🗂️ 受容体の大分類
| 種類 | 別名 | 主な例 |
|---|---|---|
| Gタンパク質共役型受容体 | GPCR・7回膜貫通型 | アドレナリン受容体・ムスカリン受容体 |
| イオンチャネル型受容体 | 配位子依存性イオンチャネル | GABA_A受容体・ニコチン受容体 |
| 酵素型受容体 | チロシンキナーゼ型など | インスリン受容体・成長因子受容体 |
| 核内受容体 | 転写因子型 | ステロイドホルモン受容体・レチノイン酸受容体 |
国試では特にGPCRのサブタイプ(Gs・Gi・Gq)が頻出
GABA_A受容体とインスリン受容体はGPCRではない(イオンチャネル型・酵素型)
📡 Gタンパク質共役型受容体(GPCR)
Gs型(cAMP↑)
Gs共役受容体が活性化
↓
GsがGTPと結合(GDP→GTP交換)→ アデニル酸シクラーゼ(AC)を活性化
↓
ATP → cAMP↑
↓
プロテインキナーゼA(PKA)が活性化
↓
Ser/Thr残基のリン酸化 → 細胞応答
| 受容体 | 場所・作用 |
|---|---|
| アドレナリン β₁受容体 | 心臓:心拍数・収縮力↑ |
| アドレナリン β₂受容体 | 気管支平滑筋弛緩・子宮弛緩 |
| ヒスタミン H₂受容体 | 胃壁細胞:胃酸分泌↑ |
Gi型(cAMP↓)
Gi共役受容体が活性化
↓
GiがGTPと結合 → アデニル酸シクラーゼ(AC)を抑制
↓
cAMP↓ → PKA活性低下
↓
M₂受容体の場合:Kチャネル開口→K⁺流出→過分極→心拍数↓
| 受容体 | 場所・作用 |
|---|---|
| アドレナリン α₂受容体 | ノルアドレナリン放出抑制(シナプス前) |
| アセチルコリン M₂受容体 | 心臓:心拍数↓(K⁺チャネル開口も) |
| オピオイド μ・δ・κ受容体 | 鎮痛・呼吸抑制 |
| ドパミン D₂受容体 | 線条体:運動制御 |
Gq型(Ca²⁺↑)
Gq共役受容体が活性化
↓
GqがGTPと結合 → ホスホリパーゼC-β(PLC-β)を活性化
↓
PIP₂(ホスファチジルイノシトール4,5-二リン酸)を分解
↓
┌── IP₃(水溶性)→ 小胞体のIP₃受容体に結合 → Ca²⁺放出
└── DAG(脂溶性)→ プロテインキナーゼC(PKC)を活性化
↓
Ser/Thr残基のリン酸化 → 細胞応答
| 受容体 | 場所・作用 |
|---|---|
| アドレナリン α₁受容体 | 血管収縮・瞳孔散大・子宮収縮 |
| アセチルコリン M₁・M₃受容体 | 腺分泌↑・平滑筋収縮 |
| ヒスタミン H₁受容体 | 気管支収縮・血管拡張・かゆみ |
| アンジオテンシンII AT₁受容体 | 血管収縮・アルドステロン分泌 |
Gq→PLC-β→PIP₂→IP₃(Ca²⁺放出)+DAG(PKC活性化)
GqはGTPを加水分解(ATPではない)
脂溶性セカンドメッセンジャー=DAG(アラキドン酸ではない)
PKCはSer/Thrキナーゼ(チロシン残基をリン酸化するのはRTK)
Gタンパク質サブタイプの比較
| Gタンパク質 | エフェクター | セカンドメッセンジャー | 代表的受容体 |
|---|---|---|---|
| Gs | アデニル酸シクラーゼ(AC)↑ | cAMP↑ → PKA活性化 | β₁・β₂受容体、H₂受容体 |
| Gi | AC↓ | cAMP↓ | α₂受容体、M₂受容体、オピオイドμ受容体 |
| Gq | PLC-β↑ | IP₃(Ca²⁺↑)+DAG(PKC↑) | α₁受容体、M₁・M₃受容体、H₁受容体 |
イオンチャネル型受容体
リガンドが結合すると直接イオンチャネルが開く、最も速い受容体。
| 受容体 | 透過するイオン | 作用 |
|---|---|---|
| GABA_A受容体 | Cl⁻(流入) | 過分極→抑制 |
| ニコチン性AChR(nAChR) | Na⁺・Ca²⁺(流入) | 脱分極→興奮 |
| グルタミン酸 NMDA受容体 | Na⁺・Ca²⁺(流入) | 興奮・シナプス可塑性 |
GABA_A受容体への結合部位と薬物:
GABA結合部位
← GABA(内因性リガンド)→ Cl⁻チャネル開口
ベンゾジアゼピン結合部位(GABA存在下でのみ有効)
← ミダゾラム・ジアゼパム → Cl⁻チャネルの開口頻度↑
バルビツール酸結合部位
← チオペンタール → Cl⁻チャネルの開口時間↑
ベンゾジアゼピン=開口頻度↑、バルビツール酸=開口時間↑
GABA_A受容体はGPCRではない(イオンチャネル型)
酵素型・サイトカイン受容体型
インスリン受容体(チロシンキナーゼ型):
インスリン結合 → 受容体のβサブユニットが二量体化
↓
βサブユニットの自己リン酸化(チロシン残基)
↓
IRS-1(インスリン受容体基質)のリン酸化
↓
PI3K → PIP₃ → PDK1 → Akt(PKB)活性化
↓
GLUT4の細胞膜移行 → グルコース取り込み↑
JAK-STAT経路(サイトカイン受容体型):
サイトカイン(IFN-α・EPO等)が受容体に結合 → 受容体が二量体化
↓
受容体に結合したJAKが活性化(受容体自体にキナーゼ活性なし)
↓
JAKがSTATをリン酸化(チロシン残基)
↓
STATが二量体化 → 核内移行 → 遺伝子発現調節
ANP受容体(膜結合型グアニル酸シクラーゼ型):
ANP(心房性ナトリウム利尿ペプチド)が結合
↓
受容体内蔵の膜結合型グアニル酸シクラーゼが活性化
↓
GTP → cGMP↑ → PKG活性化 → Na⁺排泄↑・血圧↓
| 受容体 | 型 | 特徴 |
|---|---|---|
| インスリン受容体 | チロシンキナーゼ型 | インスリン結合→βサブユニットの自己リン酸化 |
| IFN-α受容体・EPO受容体 | サイトカイン受容体型(JAK-STAT) | 受容体自体にキナーゼ活性なし→結合したJAKが活性化 |
| ANP受容体 | 膜結合型グアニル酸シクラーゼ型 | cGMP↑→PKG活性化→血圧↓ |
インスリン受容体=チロシンキナーゼ型(Gタンパク質を介さない)
ANP受容体=膜結合型グアニル酸シクラーゼ(可溶性グアニル酸シクラーゼ=NOの受容体)
JAK-STAT経路では受容体自体にキナーゼ活性がない(結合したJAKが担う)
📊 受容体分類 早見表
| 受容体 | Gタンパク質型 | 細胞内シグナル |
|---|---|---|
| α₁(アドレナリン) | Gq | PLC↑→IP₃↑・Ca²⁺↑・DAG↑・PKC↑ |
| α₂(アドレナリン) | Gi | cAMP↓ |
| β₁・β₂(アドレナリン) | Gs | cAMP↑→PKA↑ |
| M₁・M₃(ムスカリン) | Gq | PLC↑→IP₃↑・Ca²⁺↑ |
| M₂(ムスカリン) | Gi | cAMP↓・K⁺チャネル開口↑ |
| H₁(ヒスタミン) | Gq | PLC↑→IP₃↑・Ca²⁺↑ |
| H₂(ヒスタミン) | Gs | cAMP↑→胃酸分泌↑ |
| GABA_A | イオンチャネル型 | Cl⁻流入→過分極 |
| nAChR(ニコチン) | イオンチャネル型 | Na⁺・Ca²⁺流入→脱分極 |
| インスリン受容体 | 酵素型(チロシンキナーゼ) | βサブユニット自己リン酸化 |
| ANP受容体 | 酵素型(グアニル酸シクラーゼ) | cGMP↑ |
H₁=Gq(気管支収縮・かゆみ)、H₂=Gs(胃酸分泌)
M₂=Gi(心拍数↓)、M₁・M₃=Gq(腺分泌・平滑筋収縮)
国試頻出まとめ
| # | ポイント | 内容 |
|---|---|---|
| 1 | Gs受容体 | β₁・β₂・H₂ → cAMP↑ → PKA活性化 |
| 2 | Gi受容体 | α₂・M₂・オピオイドμ → cAMP↓ |
| 3 | Gq受容体 | α₁・M₁・M₃・H₁・AT₁ → IP₃↑・Ca²⁺↑・DAG↑ |
| 4 | GqはGTPを加水分解(ATPではない) | Gタンパク質共通の特徴 |
| 5 | 脂溶性セカンドメッセンジャー | DAG(アラキドン酸ではない) |
| 6 | PKCのリン酸化対象 | Ser/Thr残基(チロシン残基はRTK) |
| 7 | ベンゾジアゼピン | GABA_A受容体の開口頻度↑ |
| 8 | バルビツール酸 | GABA_A受容体の開口時間↑ |
| 9 | ANP受容体 | 膜結合型グアニル酸シクラーゼ(cGMP↑) |
| 10 | JAK-STAT | 受容体自体にキナーゼ活性なし→結合したJAKが活性化 |
📝 国試過去問チェック
第111回薬剤師国家試験 問26(必須)
Giタンパク質共役型受容体はどれか。1つ選べ。
- アドレナリン α₂受容体 2. アセチルコリン M₃受容体 3. γ-アミノ酪酸 GABA_A受容体 4. ヒスタミン H₂受容体 5. インスリン受容体
解答と解説を見る
正解:1. アドレナリン α₂受容体
1○ α₂受容体はGi共役型→アデニル酸シクラーゼ抑制→cAMP↓。シナプス前膜ではノルアドレナリン放出を自己抑制する。正しい。
2✗ M₃受容体はGq共役型→PLC↑→IP₃↑・Ca²⁺↑(腺分泌・平滑筋収縮)。GiではなくGq。
3✗ GABA_A受容体はイオンチャネル型受容体(Cl⁻チャネル)。GPCRではない。
4✗ H₂受容体はGs共役型→cAMP↑→PKA活性化→胃壁細胞の胃酸分泌↑。GiではなくGs。
5✗ インスリン受容体は酵素型(チロシンキナーゼ型)。GPCRではなく、βサブユニットが自己リン酸化する。
第111回薬剤師国家試験 問120(一般)
Gqタンパク質共役型受容体が活性化されたとき、正しいのはどれか。2つ選べ。
- GqタンパクはATPを加水分解する
- エフェクター酵素はホスホリパーゼCである
- セカンドメッセンジャー(脂溶性)はアラキドン酸である
- セカンドメッセンジャー(IP₃)は小胞体からCa²⁺を放出させる
- PKCは基質のチロシン残基をリン酸化する
解答と解説を見る
正解:2、4
2○ Gq共役受容体の下流エフェクター酵素はホスホリパーゼC-β(PLC-β)。PIP₂をDAGとIP₃に分解する。正しい。
4○ IP₃(水溶性セカンドメッセンジャー)は小胞体のIP₃受容体に結合し、小胞体内のCa²⁺を細胞質へ放出させる。正しい。
1✗ Gタンパク質のαサブユニットはGTPを加水分解(GTPase活性)してGDPに変換する。ATPではない。
3✗ 脂溶性セカンドメッセンジャーはDAG(ジアシルグリセロール)。アラキドン酸はDAGからジアシルグリセロールリパーゼ(またはPLA₂)によって別途産生される代謝産物であり、直接のセカンドメッセンジャーではない。
5✗ PKC(プロテインキナーゼC)はSer/Thrキナーゼ(セリン・スレオニン残基をリン酸化)。チロシン残基をリン酸化するのは受容体型チロシンキナーゼ(RTK)。
第107回薬剤師国家試験 問151(一般)
細胞内情報伝達系に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。
- ヒスタミンH₁受容体が刺激されると、GsタンパクでACが活性化される
- インスリン受容体が刺激されると、インスリン受容体βサブユニットの自己リン酸化が起こる
- IFN-α受容体が刺激されると、JAKのチロシンキナーゼが活性化される
- オピオイドμ受容体が刺激されると、GqでホスホリパーゼCが活性化される
- ANP受容体が刺激されると、可溶性グアニル酸シクラーゼが活性化される
解答と解説を見る
正解:2、3
2○ インスリン受容体はチロシンキナーゼ型受容体。インスリン結合→受容体βサブユニットが二量体化→チロシン残基の自己リン酸化→IRS-1のリン酸化→PI3K/Akt経路→GLUT4移行→グルコース取り込み↑。正しい。
3○ IFN-α受容体はサイトカイン受容体型(受容体自体にキナーゼ活性なし)。IFN-α結合→受容体に結合しているJAK1・TYK2が活性化→STATをリン酸化→STAT二量体が核内移行→抗ウイルス遺伝子の発現↑。正しい。
1✗ H₁受容体はGq共役型→PLC-β活性化→IP₃・DAG産生→Ca²⁺上昇・PKC活性化。GsではなくGq。
4✗ オピオイドμ受容体はGi共役型→アデニル酸シクラーゼ抑制→cAMP↓。GqではなくGi。
5✗ ANP受容体は膜結合型グアニル酸シクラーゼ(受容体自体がグアニル酸シクラーゼ活性を持つ)。可溶性グアニル酸シクラーゼを活性化するのはNO(一酸化窒素)。
