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⚛️ 物理

【薬剤師国試対策】ファントホッフプロット・ボルツマン分布を徹底整理

📅 2026年5月19日🔄 更新: 2026年5月19日
📖 この記事でわかること
  • ファントホッフプロットの式(ln K = −ΔH°/R × 1/T + ΔS°/R)を書ける
  • グラフの傾きからΔH°、切片からΔS°を求められる
  • 吸熱・発熱反応とプロットの傾きの符号の関係を説明できる
  • ボルツマン分布の特徴(指数関数的減少)を説明できる
  • ファントホッフプロットとアレニウスプロットの違いを区別できる
目次
  1. 1.ファントホッフの式
  2. グラフの読み方(ln K vs 1/T プロット)
  3. 2.ΔG° との関係
  4. 3.ファントホッフ vs アレニウス
  5. 4.ボルツマン分布
  6. 5.国試頻出まとめ
  7. 6.国試過去問チェック

📐 ファントホッフの式

温度 T における平衡定数 K は、以下の式で表されます:

ln K = −ΔH°/R × 1/T + ΔS°/R

グラフの読み方(ln K vs 1/T プロット)

グラフ要素 対応する物理量
縦軸 ln K
横軸 1/T(単位:K⁻¹)
傾き −ΔH° / R
切片(縦軸) ΔS° / R

⚠️ 傾きの符号で吸熱・発熱を判定する!
傾き < 0(右下がり)→ ΔH° > 0 → 吸熱反応
傾き > 0(右上がり)→ ΔH° < 0 → 発熱反応

反応の種類 ΔH° 傾き 温度↑の効果
吸熱反応 > 0 負(右下がり) K↑(生成物有利に)
発熱反応 < 0 正(右上がり) K↓(反応物有利に)

✅ 「温度↑でK↑」なら吸熱反応。発熱反応では温度が上がるとKが下がる(ルシャトリエの原理と一致)


🔗 ΔG° との関係

ΔG° = −RT ln K = ΔH° − TΔS°

この式を変形するとファントホッフの式が導けます。

✅ ΔG° < 0 のとき反応は自発的に進行し、ln K > 0 つまり K > 1(生成物が多い)


⚗️ ファントホッフ vs アレニウス

項目 ファントホッフ アレニウス
縦軸 ln K(平衡定数 ln k(速度定数
横軸 1/T 1/T
傾き −ΔH°/R −Ea/R
切片 ΔS°/R ln A
目的 熱力学量(ΔH°、ΔS°)の決定 活性化エネルギーEaの決定

⚠️ どちらも「ln vs 1/T の直線グラフ」で、傾きは常に負(右下がり)

✅ アレニウスプロットの傾きの絶対値が大きい反応ほど、温度変化による速度定数への影響が大きい


🎲 ボルツマン分布

粒子がエネルギー E のレベルにある確率 P(E):

P(E) ∝ exp(−E / kBT)

  • kB:ボルツマン定数(= R/NA = 1.38×10⁻²³ J/K)

異なるエネルギー準位 E₁、E₂(E₂ > E₁)にある分子数の比 R = N₂/N₁:

R = exp(−ΔE / kBT) (ΔE = E₂ − E₁)

特徴 内容
グラフ形状 指数関数的減少(ΔE = 0 で R = 1、ΔE↑で R → 0)
温度↑ 分布が広がる(高エネルギーの粒子の割合↑)
活性化エネルギーとの関係 Ea を超える粒子の割合 ∝ exp(−Ea/RT)

✅ ΔE = 0 のとき N₂/N₁ = 1(上下のエネルギー準位に同数の分子)

✅ 速度定数 k ∝ exp(−Ea/RT) → これがアレニウスの式の物理的根拠


📋 国試頻出まとめ

# ポイント 内容
1 ファントホッフの傾き −ΔH°/R
2 傾き < 0(右下がり) 吸熱反応(ΔH° > 0)
3 傾き > 0(右上がり) 発熱反応(ΔH° < 0)
4 切片 ΔS°/R(エントロピー)
5 温度↑でK↑ 吸熱反応の特徴
6 アレニウスの傾き −Ea/R(活性化エネルギー)
7 アレニウスプロット 右下がりの直線(傾きは常に負)
8 ボルツマン分布 指数関数的減少・ΔE=0でR=1
9 傾きの絶対値↑ 温度変化が速度定数に与える影響↑

📝 国試過去問チェック

第108回薬剤師国家試験 問94(一般)

反応速度の温度依存性に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。

1. アレニウス式は、温度と平衡定数の関係を表している。

2. 0次反応にはアレニウス式は適用できない。

3. アレニウス式に従う反応の場合、アレニウスプロットでは右上がりの直線が得られる。

4. 2つの反応のアレニウスプロットの傾きが等しい場合、その2つの反応の活性化エネルギーは等しい。

5. アレニウスプロットの傾きの絶対値が大きい反応ほど、反応速度に与える温度の影響が大きい。

解答と解説を見る

正解:4, 5

4○ アレニウスプロットの傾きは −Ea/R。2つの反応の傾きが等しければ Ea も等しい。正しい。

5○ 傾きの絶対値が大きい = Ea/R が大きい = Ea が大きい → 温度変化に対して速度定数が大きく変化する。正しい。

1✗ アレニウス式は温度と速度定数 k の関係を表す(ln k = −Ea/R × 1/T + ln A)。平衡定数 K ではない。

2✗ アレニウス式は0次反応にも適用できる。反応次数に関係なく使用可能。

3✗ アレニウスプロット(ln k vs 1/T)では傾きは −Ea/R < 0 であり、右下がりの直線が得られる。「右上がり」が誤り。


第110回薬剤師国家試験 問92(一般)

ファントホッフプロットは直線を示す。このことに関する記述として正しいのはどれか。2つ選べ。

1. 温度の逆数に対して平衡定数の対数をプロットしたものである。

2. 切片から標準反応エンタルピーが求まる。

3. 傾きから標準反応エントロピーが求まる。

4. 吸熱反応のとき、傾きは負である。

5. 傾きが正のとき、温度が上がるにつれて平衡定数は大きくなる。

解答と解説を見る

正解:1, 4

1○ ファントホッフプロットは「横軸:1/T、縦軸:ln K」のグラフ。正しい。

4○ 傾き = −ΔH°/R。吸熱反応は ΔH° > 0 なので傾き = −ΔH°/R < 0(負)。正しい。

2✗ 切片は ΔS°/R(エントロピー)。標準反応エンタルピー ΔH° は傾き(= −ΔH°/R)から求まる。

3✗ 傾きは −ΔH°/R(エンタルピー)。標準反応エントロピー ΔS° は切片(= ΔS°/R)から求まる。

5✗ 傾きが正 → −ΔH°/R > 0 → ΔH° < 0 → 発熱反応。発熱反応では温度↑でルシャトリエの原理により平衡が左に移動 → K は小さくなる


第110回薬剤師国家試験 問93(一般)

ボルツマン分布は、異なるエネルギー準位 E₁、E₂(E₂ > E₁)にある分子の数をそれぞれ N₁、N₂ としたとき、熱平衡状態における両者の比(R = N₂/N₁)とエネルギー差(ΔE = E₂ − E₁)との間にある一定の関係を与える。この関係を表すグラフの概形として正しいのはどれか。1つ選べ。

(選択肢はR vs ΔEのグラフ5種)

解答と解説を見る

正解:3

ボルツマン分布の式:R = N₂/N₁ = exp(−ΔE / kBT)

  • ΔE = 0 のとき:R = exp(0) = 1(上下準位に同数の分子)
  • ΔE → ∞ のとき:R → 0(高エネルギー準位にはほぼ分子なし)
  • グラフの形:R=1 から始まり、ΔE の増加とともに指数関数的に減少し、0に漸近する

選択肢3がこの「1から始まり0に漸近する指数関数的減少曲線」を示しており正しい。


第107回薬剤師国家試験 問2(必須)

平衡状態にある次の化学反応系に関する記述のうち、正しいのはどれか。1つ選べ。

3/2 H₂(g) + 1/2 N₂(g) ⇌ NH₃(g) ΔHf° = −46.1 kJ/mol

(ΔHf°は標準生成エンタルピー、(g)は気体状態を表す)

1. 系の温度を下げると、平衡は右側へ移動する。

2. 系の圧力を下げると、平衡は右側へ移動する。

3. 系に水素ガスを加えると、平衡は左側へ移動する。

4. この反応は吸熱反応である。

5. この反応の平衡定数は系の温度に依存しない。

解答と解説を見る

正解:1

1○ ΔHf° = −46.1 kJ/mol < 0 なので発熱反応。温度を下げると、平衡はルシャトリエの原理により熱を発生する方向(右側=生成物方向)へ移動する。正しい。

2✗ 右辺は1 mol(NH₃)、左辺は2 mol(H₂ 3/2 + N₂ 1/2)。圧力を下げるとmol数が多い左側(反応物)へ平衡が移動する。「右側へ移動」は誤り。

3✗ H₂を加えると、H₂を消費する方向=**右側(生成物方向)**へ平衡が移動する。「左側へ移動」は誤り。

4✗ ΔHf° = −46.1 kJ/mol < 0 なので発熱反応。「吸熱反応」は誤り。

5✗ ファントホッフの式より、平衡定数 K は温度に依存する(発熱反応では温度↑でK↓)。「温度に依存しない」は誤り。


第108回薬剤師国家試験 問2(必須)

反応1と反応2が共役して起こる反応3の平衡定数 K の値を、反応1と反応2それぞれの平衡定数 K₁、K₂ で表したのはどれか。1つ選べ。

A + B ⇌ C (平衡定数 K₁)

C + D ⇌ E + F (平衡定数 K₂)

A + B + D ⇌ E + F (平衡定数 K)

1. K = K₁ + K₂

2. K = K₂ − K₁

3. K = K₁ × K₂

4. K = K₁ / K₂

5. K = K₂ / K₁

解答と解説を見る

正解:3

3○ 反応3は反応1と反応2を足し合わせた反応。反応を足し合わせるとき、平衡定数は**積(掛け算)**になる。K = K₁ × K₂。正しい。

(参考)ΔG° = −RT ln K の関係から:反応を足すと ΔG°は加算 → ln K も加算 → K は積になる。

1✗ 反応を足し合わせても平衡定数は足し算にならない。

2✗ 平衡定数は引き算にならない。

4✗ 平衡定数は割り算にならない(反応を「引き算」するときは割り算になる)。

5✗ 同上。


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