🫁 気管支喘息の治療
喘息の病態: 気道の慢性炎症 → 気道過敏性↑ → 気道攣縮・狭窄
【β₂刺激薬(SABA・LABA)の作用機序】
β₂受容体を刺激
↓
Gs(刺激性Gタンパク)→ アデニル酸シクラーゼ↑
↓
cAMP↑ → PKA(プロテインキナーゼA)活性化
↓
気道平滑筋弛緩
↓
気管支拡張
SABA(短時間型):サルブタモール・テルブタリン → 発作時即効
LABA(長時間型):サルメテロール・ホルモテロール → 長時間維持(ICSとの配合剤)
【LAMA(長時間作用型抗コリン薬)の作用機序】
M(ムスカリン)受容体を遮断
↓
気道平滑筋の収縮シグナル↓
↓
気管支拡張(COPDに特に有効)
【テオフィリンの作用機序】
ホスホジエステラーゼ(PDE)を阻害
↓
cAMPの分解↓ → cAMP↑
↓
気道平滑筋弛緩 → 気管支拡張
(治療域が狭い → TDM必要)
【ロイコトリエン受容体拮抗薬(LTRA)の作用機序】
アレルゲン → 肥満細胞からLTC₄・LTD₄・LTE₄放出
↓
通常:LT受容体に結合 → 気道炎症・攣縮
↓ ← LTRA(モンテルカスト・プランルカスト)でブロック
LT受容体を遮断 → 気道炎症・攣縮↓
| 分類 | 薬剤例 | 作用機序 |
|---|---|---|
| 吸入ステロイド薬(ICS) | フルチカゾン・ブデソニド | 気道炎症を抑制(長期管理の第一選択) |
| SABA(短時間作用型β₂刺激薬) | サルブタモール・テルブタリン | β₂受容体刺激 → 気管支拡張(発作時即効) |
| LABA(長時間作用型β₂刺激薬) | サルメテロール・ホルモテロール | β₂受容体刺激 → 気管支拡張(長時間維持) |
| LAMA(長時間作用型抗コリン薬) | チオトロピウム・グリコピロニウム | M受容体遮断 → 気管支拡張(COPDに特に有効) |
| テオフィリン | テオフィリン徐放製剤 | PDE阻害 → cAMP↑ → 気管支拡張 |
| LTRA(ロイコトリエン受容体拮抗薬) | モンテルカスト・プランルカスト | LTC₄/LTD₄/LTE₄受容体を遮断 → 気道炎症・攣縮↓ |
| 抗IgE抗体 | オマリズマブ | IgEに結合 → 肥満細胞からのヒスタミン放出↓ |
| 抗IL-5抗体 | メポリズマブ | IL-5を阻害 → 好酸球性炎症↓ |
| 抗IL-4/IL-13抗体 | デュピルマブ | 2型炎症↓ |
✅ ICSとLABAは配合剤として使用されることが多い(フルチカゾン/サルメテロール、ブデソニド/ホルモテロール等)
🌬️ COPD(慢性閉塞性肺疾患)の治療
COPDの病態
タバコ煙などによる肺の慢性炎症・気腫
↓
不可逆的な気流制限(喘息と異なりステロイドが効きにくい)
【治療の方針】
LAMAが第一選択(副交感神経遮断→気管支拡張)
↓
不十分な場合
↓
LABA追加 または LAMA+LABA配合剤
↓
増悪を繰り返す場合
↓
ICS追加(喘息合併時)・PDE4阻害薬(ロフルミラスト)
| 治療薬 | 主な薬剤 | 使い分け |
|---|---|---|
| LAMA | チオトロピウム・グリコピロニウム | 第一選択(COPD) |
| LABA | インダカテロール・ビランテロール | 気管支拡張 |
| ICS(+LABA) | フルチカゾン/サルメテロール等 | 増悪予防(喘息合併時) |
| PDE4阻害薬 | ロフルミラスト | 炎症↓(重症COPD) |
✅ COPDにはLAMAが第一選択(喘息はICS+LABAが中心)
🔬 特発性肺線維症(IPF)の治療
IPFの病態
原因不明の慢性炎症 → 肺に線維組織が蓄積
↓
TGF-β・PDGF・VEGF・FGFなどの増殖因子が活性化
↓
線維化が進行 → 肺機能低下
【ピルフェニドンの作用】
TGF-βシグナルを抑制
↓
抗線維化・抗炎症・抗酸化作用
↓
線維化の進行を抑制
【ニンテダニブの作用】
PDGFR・VEGFR・FGFRの
チロシンキナーゼを阻害
↓
増殖因子シグナル↓ → 線維化↓
⚠️ 副作用:光線過敏症 ⚠️ 副作用:下痢・肝障害
| 薬剤 | 作用機序 | 注意点 |
|---|---|---|
| ピルフェニドン | 抗線維化・抗炎症・抗酸化(TGF-β↓) | 光線過敏症 |
| ニンテダニブ | PDGFR・VEGFR・FGFRチロシンキナーゼ阻害 → 線維化↓ | 下痢・肝障害 |
⚠️ ブレオマイシンは肺毒性(肺線維症)を引き起こす抗癌薬 → IPFの治療には使用しない
📋 国試頻出まとめ
| # | ポイント |
|---|---|
| 1 | 喘息長期管理の第一選択:ICS(吸入ステロイド薬)→ 気道炎症を根本から抑制 |
| 2 | β₂刺激薬:β₂→Gs→アデニル酸シクラーゼ→cAMP↑→PKA→平滑筋弛緩→気管支拡張 |
| 3 | SABA(サルブタモール):短時間・即効性→発作時。LABA(サルメテロール):長時間→長期管理 |
| 4 | LAMA(チオトロピウム等):M受容体遮断→気管支拡張。COPDの第一選択 |
| 5 | テオフィリン:PDE阻害→cAMP↑→気管支拡張。治療域が狭い→TDM必要 |
| 6 | LTRA(モンテルカスト・プランルカスト):LTC₄/LTD₄/LTE₄受容体遮断→気道炎症・攣縮↓ |
| 7 | オマリズマブ(抗IgE抗体):IgEに結合→肥満細胞からのヒスタミン放出↓→アレルギー性喘息 |
| 8 | COPDはLAMAが第一選択。ステロイドは喘息合併時のみ追加(COPDには効きにくい) |
| 9 | ピルフェニドン(IPF):TGF-β抑制→抗線維化。副作用:光線過敏症 |
| 10 | ニンテダニブ(IPF):PDGFR・VEGFR・FGFRチロシンキナーゼ阻害→線維化↓。ブレオマイシンは肺毒性のためIPF禁忌 |
📝 国試過去問チェック
第110回 問67(必須問題)
特発性肺線維症の治療に用いられるのはどれか。1つ選べ。
1. アベマシクリブ
2. インターフェロン アルファ
3. ゲフィチニブ
4. ピルフェニドン
5. ブレオマイシン
解答と解説を見る
正解:4
4○ ピルフェニドンは抗線維化薬でIPFの治療薬。TGF-βシグナル抑制→線維化↓。
1✗ アベマシクリブはCDK4/6阻害→乳がん治療薬。
2✗ IFN-αは肝炎・悪性腫瘍治療薬。
3✗ ゲフィチニブはEGFR阻害→肺がん(非小細胞)治療薬。
5✗ ブレオマイシンは**肺毒性(肺線維症)**を引き起こす副作用があるため使用不可。
