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【薬剤師国試対策】熱力学・化学平衡を徹底整理|ギブズエネルギー・ルシャトリエの原理・平衡定数

📅 2026年5月19日🔄 更新: 2026年5月19日
📖 この記事でわかること
  • 熱力学第一・第二法則を言葉で説明できる
  • 「開いた系」「閉じた系」「孤立系」の違いを区別できる
  • 状態関数と経路関数、示量性と示強性を区別できる
  • ΔG = ΔH − TΔS から反応の自発性を判定できる
  • ルシャトリエの原理を使って平衡移動の方向を予測できる
目次
  1. 1.系の種類
  2. 2.熱力学の基本法則
  3. 第一法則(エネルギー保存則)
  4. 第二法則(エントロピー増大則)
  5. 3.状態関数と経路関数
  6. 示量性 vs 示強性
  7. 4.ギブズエネルギーと自発性
  8. ΔH・ΔS の符号と自発性
  9. ΔG° と平衡定数 K の関係
  10. 5.化学平衡とルシャトリエの原理
  11. 6.国試頻出まとめ
  12. 7.国試過去問チェック

🧪 系の種類

熱力学では、注目する対象を「系(system)」、それ以外を「外界(surroundings)」と呼ぶ。

系の種類 熱・仕事のやりとり 物質のやりとり
開いた系 できる できる 開放容器の溶液
閉じた系 できる できない 密閉容器の気体
孤立系 できない できない 完全断熱容器

⚠️ 閉じた系は熱・仕事のやりとりはできるが、物質のやりとりはできない!
国試では「閉じた系で外界とやりとりできるもの」として"熱と仕事"が問われる。


⚡ 熱力学の基本法則

第一法則(エネルギー保存則)

ΔU = q + w

記号 意味
ΔU 内部エネルギー変化(状態関数
q 系が吸収する熱(吸熱 > 0、発熱 < 0)(経路関数)
w 系が外界からされる仕事(経路関数)

定温過程(理想気体):ΔU = 0 → q = −w(吸収した熱がすべて仕事になる)
断熱過程:q = 0 → ΔU = w(体積膨張で仕事をすると内部エネルギーは減少)

第二法則(エントロピー増大則)

孤立系では自発変化は必ずエントロピー S が増大する方向に進む。

ΔS = q_rev / T(可逆過程のエントロピー変化)

✅ 固体 < 液体 < 気体 の順にエントロピー大。気体が発生する反応(ΔS > 0)はエントロピー的に有利。


📊 状態関数と経路関数

分類 特徴
状態関数 変化量が経路に依存しない 内部エネルギー・エンタルピー・エントロピー・ΔG
経路関数 変化量が経路に依存する 熱(q)・仕事(w)

示量性 vs 示強性

種類 特徴
示量性状態関数 物質量に比例(加成性が成立) 体積・エンタルピー・エントロピー・内部エネルギー
示強性状態関数 物質量に依存しない 温度・圧力・密度・モル濃度

⚠️ エントロピーは示量性(加成性が成立)! 示強性ではない。
⚠️ 温度・圧力は示強性 → 2倍にしても温度は2倍にならない。


♻️ ギブズエネルギーと自発性

ΔG = ΔH − TΔS

ΔG の値 反応の自発性
ΔG < 0 自発的に進む(正方向)
ΔG = 0 平衡状態
ΔG > 0 自発的には進まない

ΔH・ΔS の符号と自発性

ΔH ΔS 自発性
+ 常に自発(温度によらず)
+ 常に非自発(温度によらず)
低温で自発(高温で非自発)
+ + 高温で自発(低温で非自発)

⚠️ ΔH とΔS が同符号のとき、温度によって自発性が逆転する!

ΔG° と平衡定数 K の関係

ΔG° = −RT ln K

K の値 ΔG° 平衡の位置
K > 1 ΔG° < 0 生成物側に偏る
K = 1 ΔG° = 0 平衡
K < 1 ΔG° > 0 反応物側に偏る

⚖️ 化学平衡とルシャトリエの原理

平衡状態にある系に変化を加えると、その変化を緩和する方向に平衡が移動する

操作 平衡の移動
反応物を加える 生成物側(正方向)へ
生成物を除く 生成物側(正方向)へ
圧力を上げる(気体反応) 気体モル数が少ない側へ
温度を上げる 吸熱方向へ(発熱反応ではKが減少)
触媒を加える 移動しない(KもΔGも変わらない)

発熱反応では温度↑でK↓(反応物側へ移動)
吸熱反応では温度↑でK↑(生成物側へ移動)


📋 国試頻出まとめ

# ポイント 内容
1 閉じた系 熱・仕事のやりとりは○、物質のやりとりは✗
2 状態関数 変化量が経路に依存しない(内部エネルギー・H・S・G)
3 経路関数 熱(q)と仕事(w)
4 示量性 体積・エンタルピー・エントロピー(加成性○)
5 示強性 温度・圧力(物質量に依存しない)
6 自発性の判定 ΔG < 0 なら自発的
7 ΔG = ΔH − TΔS T は絶対温度(Kelvin)
8 ΔG° = −RT ln K K > 1 ↔ ΔG° < 0
9 触媒 平衡定数K・ΔH・ΔGを変えない(速度のみ速める)

📝 国試過去問チェック

第110回薬剤師国家試験 問2(必須)

熱力学における「閉じた系」において、熱、物質及び仕事のうち、外界とやりとりができるものだけをすべて挙げたのはどれか。1つ選べ。

1. 熱

2. 物質

3. 仕事

4. 熱、仕事

5. 物質、仕事

6. 熱、物質

解答と解説を見る

正解:4

閉じた系(closed system)は外界と熱・仕事のやりとりはできるが、物質のやりとりはできない

4○ 「熱、仕事」の両方。正しい。

1✗ 熱だけでなく仕事もやりとりできる。

2✗ 物質のやりとりができるのは「開いた系」。

3✗ 仕事だけでなく熱もやりとりできる。

5✗ 物質のやりとりはできない。

6✗ 物質のやりとりはできない。

(参考)

  • 開いた系:熱・仕事・物質すべてのやりとりが可能
  • 孤立系:熱・仕事・物質のやりとりがすべて不可能

第107回薬剤師国家試験 問93(一般)

状態関数と経路関数に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。

1. 熱と仕事は経路関数である。

2. 温度は示量性の状態関数である。

3. エンタルピーは示強性の状態関数である。

4. 熱力学第一法則より、内部エネルギーは経路関数であることがわかる。

5. 状態関数の変化量は、可逆過程でも不可逆過程でも等しい。

解答と解説を見る

正解:1、5

1○ 熱(q)と仕事(w)は経路に依存する経路関数。正しい。

5○ 状態関数(内部エネルギー・エンタルピーなど)の変化量は、始状態と終状態が同じなら経路によらず一定。正しい。

2✗ 温度は示強性(物質量に依存しない)の状態関数。「示量性」が誤り。

3✗ エンタルピーは示量性(物質量に比例)の状態関数。「示強性」が誤り。

4✗ 熱力学第一法則 ΔU = q + w より、内部エネルギー(ΔU)は経路関数 q と w の和で表されるが、ΔU 自体は状態関数(経路によらない)。「経路関数」が誤り。


第108回薬剤師国家試験 問92(一般)

エントロピーに関する記述のうち、誤っているのはどれか。1つ選べ。

1. エントロピー変化ΔSは、可逆的に出入りする熱をqrev、そのときの温度をTとすると、ΔS = qrev/T で与えられる。

2. エントロピーの最小値は熱力学第3法則によってゼロと定められる。

3. 系と外界(周囲)のエントロピー変化の和が正になる方向に、すべての変化は進行する。

4. エントロピーは系の乱雑さを定量的に表す熱力学量である。

5. 外界(周囲)のエントロピー変化を温度で割った熱力学量が、系のギブズエネルギー変化である。

解答と解説を見る

正解:5

5✗(誤り) ΔG = ΔH − TΔS_system の関係から、ギブズエネルギーは「系のエンタルピー変化」と「系のエントロピー変化×温度」で表される。「外界のエントロピー変化を温度で割った量」ではない。誤り。

1○ ΔS = q_rev / T は可逆過程のエントロピー変化の定義式。正しい。

2○ 熱力学第3法則:0 K での完全結晶のエントロピーはゼロ。正しい。

3○ 孤立系(系+外界)のエントロピーは自発変化で増大する(熱力学第二法則)。正しい。

4○ エントロピーは系の乱雑さ(無秩序さ)の尺度。正しい。


第109回薬剤師国家試験 問92(一般)

状態関数に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。

1. 状態関数の変化量は系の変化の経路に依存する。

2. 示量性状態関数においては加成性が成立する。

3. 示強性状態関数は物質量に依存する。

4. 体積は示量性状態関数である。

5. エントロピーは示強性状態関数である。

解答と解説を見る

正解:2、4

2○ 示量性状態関数(体積・エンタルピーなど)では、全体の値 = 各部分の和(加成性)が成立する。正しい。

4○ 体積は物質量に比例して大きくなるので示量性状態関数。正しい。

1✗ 状態関数の変化量は経路によらず、始状態と終状態のみで決まる。「経路に依存する」は誤り。

3✗ 示強性状態関数は物質量に依存しない(例:温度・圧力・密度)。「依存する」は誤り。

5✗ エントロピーは物質量が増えると大きくなるので示量性状態関数。「示強性」は誤り。


第110回薬剤師国家試験 問91(一般)

理想気体からなる閉じた系における熱力学第一法則に関する記述として、正しいのはどれか。2つ選べ。

1. 定温過程において、系に加えられた熱量はすべて系がする仕事になる。

2. 内部エネルギー変化は、系に加えられた熱量と系が外界からされた仕事の和で表される。

3. 断熱過程において、系の体積が増加すると内部エネルギーも増加する。

4. 内部エネルギー変化は経路関数である熱と仕事からなり、それ自体も経路関数である。

5. 系が外界に対してする仕事は、不可逆過程の方が可逆過程より大きい。

解答と解説を見る

正解:1、2

1○ 理想気体の定温過程では ΔU = 0(内部エネルギー変化なし)。よって ΔU = q + w = 0 → q = −w。系が吸収した熱量はすべて系がする仕事になる。正しい。

2○ 熱力学第一法則:ΔU = q + w(q:系が吸収する熱、w:外界から系がされる仕事)。正しい。

3✗ 断熱過程では q = 0 → ΔU = w。体積が増加(膨張)すると系は外界に対して仕事をする(w < 0)→ ΔU < 0(内部エネルギーは減少)。「増加する」は誤り。

4✗ 熱(q)と仕事(w)は経路関数だが、その和である内部エネルギー変化(ΔU)は状態関数(経路によらない)。「経路関数」が誤り。

5✗ 可逆過程の方が系がする仕事が最大になる(最大仕事の原理)。不可逆過程では摩擦などにより仕事が小さくなる。「不可逆の方が大きい」は誤り。


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