) | 塩基性(pH高)で↑ | イオン形(A⁻)が増加 |
| 弱塩基性薬物(テオフィリン等) | 酸性(pH低)で↑ | イオン形(BH⁺)が増加 |
✅ 「弱酸+塩基性→溶解度↑」「弱塩基+酸性→溶解度↑」
🫧 表面張力と界面現象
表面張力の測定法
| 測定法 | 原理・特徴 |
|---|---|
| 滴重法 | 液滴が落下する瞬間の重力=表面張力から算出 ← 国試頻出 |
| 毛管上昇法 | 毛管内の液体上昇高さから算出 |
| 円環法(Du Noüy法) | 液面から白金リングを引き上げる力を測定 |
| Wilhelmyプレート法 | 白金プレートを液面に接触させる力を測定 |
⚠️ 「沈降法」は粒子径測定法であり、表面張力の測定法ではない
界面活性剤とHLB値
- CMC(臨界ミセル濃度)以上でミセルを形成 → 疎水性薬物の可溶化に利用
- HLB値(Hydrophilic-Lipophilic Balance):乳化剤選択の指標
| HLB値 | 用途 |
|---|---|
| 1〜3 | 消泡剤 |
| 4〜6 | W/O型乳化剤 |
| 8〜16 | O/W型乳化剤 |
| 13〜16 | 可溶化剤 |
ぬれの種類
| 種類 | 内容 |
|---|---|
| 浸透ぬれ | 液体が細孔・微細間隙に浸入(錠剤崩壊のメカニズム) |
| 拡張ぬれ | 固体表面に液体が広がる |
| 付着ぬれ | 気固界面が液固界面に置き換わる(接触角で評価) |
✅ 接触角(θ)が小さいほどぬれやすい。θ=0°:完全ぬれ
💊 包接複合体とシクロデキストリン
| 種類 | グルコース数 | 空洞径 | 用途 |
|---|---|---|---|
| α-CyD | 6 | 小 | 小さい疎水性分子(アルプロスタジル等) |
| β-CyD | 7 | 中 | 医薬品で最もよく使われる |
| γ-CyD | 8 | 大 | 大きい分子(ステロイドなど) |
包接の効果:
| 効果 | 機序 |
|---|---|
| 溶解度↑ | 親水性外殻が水に溶解 |
| 加水分解安定化 | 疎水性空洞内で水と接触しにくい |
| 光分解防止 | 外殻が紫外線を遮断 |
| 揮発・臭気抑制 | 揮発性物質を封入 |
✅ CyDへの包接はpHによって安定化効果が変化しない(物理的保護のため)
🧱 コロイドと分散系
| 分類 | 分散粒子径 | 例 |
|---|---|---|
| 真溶液 | < 1 nm | 塩化ナトリウム水溶液 |
| コロイド分散系 | 1〜1000 nm | ミセル・タンパク質溶液 |
| 粗分散系(懸濁液・乳剤) | > 1000 nm | 懸濁液・乳剤 |
ゼータ電位と安定性
| ゼータ電位の絶対値 | 分散状態 |
|---|---|
| > 30 mV | 安定分散 |
| 10〜30 mV | やや安定 |
| ≈ 0(等電点) | 凝集しやすい(不安定) |
⚠️ 電解質(塩)添加→電気二重層を圧縮→ゼータ電位絶対値低下→分散性低下(凝集)
分散系の分類
| 分散系 | 分散相 | 分散媒 | 例 |
|---|---|---|---|
| サスペンション(懸濁液) | 固体 | 液体 | 抗菌薬懸濁液 |
| エマルション(乳剤) | 液体 | 液体 | O/W型・W/O型乳剤 |
| エアゾール | 液体または固体 | 気体 | 吸入薬 |
| フォーム(泡沫) | 気体 | 液体 | ムース・泡状製剤 |
🌀 レオロジー(流動性の分類)
| 流動型 | 特徴 | 代表例 |
|---|---|---|
| ニュートン流動 | 粘度一定 | グリセリン・ヒマシ油・水 |
| 擬塑性流動 | 高速ほど粘度低下(剪断稀化) | カルメロースナトリウム・CMC溶液・ゲル |
| ダイラタント流動 | 高速ほど粘度増加(剪断濃化) | デンプン濃厚水性懸濁液・片栗粉水溶液 |
| プラスチック流動(ビンガム) | 降伏値以上で流動 | チンク油・歯磨き粉 |
| チキソトロピー | 時間とともに粘度低下・回復 | 一部のゲル |
✅ ダイラタント流動=撹拌すると固化する。片栗粉水溶液が代表例
🔬 粉体の性質
クーロン式(せん断試験)
| 変数 | 意味 |
|---|---|
| τ(せん断応力) | 粉体が動き出す力 |
| σ(垂直応力) | 粉体に加える垂直方向の力 |
| μ(傾き) | 内部摩擦係数(粒子間の摩擦) |
| C(切片) | 付着力(粒子間の引力) |
粉体流動性の指標
| 指標 | 流動性良い | 流動性悪い |
|---|---|---|
| 安息角 | 30°以下 | 45°以上 |
| かさ密度 | 大きい ← 流動性良い | 小さい |
| かさ比容積 | 小さい | 大きい |
| 内部摩擦係数μ | 小さい | 大きい |
| 付着力C | 小さい | 大きい |
| 圧縮率(Carr's index) | 10%以下 | 25%以上 |
✅ かさ密度↑ = かさ比容積↓ → 流動性改善
粒子径の種類
| 名称 | 定義 |
|---|---|
| フェレット径 | 投影像を2本平行線で挟んだ長さ |
| マーチン径 | 投影面積を二等分する弦の長さ |
| 相当径(ヘイウッド径) | 同面積の円の直径 |
粘弾性モデル(マックスウェル・フォークト)
| モデル | 配置 | 特徴 |
|---|---|---|
| マックスウェルモデル | スプリング直列ダッシュポット | 応力緩和(一定ひずみ→応力が時間とともに減衰) |
| フォークトモデル | スプリング並列ダッシュポット | クリープ(一定応力→ひずみが時間とともに増加して一定値に漸近) |
🏭 溶解性改善法
| 方法 | 代表的な添加剤 |
|---|---|
| 固体分散体 | HPMC・PVP・ポリエチレングリコール |
| 可溶性塩形成 | 酸(塩酸)・塩基(エチレンジアミン・メグルミン) |
| ミセル可溶化 | HCO-60・ポリソルベート80・ラウリル硫酸Na |
| コソルベンシー | エタノール・プロピレングリコール・PEG400 |
| シクロデキストリン包接 | α/β/γ-CyD |
ガラス転移点(Tg)
比容積(mL/g)
| ← 液体(過冷却液体)
| ↗(傾き大)
Tg |--(転折点)← ガラス転移点
| ↗(傾き小)← ガラス状態
|
―――――――→ 温度
⚠️ Tg以上では分子運動活発→再結晶化・分解が起きやすい。固体分散体はTgを高く保つことが安定性に重要
📋 国試頻出まとめ
| # | テーマ | ポイント |
|---|---|---|
| 1 | Noyes-Whitney式 | 比表面積・拡散係数・溶解度↑ / 粘度・膜厚↑で溶出速度↓。タンパク結合率は影響しない |
| 2 | 弱電解質の溶解度 | 弱酸→塩基性で↑。弱塩基→酸性で↑(Henderson-Hasselbalch) |
| 3 | 表面張力測定 | 滴重法が代表(沈降法は粒子径測定で表面張力は非対応) |
| 4 | HLB値 | 4〜6→W/O乳化。8〜16→O/W乳化。13〜16→可溶化剤 |
| 5 | シクロデキストリン | β-CyD(7糖)が最多。包接で溶解度・安定性↑。pH非依存性 |
| 6 | コロイド粒子径 | 1〜1000 nm。ゼータ電位≈0(等電点)で最も凝集しやすい |
| 7 | レオロジー | ダイラタント=デンプン濃厚懸濁液。チンク油=プラスチック流動 |
| 8 | 粉体流動性 | かさ密度↑・安息角↓・圧縮率↓が良い流動性。造粒・滑沢剤で改善 |
| 9 | 粘弾性モデル | マックスウェル(直列)=応力緩和。フォークト(並列)=クリープ |
| 10 | 溶解性改善 | 固体分散体:HPMC・PVP。ミセル:HCO-60。コソルベンシー:エタノール |
📝 国試過去問チェック
第109回 問48(必須)
経口固形製剤からの弱電解質薬物の溶出性に影響を及ぼさない因子はどれか。1つ選べ。
- 薬物の粒子径
- 薬物の結晶性
- タンパク結合率
- 溶液のpH
- 溶液の粘度
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正答:3
1✗ 粒子径↓→比表面積↑→溶出速度↑(Noyes-Whitney式のA)。影響あり。
2✗ 結晶性(多形)は溶解速度に影響あり(無定形は溶解速度大)。
3○ タンパク結合率→溶出性に影響しない。タンパク結合は溶液中での薬物の分布の問題であり、固体→液体に溶ける溶出過程とは無関係。
4✗ 弱電解質薬物はpH依存的に溶解度が変わる(Henderson-Hasselbalch)。影響あり。
5✗ 粘度↑→拡散係数D低下→溶出速度↓(Noyes-Whitney式のD)。影響あり。
第109回 問49(必須)
液体の表面張力を測定する方法はどれか。1つ選べ。
- 溶解度法
- 沈降法
- 吸着法
- 滴重法
- 反応速度法
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正答:4
1✗ 溶解度法→薬物の溶解度測定。
2✗ 沈降法(アンドレアゼンピペット等)→粒子径測定。表面張力測定ではない。
3✗ 吸着法(BET法)→比表面積測定。
4○ 滴重法→ノズルから液体を滴下し、液滴が落下する直前の重力(mg)=表面張力×ノズル周長から表面張力を算出。
5✗ 反応速度法→化学反応の速さを測定。
第108回 問50(必須)
ダイラタント流動を示すのはどれか。1つ選べ。
- カルメロースナトリウム溶液
- チンク油
- グリセリン
- デンプン濃厚水性懸濁液
- ヒマシ油
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正答:4
1✗ カルメロースナトリウム溶液→擬塑性流動(高速で粘度低下)。
2✗ チンク油→プラスチック流動(ビンガム流動)(降伏値あり)。
3✗ グリセリン→ニュートン流動(粘度一定)。
4○ デンプン濃厚水性懸濁液→ダイラタント流動(高速ほど粘度増加=剪断濃化)。片栗粉水溶液が代表例。撹拌すると固化する。
5✗ ヒマシ油→ニュートン流動(粘度一定)。
第107回 問49(必須)
粉体の流動性を改善するために、大きくすべき物性値はどれか。1つ選べ。
- かさ比容積
- 安息角
- かさ密度
- 内部摩擦係数
- 空隙率
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正答:3
1✗ かさ比容積↑→粒子が疎に充填→流動性悪化(かさ比容積=1/かさ密度)。
2✗ 安息角↑→斜面を流れにくい→流動性悪化(良い流動性は安息角30°以下)。
3○ かさ密度↑→粒子が密に充填→流動性改善。かさ密度↑=かさ比容積↓。
4✗ 内部摩擦係数↑→粒子間摩擦↑→流動性悪化。
5✗ 空隙率↑→粒子間隙間↑→流動性悪化(密充填が良い)。
第109回 問179(理論)
粉体AおよびBのせん断試験(τ=μσ+C)の結果(グラフの傾きμ、切片C)に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。
(グラフ:傾きμはAがBより大きい)
- 粉体Aは粉体Bよりも安息角が大きい
- 粉体Aを造粒するとグラフの傾きが大きくなる
- 粉体Bは粉体Aよりも付着力が強い
- 粉体Bに滑沢剤を適量添加すると内部摩擦係数が大きくなる
- 粉体Bは粉体Aよりもオリフィスからの流出速度が大きい
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正答:1・5
1○ 安息角はμ(内部摩擦係数=傾き)で決まる。AのμがBより大きい→安息角はAが大きい。
2✗ 造粒→粒子径↑→比表面積↓→付着力(C、切片)が低下。傾き(μ)が大きくなるわけではない。
3✗ Y切片C=付着力。グラフ上でAとBの切片(C)に有意差はなく、付着力に差はない。
4✗ 滑沢剤添加→粒子間摩擦↓→μ(内部摩擦係数)は小さくなる。
5○ BはAよりμ(傾き)が小さい→内部摩擦が低い→流動性良い→オリフィスからの流出速度大。
