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国試頻出!生理学まとめ:神経・筋肉|活動電位・シナプス伝達・筋収縮を完全整理

📅 2026年5月15日🔄 更新: 2026年5月16日
📖 この記事でわかること
  • 静止膜電位の維持機構と活動電位の各フェーズ(脱分極・再分極・過分極)を説明できる
  • A線維・C線維など神経線維の種類と伝導速度・機能を区別できる
  • 神経筋接合部の伝達機構と作用する薬物(ロクロニウム・ボツリヌス毒素・ネオスチグミン)を説明できる
  • 骨格筋の収縮機構(Ca²⁺-トロポニン経路)と平滑筋(カルモジュリン経路)の違いを区別できる
  • 重症筋無力症とイートン・ランバート症候群の自己抗体と症状の違いを説明できる
目次
  1. 1.活動電位の発生機構
  2. 静止膜電位
  3. 活動電位の流れ
  4. 不応期
  5. 2.神経線維の分類
  6. 3.シナプス伝達
  7. 主な神経伝達物質
  8. 4.神経筋接合部(運動終板)
  9. 神経筋接合部に作用する薬物
  10. 5.骨格筋の収縮機構
  11. 骨格筋 vs 平滑筋のCa²⁺制御
  12. 6.重症筋無力症(MG)
  13. 重症筋無力症 vs イートン・ランバート症候群(LEMS)
  14. 7.国試頻出まとめ
  15. 8.国試過去問チェック

⚡ 活動電位の発生機構

静止膜電位

  • 静止時:約 −70mV(細胞内が陰性)
  • 維持因子:**K⁺**が細胞外に流出(K⁺平衡電位)+ Na⁺/K⁺-ATPaseで濃度勾配を維持
  • 細胞内:K⁺高・Na⁺低 / 細胞外:Na⁺高・K⁺低

活動電位の流れ

活動電位の流れ:静止→脱分極→再分極→過分極→回復

フェーズ 主なイオン移動 チャネル状態
脱分極 Na⁺が細胞内へ流入 Naチャネル:活性化(open)
再分極 K⁺が細胞外へ流出 Naチャネル:不活性化・Kチャネル:open
過分極 K⁺流出が続く Kチャネル:徐々に閉鎖

不応期

種類 状態 特徴
絶対不応期 Na⁺チャネル不活性化中 どんな強い刺激でも再興奮しない
相対不応期 過分極からの回復中 閾値より強い刺激なら興奮可能

絶対不応期=Na⁺チャネルが不活性化状態(閉鎖)→活性化できない
⚠️ 局所麻酔薬(リドカイン等)はNa⁺チャネルを遮断→活動電位を阻止


🔗 神経線維の分類

分類 髄鞘 伝導速度 主な機能
あり(厚) 70〜120m/s(最速) 骨格筋への運動・固有感覚
あり 30〜70m/s 触覚・振動覚・圧覚
あり(薄) 5〜30m/s 鋭い(一次)痛み・冷覚
B あり(薄) 3〜15m/s 自律神経節前線維
C なし(無髄) 0.5〜2m/s(最遅) 遅い(二次)痛み・温覚・自律神経節後線維

跳躍伝導:

  • 有髄線維:髄鞘が絶縁体として働き、電流がランビエ絞輪間を跳躍 → 高速
  • 無髄線維(C線維):連続伝導 → 低速

局所麻酔薬は細い線維から順に遮断(C線維 → Aδ線維)
最速=Aα(70〜120m/s)、最遅=C線維(0.5〜2m/s)
⚠️ C線維は無髄(髄鞘なし)→跳躍伝導できない→最も遅い


🔌 シナプス伝達

活動電位が神経終末に到達
    ↓
電位依存性Ca²⁺チャネルが開放 → Ca²⁺が細胞内へ流入
    ↓
Ca²⁺がSNARE複合体(シナプトブレビン・シンタキシン・SNAP-25)を活性化
    ↓
シナプス小胞が細胞膜と融合(エクソサイトーシス)
    ↓
神経伝達物質がシナプス間隙へ放出 → シナプス後膜の受容体に結合
    ↓
EPSP(興奮性:脱分極)またはIPSP(抑制性:過分極)が発生

主な神経伝達物質

伝達物質 合成前駆体 主な受容体 作用
アセチルコリン(ACh) コリン+アセチルCoA mAChR(ムスカリン型)・nAChR(ニコチン型) 副交感・神経筋接合部・自律神経節
ノルアドレナリン(NA) チロシン→DOPA→DA→NA α・β受容体 交感神経節後線維
ドパミン(DA) チロシン→DOPA→DA D₁〜D₅受容体 報酬系・運動制御(黒質線条体路)
グルタミン酸 グルタミン AMPA・NMDA 主要な興奮性伝達物質
GABA グルタミン酸→GABA(GAD酵素) GABA_A(Cl⁻チャネル)・GABA_B 主要な抑制性伝達物質

グルタミン酸=主要な興奮性伝達物質、GABA=主要な抑制性伝達物質
⚠️ ボツリヌス毒素はSNAP-25を切断→ACh放出阻害(Ca²⁺チャネルは阻害しない)


💉 神経筋接合部(運動終板)

α運動ニューロンの活動電位が神経終末に到達
    ↓
Ca²⁺流入 → ACh含有シナプス小胞がエクソサイトーシス
    ↓
シナプス間隙にAChが放出
    ↓
骨格筋のニコチン型AChR(NM受容体)にAChが結合
    ↓
Na⁺流入 → 終板電位(EPP)発生 → 筋細胞の活動電位 → 筋収縮

AChの消去:アセチルコリンエステラーゼ(AChE)がシナプス間隙でAChを分解 → コリン+酢酸に戻り再取り込み

神経筋接合部に作用する薬物

薬物 作用機序 効果 用途
スキサメトニウム NM受容体の持続的活性化(脱分極性遮断) 筋弛緩 気管挿管
ロクロニウム・ベクロニウム NM受容体の競合的遮断(非脱分極性) 筋弛緩 手術時筋弛緩
ネオスチグミン AChE阻害 → ACh↑ → NM受容体刺激 筋収縮促進 重症筋無力症・非脱分極性遮断の拮抗
ボツリヌス毒素 SNAP-25切断 → ACh放出阻害 筋麻痺 眼瞼痙攣・過活動膀胱

ロクロニウム=NM受容体の競合的遮断(非脱分極性)
ボツリヌス毒素=SNAP-25切断 → ACh放出阻害
⚠️ ネオスチグミン(AChE阻害)は非脱分極性遮断の拮抗に使う(脱分極性のスキサメトニウムには無効・悪化)


🦴 骨格筋の収縮機構

活動電位 → T管(横行小管)を伝播
    ↓
DHP受容体(電位センサー)が感知
    ↓
筋小胞体(SR)のリアノジン受容体(RyR1)が開放 → Ca²⁺放出
    ↓
トロポニンC(TnC)にCa²⁺が結合
    ↓
トロポミオシンがアクチン上のミオシン結合溝から外れる
    ↓
ミオシン頭部がアクチンに結合(クロスブリッジ形成)
    ↓
ATP加水分解エネルギーで首振り運動(パワーストローク)→ サルコメア短縮

弛緩:Ca²⁺をSERCA(Ca²⁺-ATPase)がSRに再取り込み → TnC離脱 → トロポミオシンが溝を覆う → ミオシン結合不可

収縮してもA帯(ミオシン域)の長さは変わらない(短縮するのはI帯とH帯)
⚠️ ダントロレン=RyR1(リアノジン受容体)を阻害→Ca²⁺放出↓→悪性高熱症の治療

骨格筋 vs 平滑筋のCa²⁺制御

項目 骨格筋 平滑筋
Ca²⁺センサー トロポニンC(TnC) カルモジュリン(CaM)
制御機構 TnC→トロポミオシン移動 CaM→MLCK(ミオシン軽鎖キナーゼ)→ミオシンリン酸化
トロポニン あり なし

平滑筋にはトロポニンがない→カルモジュリン-MLCK経路でミオシンをリン酸化
骨格筋はトロポニンC-トロポミオシン経路


🏥 重症筋無力症(MG)

病態:
AChR(NM受容体)に対する自己抗体(IgG)が産生される
    ↓
終板のAChR数↓・補体による終板破壊
    ↓
神経筋接合部での興奮伝達が障害
    ↓
骨格筋の筋力低下・易疲労性(反復で悪化)

重症筋無力症 vs イートン・ランバート症候群(LEMS)

重症筋無力症(MG) LEMS
自己抗体 AChR(NM受容体) VGCC(電位依存性Ca²⁺チャネル)
症状の特徴 反復で悪化(易疲労性) 反復で一時改善(促通現象)
関連疾患 胸腺腫 小細胞肺がん(傍腫瘍症候群)

MGの治療:

  • ピリドスチグミン(AChE阻害):AChを増やして受容体結合↑
  • 副腎皮質ステロイド・免疫抑制薬:自己抗体産生↓
  • 胸腺摘出術(胸腺腫合併例)

MG=AChR自己抗体・反復で悪化
LEMS=VGCC自己抗体・反復で一時改善・小細胞肺がんに合併
⚠️ ギラン・バレー症候群は末梢神経ミエリンへの自己抗体(MG・LEMSとは別疾患)


📋 国試頻出まとめ

# ポイント 内容
1 絶対不応期 Na⁺チャネルが不活性化→どんな刺激でも再興奮しない
2 最速の神経線維 Aα線維(70〜120m/s・有髄・骨格筋運動)
3 最遅の神経線維 C線維(0.5〜2m/s・無髄・遅い痛み・温覚)
4 局所麻酔の遮断順序 C線維 → Aδ線維(細い線維から順に遮断)
5 ボツリヌス毒素 SNAP-25切断 → ACh放出阻害
6 ロクロニウム NM受容体の競合的遮断(非脱分極性)
7 ネオスチグミン AChE阻害 → ACh↑(非脱分極性遮断の拮抗)
8 骨格筋Ca²⁺センサー トロポニンC(TnC)
9 平滑筋Ca²⁺センサー カルモジュリン(CaM)→MLCK
10 MG vs LEMS MG=AChR抗体・反復で悪化、LEMS=VGCC抗体・反復で改善

📝 国試過去問チェック

第110回薬剤師国家試験 問29(必須)

ロクロニウムの筋弛緩作用に関わる作用点はどれか。1つ選べ。

  1. アセチルコリンNM受容体 2. 電位依存性Na⁺チャネル 3. リアノジン受容体 4. コリンアセチルトランスフェラーゼ 5. コリンエステラーゼ
解答と解説を見る

正解:1. アセチルコリンNM受容体

1○ ロクロニウムは非脱分極性筋弛緩薬。骨格筋神経筋接合部のニコチン型AChR(NM受容体)をAChと競合的に遮断し、終板電位の発生を阻止して筋弛緩を起こす。正しい。

2✗ 電位依存性Na⁺チャネルの遮断は局所麻酔薬(リドカイン等)・抗不整脈薬の作用点。活動電位の発生を阻止する。

3✗ リアノジン受容体(RyR1)は筋小胞体からのCa²⁺放出チャネル。これを阻害するのはダントロレン(悪性高熱症の治療薬)。

4✗ コリンアセチルトランスフェラーゼ(ChAT)はACh合成酵素。これを阻害する臨床薬は現在なし。

5✗ コリンエステラーゼ(AChE)はAChを分解する酵素。これを阻害するのはネオスチグミン・ピリドスチグミン(筋収縮を増強する)。


第109回薬剤師国家試験 問56(必須)

神経筋接合部のアセチルコリン受容体に対する自己抗体が産生されることにより、筋力低下をきたす自己免疫疾患はどれか。1つ選べ。

  1. イートン・ランバート症候群 2. 重症筋無力症 3. ギラン・バレー症候群 4. 進行性筋ジストロフィー 5. 筋萎縮性側索硬化症
解答と解説を見る

正解:2. 重症筋無力症

2○ 重症筋無力症(MG)はNM受容体(ニコチン型AChR)に対するIgG自己抗体が産生され、受容体数の減少と終板の破壊が起こり神経筋伝達が障害される。反復運動で症状が悪化する易疲労性が特徴。正しい。

1✗ イートン・ランバート症候群(LEMS)は電位依存性Ca²⁺チャネル(VGCC)への自己抗体が原因。小細胞肺がんに合併(傍腫瘍症候群)することが多く、反復刺激で症状が一時改善(促通現象)する点でMGと異なる。

3✗ ギラン・バレー症候群は末梢神経のミエリンや軸索に対する自己免疫性疾患(急性炎症性脱髄性多発神経炎)。AChR自己抗体とは無関係。

4✗ 進行性筋ジストロフィー(デュシェンヌ型等)はジストロフィン遺伝子変異による遺伝性疾患。自己免疫とは無関係。

5✗ 筋萎縮性側索硬化症(ALS)は上位・下位運動ニューロンが変性する神経変性疾患。自己抗体による疾患ではない。


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